九州Gに行ってきました

<九州Gに行ってきました>
■九州G参加記
1月2814日(日)に開催された九州Gの会合にお邪魔させていただきました。
   ※1/20訂正
九州勤務の経験もあるのですが、九州Gの会合にはなぜか参加する機会がなく、今回初めての出席となりました。
 開催場所は博多市民センター。博多駅から歩いていきましたが20分もかからずに到着。
 隣は山王公園、梅や桜が咲いているときに来れば風情がありそうです。

<山王公園>
公園

<博多市民センター>
市民センター

 九州Gの会合も今回が60回とのこと。昭和の時代から続いているそうです。
 13時スタートということで会合が開かれている会議室にお邪魔すると、すでに酒井さん、八尋さん、坂田さん、古森さんが盤駒を広げておられます。
 しばらくすると倉掛さん、千々岩さん、小池さん、太田さん、少し遅れて石川さんが顔を出されました。
 私は初参加なので自己紹介しながら皆さんに創棋会のPRを行いました。
 九州Gでは課題作は各自がA3の図面用紙にマジックで手書きしてホワイトボードに貼り、それを参加者一同が解くという形式です。
 皆さんが解答に黙々と取り組んでいる様子は創棋会に似た感じ。
 また会場で課題作の創作を試みる方がいらっしゃるのもまったく同じで、詰将棋の会合は雰囲気に共通点があるものだと思いました。
 解答選手権が近づいているということで、今年の運営についても種々確認が行われていました。
 会合終了後は二次会。博多駅近くに移動して居酒屋へ。今日のお店は注文も料理が出てくるスピードも普通でした(笑)。
 九州Gの皆さん、お世話になりありがとうございました。

<集合写真>
集合写真


■創棋会の次回以降の課題
☆次回課題はネット作品展「教材に使える10手台~実戦に役立つ詰将棋~」。
 昨年に続いてネット作品展「教材に使える10手台」PartⅡを開催します。
 今回のテーマは「実戦に役立つ」ことです。
 実戦型、囲い図式、格言の応用、実戦に応用できる手筋など、表現は自由です。

・作品投稿は下記アドレスで受付。
  ※ blogsokikaitusin@gmail.com
  ※ ペンネーム投稿もOKですが、実名を記載してください。
  ※ 投稿締切は2月17日(土)。
・2月例会で作品展の主旨に合うものを選題の上、ブログ「創棋会通信+α」で2月下旬に一斉出題します。

☆4月例会の課題は「ダブル不成」(6月号作品展)。
 「ダブル」の解釈は自由です。双方不成、同じ駒を二度不成、同一地点に二種不成などさまざまな表現があると思います。


■「教材に使える10手台」PartⅡ
 昨年2月にネット作品展「教材に使える10手台」を開催しました。
 詰将棋との出会いは人それぞれですが、多くの人に詰将棋の楽しさ、面白さを伝えられるような教材が作れるといいのではないか、そういう想いから、この企画を考えました。
 そのときの条件は『教え易い、分かり易い、覚え易い』というものでしたが、今回は少し切り口を変えて、実戦派にも詰将棋の面白さを知ってもらうために、「詰将棋は実戦の役に立つ」ということを、作品を解いたり鑑賞したりすることによって感じ取っていただけないものかと考えました。
 「読みの力を鍛える」という目的だけで詰将棋に取り組むのは、ちょっともったいない感じがします。1・3・5手をたくさん解いて「詰み形を覚え」た方には、少し長めの手数にチャレンジしてもらい、そこで何か実戦に応用の利くものをつかみ取るとともに、詰将棋の面白さや楽しさを知ってもらう、そういう作品を集めたいと考えた次第です。

 それでは、管理人の好みで選んだ例題を紹介させていただきます。


桑原辰雄作 将棋世界1955年11月号(『妙義図式』第43番)
桑原辰雄№43

 きれいな実戦型です。盤面も9枚で、手をつけてみようと思う好形。
 どこから手をつけましょうか?
 22角では14玉と上がられて手がありません。
 24角が同歩なら22馬から32飛成、13玉、23金を見てよさそうな手ですが、24角に14玉で続きません。
 初手は22馬と捨てるのが好手です。

<初手:22馬>
桑原辰雄№43_22馬

 手がかりを無くすようで指しにくい妙手です。
 14玉なら24金、同歩、23角までですから、22同玉と応じるしかありません。
 ここで32飛成を急ぐと13玉から14玉という脱出が防げません。また31金がなければ角が打てるので32金と引く手もありそうですが、13玉とかわされると続きません。
 ここは俗手ですが21金と桂馬を取るのが継続手段です。13玉なら22角、14玉、26桂までと奪った桂で詰めます。12玉と寄っても13金と捨てれば同じ手で詰みます。
 やむなく21同玉と取ったところで、43角と打ちたくなりますが、軽く12玉とかわされると、次の手がありません。
 上部脱出を防ぐ13桂が常套手段です。

<5手目:13桂>
桑原辰雄№43_13桂

 同香と取ってくれれば、今度こそ43角と打ち、12玉には11金から31飛成で詰みます。
 取らずに12玉とかわしたときに22金が決め手。
 同玉なら31角から32飛成の筋がありますから13玉と上部脱出を図りますが、構わず23金と歩を取って同玉に41角と打てば詰形です。
 12玉には13歩とたたき、同玉と取らせて33飛成とすれば、12玉に23龍までの詰み。

 意表を突く22馬にはじまり、俗手の21金、逃げ道封じの13桂と、実戦的な手や詰将棋らしい手筋が盛り込まれた好局です。

【作意】22馬、同玉、21金、同玉、13桂、12玉、22金、13玉、23金、同玉、
   41角、12玉、13歩、同玉、33飛成、12玉、23龍まで17手詰


中田章道作 中日スポーツ1993年3月(『月下美人』桂香図式の部第11番)
中田章道_月下_桂香№11

 初形は小駒だけ。43の逃げ道が気になりますが、今のところ持駒に金があるので大丈夫です。
 4筋の配置が重いので捌きたいのですが、33銀成とカッコよく捨てるのは同玉、42角に32玉や22玉とされると続きません。
 この形は詰将棋に慣れた人なら、24桂・同歩・41角・22玉・23金という手順が浮かぶところでしょう。
 となると41金が邪魔だからこれを消します。
 31金と寄って22玉に32金と引きます。
 同玉と応じたところで24桂と捨てます。

<5手目:24桂>
中田章道_月下_桂香№11_24桂

 24桂を同歩と取れば41角から23金があるので同銀の一手。これで24の逃げ道もなくなりました。
 24桂は、同歩と取れば23に空間が出来、同銀なら逃路封鎖できるという、効果的な犠打でした。
 同銀には41角と打ち、22玉に31銀不成と捨てます。同玉に32金までの一手詰を狙っています。この角銀コンビの詰み筋も良く出てくるパターンです。
 同玉と取れないので33玉とかわしたところで32角成が決め手です。
 41角と捨てた角を二段活用するのは気持ちの良い手です。

<11手目:32角成>
中田章道_月下_桂香№11_32角成

 32角成は、同玉と取るしかなく、42歩成、33玉、32金までの詰みです。

 邪魔駒消去、逃路封鎖、角の二段活用と楽しめる作品でした。

【作意】31金、22玉、32金、同玉、24桂、同銀、41角、22玉、31銀不成、33玉、
    32角成、同玉、42歩成、33玉、32金まで15手詰

 中田章道七段は2004年に引退されましたが、現在も将棋世界で「実戦に役立つ5手7手詰」を連載中。
 詰将棋作家としての活動は早く、詰パラには1970年4月号に初入選。作品集に『駒の詩』(1983年将棋天国社発行)などがあります。


北原義治作 (『独楽の郷Ⅳ』第68番)
北原義治_郷Ⅳ№68

 実戦に現れそうな初形。62龍の王手に72金合としたところでしょうか。
 62龍が強力なので、74桂、同歩、73金としたくなります。しかし平凡に同桂と応じられると駒不足。
 他には手がなさそうですが、こういうときの常套手段があります。
 94桂、同歩とこじ開けて、93金と捨てるのです。

<3手目:93金>
北原義治_郷Ⅳ№68_93金

 玉桂香の三枚が利いている焦点にタダで捨てる93金はインパクト十分。
 同桂なら、今度こそ74桂から73金があります。
 同香なら92金が送りの手筋です。92同玉に72龍と金を取り、82合には84桂から詰みます。
 同玉と取るしかありませんが、85桂と拠点を築きます。84玉なら75金の一手詰ですから82玉と戻りますが、85に桂馬がいるので、今度は74桂と捨て同歩に73金と打ち込む俗手攻めが利きます。

<9手目:73金>
北原義治_郷Ⅳ№68_73金

 これは同桂と取るしかありませんが同桂成と出来ます。
 93玉と逃げても奪った桂を85に打てば84玉と逃げだす一手です。
 以下は、74成桂と歩を取って、同玉に75歩と打ち、84玉に64龍までの詰みです。

 93金の焦点捨て、73金からの俗手攻め、変化にも送りの手筋が出てくるなど、実戦に応用できそうな手が出てくる一局でした。

【作意】94桂、同歩、93金、同玉、85桂、82玉、74桂、同歩、73金、同桂、
   同桂成、93玉、85桂、84玉、74成桂、同玉、75歩、84玉、64龍まで19手詰


本田 勇作 将棋世界2004年5月(『現代詰将棋短編名作選』第284番)
本田 勇

 美濃囲いです。64角から74桂と打って81玉まで追い込んだ局面のようですね。
 金銀があれば簡単ですが、あいにく持駒は飛び道具ばかり。
 93桂、同香、83香、同銀、91飛、同玉、73角成という虫の良い手順が目につきますが、これは91飛に72玉で詰みません。
 初手は平凡に82香と打ちます。
 71玉と寄ったところで、72銀がなければ81飛と打てるのですが、83桂は同銀、81飛、72玉と逃げられます。
 どうやら63の逃げ道を塞いでおく必要がありそうです。
 63桂と捨てます。

<3手目:63桂>
本田 勇_63桂

 今度同銀なら81香成と捨て、同玉に83(82)飛と打換えれば簡単ですから同金と応じます。
 ここでちょっといい手が見えます。
 83桂、同銀としてから、53角成と捨てます。
 同金なら81飛、72玉、61飛成で詰み。同飛でも81飛、72玉に64桂が利いて同金、61飛成で詰みです。
 ところが53角成に72玉と立たれると詰まないのです。72玉に64桂としても同飛で続きません。
 63桂、同金のとき、すぐに53角成と捨てるのが妙手です。
同金なら、83桂と捨て、同銀に81飛から61飛成がありますから同飛が最善です。
それでも83桂と捨て、同銀、81飛、72玉のとき、64桂が決め手です。

<11手目:64桂>
本田 勇_64桂

 64桂は同金の一手。これで金の守りが消えましたから、61飛成と切り、同玉に62金までの詰です。

 53角成が素晴らしい一手ということはわかりましたが、3手目にいきなり捨てるとどうなるのでしょうか?
 それは、同飛、63桂、同飛とされて詰みません。
 手順前後を許さない63桂から53角成のコンビネーションは絶妙です。

 最後に『現代詰将棋短編名作選』の解説から引用させていただきます
 「詰将棋マニアでなくても手を付けて見たくなる初形というのは、大切な要素の一つ。本作のような作品が、普段詰将棋を楽しまない人にも広く知られる機会があれば、大変うれしい。」(廣瀬崇幹)

【作意】82香、71玉、63桂、同金、53角成、同飛、83桂、同銀、81飛、72玉、
   64桂、同金、61飛成、同玉、62金まで15手詰


 今回は初形や手順に実戦らしさの感じられる作品を集めてみました。
 「実戦に役立つ」10手台。指将棋派が詰将棋の面白さを感じられる「教材」に相応しい作品をお待ちしています。


■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2018年1月21日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
[課題] なし(皆さんの発表したいことがあればお願いします)
  ※終了後新年会開催!
  <日時>1月21日(日)18時~
  <場所>大和水産 福島店
     TEL:06-6458-8581
     大阪市福島区福島5-13-18 福島ビル 1F
      JR大阪環状線福島駅 徒歩1分
        *駅を出て南側、二本目の通り(マクドナルドがあります)を西に曲がって直ぐ。
     参考URL https://r.gnavi.co.jp/496uttxr0000/

   <会費>3千円(学生・女性千円)
     ★参加いただける方は、予約の都合もあるので、下記宛ご一報いただければ幸いです。
        blogsokikaitusin@gmail.com

***【次々回例会】**********************************************
[日時] 2017年2月18日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
   https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費] 千円(学生無料)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台~実戦に役立つ詰将棋~」。
        投稿は→ blogsokikaitusin@gmail.com

***【その次の例会と課題】********************************************
[日時] 2017年4月15日(日)13時~
[場所] 未定(将棋会館または公共施設)
[会費] 未定
[課題] 「ダブル不成」
        投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp

   ※課題によって投稿先が異なりますのでご注意ください

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※当ブログのコメントは管理者承認制になっていますが、下記アドレスに直接ご意見をいただければ、必要に応じて、返信させていただくとともに、内容をブログに反映するようにいたします。
      blogsokikaitusin@gmail.com
以上

詰パラ1月号到着

<詰パラ1月号到着>

 あけましておめでとうございます。
 本年も創棋会とブログ「創棋会通信+α」をよろしくお願いします。

門松

■詰パラ1月号が到着
・表紙。有山さんは昨年12月号の創棋会作品展でも登場。少ない駒で合駒を紡ぎ出すのが巧みな方という印象です。スマホ詰パラで活躍されているという話から若い方を想像していましたがシニアの方とは意外。創棋会では世代の近いメンバーも多いのでぜひ顔を出していただきたいものです。
・詰将棋学校(12P~)。新年号です。各校の担当者の言葉から意気込みがうかがえます。
 小学校:今年が最後の担当とのこと。
 中学校:意欲的な狙いの追求と、解き心地の良さを両立。ハードルが高そうですが同感。
 高校:短評採用のツボが紹介されています。載らなくてもいいから解説者に読んでほしいという場合もありますが、短評が活字になるのは嬉しいものです。
 短大:毎回食指をそそる問題がありながら解答提出に至らず…。
 大学:年始に相応しい、しかもこの顔ぶれなら、楽しい作品が揃っていることでしょう。
 大院:1番は見るからに趣向っぽいですね。
・段級位認定(18P~)。プロ棋士、同人作家、看寿賞作家をはじめ実力者揃いのすごい顔ぶれです。
・内藤国雄の小ルーム(20P~)。締切が笑えます。毎号問題よりエッセーが面白いですね。
・新春詰将棋(22P~)。勝浦九段の特別出題。
・新人コンクール(23P~)。③の方は10月号に続く本コーナー登場。
・詰備会作品展(24P~)。②④は、手順どころか初形も記憶になし。作品鑑賞でPCからの投影を眺めただけなので忘却の彼方…。やはり少しでもアタックしていないと記憶に残らないものですね。
・全詰連の頁(24P~)。解答選手権と全国大会の話題。また「将棋が強くなる実戦1手詰」出版の予告も。柳田さんの精力的な活動には頭が下がります。
・持駒のある風景(26P~)。AIの囲碁ソフトが機械学習で強くなったという話はすっかり有名になりましたが、創作も機械学習が可能なのか?素人考えですが、創作は実戦と違って白黒の決着がつく世界ではないのでなかなか難しいように思いますが、どうなのでしょうか。
・おもちゃ箱だより(28P~)。年賀詰に関する記事。昨年は創棋会でもネットで年賀組曲を発表しましたが、今年は年賀詰の企画はなかったので、皆さんの作品を鑑賞させていただきたいと思います。
・ちえのわ雑文集(32P~)。石黒さんの「社団戦・参加者募集」。職団戦のように一日だけではなく数ヶ月かけて戦うというのは知りませんでした。詰パラのゼッケン着用は結構なPR効果が期待できますね。それにしても全国区のすごいメンバーを集めたもんですね。
・読者感想文(44P~)。知識の涵養に役立つというのは同感。私も例題探しでお世話になっています。
・サロン(45P~)。谷口均さんの「無駄合定義」の話。内容はほぼ同感ですが、解いた瞬間に有効っぽく感じる手というのはあり、定義上「無駄」とわかっていても違和感が残ります。これは個人差のあるところかと思います。
・会合案合(48P~)。1月も各地で例会開催。今月掲載外の九州Gやたま研も数えると8か所!創棋会は1月21日(日)が例会と新年会です。みなさんのご参加お待ちしています!
・デパート。今月から長谷川大地さんの担当。倉敷の全国大会では握り詰をその場で解くという凄腕を披露されました。また昨年の解答選手権ではアマチュアトップの成績でした。実力者の担当ということで今後に期待。

■創棋会の次回以降の課題
☆次回課題は「実戦に役立つ10手台
 本年2月は昨年に続いてネット作品展「教材に使える10手台」PartⅡ を開催します。
 今回のテーマは「実戦に役立つ」ことです。
 実戦型、囲い図式、格言の応用、実戦に応用できる手筋など、表現は自由です。

☆4月例会の課題は「ダブル不成」(6月号作品展)。
 「ダブル」の解釈は自由です。双方不成、同じ駒を二度不成、同一地点に二種不成など色んな表現があると思います。

■「教材に使える10手台」PartⅡ
 昨年2月にネット作品展「教材に使える10手台」を開催しました。
 詰将棋を生涯の趣味にできるかどうかはその出会いが影響するので、多くの人に詰将棋の楽しさ、面白さを伝えるには、よりよい教材が欲しい、そういう想いから、この企画を考えました。
 そのときの条件は『教え易い、分かり易い、覚え易い』というものでしたが、出品された作品は、初心者向けから上級者向けまで、 基本手筋からちょっぴり高級なものまで幅広い分野の好局が揃いました。

 今回は少し切り口を変えて、実戦派にも詰将棋の面白さを知ってもらうために、「詰将棋は実戦の役に立つ」ということを、作品を解いたり鑑賞したりすることによって感じ取っていただけないものかと考えました。
 「読みの力を鍛える」ことだけが目的で詰将棋を始めても、苦痛でしかなければ長続きしません。また「詰み形を覚える」なら、1・3・5手をたくさん解けばよいという考え方に一理あります。
 しかし詰将棋は幅も広ければ奥も深く、楽しい世界です。
 10手台だからこそ表現できる世界で、実戦の役にも立ち、詰将棋の楽しさも知ってもらえる、そういう作品を集めたいと考えた次第です。

 それでは、管理人の好みで選んだ例題を紹介させていただきます。

北原義治作 (『独楽の郷Ⅳ』第32番)
北原義治_郷Ⅳ№32

 いかにも実戦に現れそうな端正な好形。
 43金と13銀が守りに良く利いています。
 14桂が手筋風ですが、12玉とかわされます(14同銀なら31角から22金で詰み)。以下22金から清算しても22同玉、31角、12玉で息切れ。
 31角から13角成と切るのが実戦的な好手段
 実戦でも守りの金銀をはがすのは寄せの有力手段。
 13同桂と応じれば、22金、同玉、14桂、12玉、21銀、同玉に43馬と金を取って詰みます。
 最善は13同玉となります。
 25桂と打ち12玉と引いたときに、13金が好手。
 実戦では金を残したくなるところで、やや打ちにくい手です。

<7手目:13金>
北原義治_郷Ⅳ№32_13金

 13金は同桂と取るしかありませんが、同桂成、同玉と清算して、再度25桂と打ちます。
 12玉では13銀、21玉に43馬があるので22玉と逃げますが、33銀と打ち込みます。平凡ですが数の攻めは切れません。実戦の寄せでも大事なところかと思います。
 12玉と寄れば、13桂成が決め手です。

<15手目:13桂成>
北原義治_郷Ⅳ№32_13成桂

 13桂成は同玉と取るしかありませんが、そこで31馬と入れば33銀の効果で24には逃げられませんから、12玉に22馬までの詰みとなります。この馬(角)を使った収束は良く出てくる筋ですから実戦の役にも立つと思います。
 なお7手目に銀を打つと13手目は33金と打つしかなく、図で24に逃げ道が出来てしまいます。

【作意】31角、12玉、13角成、同玉、25桂、12玉、13金、同桂、同桂成、同玉、
    25桂、22玉、33銀、12玉、13桂成、同玉、31馬、12玉、22馬、まで19手詰

 北原義治さんは1935年生、2004年逝去。詰パラ初の同人作家で塚田賞15回受賞、発表は1000作以上という昭和詰将棋界の巨匠。
 『独楽の郷Ⅳ』は2000年8月に独楽工房・北風庵から発行。北原さんの自家製本で、実戦型未発表作が100局収録されています。

柏川悦夫作 まりも集1951年11月(『駒と人生』第30番)
柏川悦夫_人生№30

 攻方は42銀と24馬の強力な包囲網に持駒も豊富。
 実戦的に31角から清算するとどうでしょうか。31角、同飛、同銀、同玉に32飛と捨てると同玉、42飛、31玉、43桂で詰みます。しかし31角を取らず32玉とされると、33銀成、同銀、52飛、31玉、13馬、41玉でギリギリ逃れています。
 それでは14桂と持駒に桂があれば打ってみるのが詰将棋の常套手段。同金なら23飛、12玉、13歩、同桂、21角、同飛、同飛成、31飛と打って詰みます。しかし32玉と寄られると、54角、同歩、22飛と攻めても43玉でどうも詰みません。
 この変化で42銀が無ければ簡単に詰むことに気がついたら正解が見えてきます。
 まず31銀不成と捨てて42銀を消しにかかります。31同飛なら今度こそ14桂があり、同金、23歩、32玉、42飛までです。
 同玉と取ったときに、22角と捨てるのが好手。

<3手目:22角>
柏川悦夫_人生№30_22角

 41玉なら42飛から43桂ですから、同玉と取ります。
 これで不思議なことに原形から42銀を消すことに成功しました。
 あわてて14桂とすると31玉で詰まないので、52飛と打ちます。52から離して打つのが大事なところで、42飛だと32香合、14桂、31玉で詰みません。52から打っておけば42飛成と出来ます。格言通り「大駒は離して打て」です。
 52飛には42に利かして32金合と金の合駒が最善です。
 それでも14桂と攻めます。

<7手目:14桂>
柏川悦夫_人生№30_14桂

 14桂は同金と取らせて23歩を打つのが狙いです。金の頭に桂を打つのは詰将棋では有名な手筋ですが、実戦でも玉方金の守りを弱める手として応用範囲の広いものだと思います。
 14桂に同金と応じれば、23歩、31玉に32飛成と合駒の金を取って42金までの詰みとなります。

 自然な形から邪魔駒消去が現れるという柏川さんらしい意外性のある一局。
 42銀消去の後は、離し飛車や金頭桂の手筋などが実戦にも有用かと思います。

【作意】31銀不成、同玉、22角、同玉、52飛、32金、14桂、同金、23歩、31玉、
   32飛成、同玉、42金まで13手詰

 柏川悦夫さんも詰将棋界の巨匠のお一人です。このブログでも数々の好作を紹介させていただきました。


二上達也作 将棋世界1980年8月号
  (『将棋魔法陣』「二上詰将棋珠玉篇」第40番、『現代詰将棋短編名作選』第42番)
二上達也_現代短№42

 玉方の守りは34金だけ、攻方は51龍と53角に手駒も金銀とくれば、どうやっても詰みそうです。
 ただ逃げ場所が43と23に開いているので注意して攻めなければなりません。
 たとえば31龍とすると、23玉なら32銀と打ち24玉に22(21)龍とすれば、53角の利きが強力で捕まりますが、43に逃げられると34金の守りが強く、44金、同金、42龍と追っても54玉、44龍、65玉と大海に脱出されます。かといって42龍では23玉とされ32銀、24玉で龍の応援が利きませんから詰みません。
 正解は51龍を一マス動かして捨てる41龍です。同玉は42金まで、また23玉も23銀から21龍があります。
 41龍は43玉も23玉も許さない一手で、まるで十字飛車のようですね。
 22玉と寄るしかないのですが、ここで31角成では23玉と立たれて上部脱出。また23金から32銀は攻め急ぎで、13玉とかわされると続きません。
 もう一度31龍と寄るのが地味ながら好手段。

<3手目:31龍>
二上達也_現代短№42_31龍

 12玉なら32龍、また23玉なら32銀がありますから、13玉と逃げます。
 そこで23金と捨ててから、同玉に32銀とするのが正しい手順。ここは大事な変化があるので後述します。
 32銀に24玉は22龍があるので13玉とかわしますが、かまわず22龍が決め手です。

<9手目:22龍>
二上達也_現代短№42_22龍

 れは同玉の一手ですが、31角成と活用し、12玉に13歩と打てば同桂と取るしかなく、21馬までの詰みとなります。
 ところで7手目の32銀で21龍と桂を取る手があります。これには22歩合としますが、そこから32銀、13玉、22龍と同じように攻めることができます。同玉に31角成、12玉となった局面はなんと打歩詰。
 作意は21桂を残しておいたので13歩が打てるという仕組みになっています。先に32銀と打ったのは平凡なようでも取れる駒を取らずに攻める高級手段だったというわけです。

 攻方の龍が41→31→22と一マスずつ動いて玉を仕留めるのはユーモラスな手順ですが、龍を縦横に働かすのは実戦にも役に立つ駒の活用方法ではないでしょうか。
 また逃れ順のトリックも良く出来ています。さりげない実戦型から妙味ある手順が繰り出される好短編でした。

【作意】41龍、22玉、31龍、13玉、23金、同玉、32銀、13玉、22龍、同玉、
   31角成、12玉、13歩、同桂、21馬まで15手詰

 二上達也さんもプロ棋士として活躍されただけでなく、詰将棋作家としても非常に大きな足跡を残されました。


植田尚宏作 近代将棋1959年1月号(『古今中編名作選』補遺第11番)
植田尚宏_中編補№11

 本作も4×4に収まった好形実戦型。
 初手32飛のような数の攻めは14角が利いているので詰みません。
 ここは33銀と打ち、同桂と取らせて21飛と拠点を作るのが好手段。守備駒を動かしてその空間に駒を打つのは応用の利く手です。なお33銀に12玉と逃げるのは22飛、同銀、21馬の好手筋があり、同玉に32金打で詰み。また23玉と上がるのも32銀引で簡単。
 21飛に12玉と寄ったとき、24桂と捨てるのが軽手。これは同金の一手ですが、守備力が弱体化しました。実戦でも「金は斜めに誘え」という格言があります。
 同金と取らせたところで、11飛成と捨てるのが好手。11香を取るのがちょっと実戦的。

<7手目:11飛成>
植田尚宏_中編補№11_11飛成

 24桂捨の効果で上部脱出は出来ませんから、11飛成は同玉の一手です。
 ここで33馬としたくなりますが、軽く12玉と立たれると角金銀の守りが強く詰みません。
 13香と打つのが継続手段です。金を24に動かしたのは、13に空間を作るためでした。
 12に合すると21金までの詰みですから、22玉とかわしますが、ここで21馬と捨てるのが決め手です。

<11手目:21馬>
植田尚宏_中編補№11_21馬

 21馬は同玉なら12金を見た強手。「玉を下段に落とす」ことが狙いです。
 やむなく13玉とかわしますが、12金と打ち、23玉に32銀不成と捨てるのが最後の好手。同銀に22馬まで清涼詰となりました。
 実戦型から11飛成や21馬の大駒捨てを中心に、コクのある手順が展開される好局ですが、「金を斜めに誘う」「玉を下段に落とす」というのは実戦でも役に立つ手筋です。

【作意】33銀、同桂、21飛、12玉、24桂、同金、11飛成、同玉、13香、22玉、
   21馬、13玉、12金、23玉、32銀不成、同銀、22馬まで17手詰

 植田尚宏さんは軽快派と呼ばれ数々の好短篇を発表された昭和詰将棋界の巨匠のお一人。現在も将世や詰パラに好作を出品されています。


 今回は詰将棋の巨匠による実戦型の特集でした。いずれもきれいな実戦型から、好手妙手が飛び出します。実戦に応用の利く手段も盛り込まれていて、指将棋派にも楽しんでいただける好作揃いかと思います。


■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2018年1月21日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
[課題] なし(皆さんの発表したいことがあればお願いします)
  ※終了後新年会開催!
  <日時>1月21日(日)18時~
  <場所>大和水産 福島店
    TEL:06-6458-8581
    大阪市福島区福島5-13-18 福島ビル 1F
      JR大阪環状線福島駅 徒歩1分
        *駅を出て南側、二本目の通り(マクドナルドがあります)を西に曲がって直ぐ。
    参考URL https://r.gnavi.co.jp/496uttxr0000/

<会費>3千円(学生・女性千円)
★参加いただける方は、予約の都合もあるので、下記宛ご一報いただければ幸いです。
   blogsokikaitusin@gmail.com

***【次々回例会】**********************************************
[日時] 2018年2月18日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
    https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費] 千円(学生無料)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台~実戦に役立つ詰将棋~」。
        投稿は→ blogsokikaitusin@gmail.com

***【その次の例会と課題】********************************************
[日時] 2018年4月15日(日)13時~
[場所] 未定(将棋会館または公共施設)
[会費] 未定
[課題] 「ダブル不成
        投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp

※課題によって投稿先が異なりますのでご注意ください

***************************************************************
※当ブログのコメントは管理者承認制になっていますが、下記アドレスに直接ご意見をいただければ、必要に応じて、返信させていただくとともに、内容をブログに反映するようにいたします。
      blogsokikaitusin@gmail.com
以上

創棋会の次回課題は「実戦に役立つ10手台」

<創棋会の次回課題は「実戦に役立つ10手台」>

 クリスマスモードも終って、今年も残すところ数日になりました。
 今年も創棋会のホームページ「創棋会通信+α」をご愛読いただき、ありがとうございました。
 来年も引き続きよろしくお願いいたします。
 皆様にはどうぞ良い年をお迎えください。

雪だるま
(ブログの更新がやや遅れたので、用意していた写真も時期ずれに…)

 最近読んだのが「幻庵」(百田尚樹、文藝春秋)。江戸時代後期の囲碁家元の主導権争いを描いた作品。
 冒頭に幼い幻庵が置き碁の下手で負けて大泣きするシーンの描写があり、思わず藤井聡太四段のことを思い起こしてしまいました。
 私は囲碁は初段に星目でも勝てない超初級者ですが、名人碁所を争う対局シーンの描写は迫力があり、盤面が理解できればもっと楽しめたと思います。

■創棋会の次回以降の課題
☆次回課題は「実戦に役立つ10手台
 来年2月は今年に続いてネット作品展「教材に使える10手台」PartⅡを開催します。
 今回のテーマは「実戦に役立つ」ことです。
 実戦型、囲い図式、格言の応用、実戦に応用できる手筋など、表現は自由です。

☆4月例会の課題は「ダブル不成」(6月号作品展)。
 「ダブル」の解釈は自由です。双方不成、同じ駒を二度不成、同一地点に二種不成など色んな表現があると思います。

■「教材に使える10手台」PartⅡ
 今年は2月にネット作品展「教材に使える10手台」を開催しました。
 詰将棋との出会いは人それぞれですが、多くの人に詰将棋の楽しさ、面白さを伝えられるような教材が作れるといいのではないか、そういう想いから、この企画を考えました。
 そのときの条件は『教え易い、分かり易い、覚え易い』というものでしたが、出品された作品は、初心者向けから上級者向けまで、不成や打ち換え、合駒といった基本手筋から、スイッチバックやアンピン、遠打ちや趣向といったちょっぴり高級なものまで、また実戦型から大道棋まで幅広い分野の好局が揃いました。

 今回は少し切り口を変えて、実戦派にも詰将棋の面白さを知ってもらうために、「詰将棋は実戦の役に立つ」ということを、作品を解いたり鑑賞したりすることによって感じ取っていただけないものかと考えました。
 「読みの力を鍛える」という目的で詰将棋に取り組むのはいいのですが、それだけでは楽しくないですよね。難しいだけではない謎解きの世界があります。
 また「詰み形を覚える」なら、1・3・5手をたくさん解けばよいというのは、多くの入門書に書かれていることですが、10手台ならではの世界もあると考えます。少し棋力があがれば、やや長めの手数にチャレンジいただくこともあるでしょう。そこで何か実戦に応用の利くものをつかみ取っていただきたい、そういう作品を集めたいと考えた次第です。


 それでは、管理人の好みで選んだ例題を紹介させていただきます。


菊田裕司作 近代将棋1993年7月号(『月下美人』桂香図式第5番)
菊田裕司_月下_桂香№5

 3×3に収まった好形。
 解いてみようという気にさせるには、好形ということが重要な要素の一つです。
 初手がほぼ32角成しかないのもとっつきやすいところです。
 32角成に13玉と上がられると一瞬、上部脱出が不安になりますが35角と打てば逃げ出すことは出来ません。
 ここで24に合駒です。14銀から23馬の筋が一目ですから23に利かす飛車か金が正解ということがわかります。易しい変化ですが合駒読みは実戦でも役に立つと思います。
 23金合には22銀と打つ手があり、12玉に13歩、同桂、21銀不成まできれいに詰みます。
 24の合駒は21に利かす飛合が最善です。

<4手目:24飛合>
菊田裕司_月下_桂香№5_24飛

 22銀とすると飛車が利いてくるので、12玉には21馬とするしかなく、それでは23玉とされて捕まりません。14銀と押さえるのが正解。
 12玉に13歩と打って同桂と取らせたところで23馬が好手。

<9手目:23馬>
菊田裕司_月下_桂香№5_23馬

 同飛と取るしかありませんが、13角成と切るのが思い切った一手。これで桂馬を入手できました。13歩と打って同桂と取らせたのは質駒を作る ためだったのです。
 同飛とされますが、24桂と打つことができ、22玉に32香成までの詰みです。

【作意】32角成、13玉、46角、24飛合、14銀、12玉、13歩、同桂、23馬、同飛、
   13角成、同飛、24桂、22玉、32香成まで15手詰

 菊田裕司さんは80年代から90年代にかけて詰将棋作家集団ACTで活躍されましたが、指将棋の強豪としても有名でアマチュアの全国タイトルを複数獲得され、現在も活躍中です。


桜木健古作(『実戦形パラダイス』第99番)
桜木健古_実戦パ№99

 本作も右上隅4×4に収まった好形で、いかにも実戦に現れそうな図です。
 持駒豊富ですが33金の守りも強力ですから、切れないように攻める必要があります。
 初手は32歩などが目につきますが、これは22玉で手も足も出ません。
 俗に42金と打ちます。
 22玉に32金打と重ねて打つのが有力ですが、13玉とかわされると、33龍と切っても同桂と応じられ、金二枚では続きません。
 ここは打ったばかりの金を32金と寄るのが好手。

<3手目:32金>
桜木健古_実戦パ№99_32金

 32金は打った駒を活用する気持ちの良い手です。
 今度13玉なら、33龍、同桂のとき、持駒に金が三枚ありますから、23金と捨てて22金打から詰みます。
 玉方も32同金と取るしかありません。
 手拍子で23歩と打ちたくなります。同金と取れば32金から23龍がありますから。
 しかし23歩には13玉と逃げられると詰みません。
 ここで13金と捨てるのが先まで読んだ好手です。

<5手目:13金>
桜木健古_実戦パ№99_13金

 13金は「逃路に先着」の好手筋です。同桂でも同香でも13の逃げ道を塞ぐことが出来るというわけです。
 同桂なら23歩、同金、32金から23龍と切って歩が余って詰んでしまいますから、最善は同香です。
 同香に、あわてて12金としては31玉とされて続きません。
 23歩と打ち同金と取らせてこの金を質駒にします
 23同金に32金と打ち、11玉には12歩と叩いて、同玉に23龍と切れば、同玉に22金打までと、最後は大駒を捨てて金二枚の清涼詰となります。
 「打った駒を捌く」、「逃げ道を塞ぐ」、「質駒をつくる」といずれも実戦に役立つ手筋ではないでしょうか。

【作意】42金、22玉、32金、同金、13金、同香、23歩、同金、32金、11玉、
    12歩、同玉、23龍、同玉、22金打まで15手詰

 桜木健古さんは40歳で初入選を飾られた遅咲きの作家。1998年逝去。文筆家としても有名で『生きるヒント・一日一話』(三笠書房)などがあります。
 『実戦形パラダイス』は1970年代に詰パラ発表された作品から実戦形詰将棋といえる好局を抜粋して編集されたもので2002年に毎日コミュニケーションズから発行されました。


桑原辰雄作 近代将棋1967年4月(『妙義図式』第93番)
桑原辰雄№93

 本局も実戦形の好形。自然な形に加えて、当り駒が少ないのも好印象。
 金気がないので詰み形がパッと浮かびませんし、上部に脱出されそうなところも気になります。
 24桂と打ちたくなりますが13玉で脱出が防げません。
 かといって13香は急ぎ過ぎで、13同玉に35角と打って脱出は防げますが24銀合が強防です。以下、25桂、12玉、21角成、同玉となると24銀がよく利いて13桂も33桂も切れてしまいます。
 初手はいきなり21角成と桂を取るのが正解。
 13玉なら35角で脱出を止められますから、同玉の一手。
 ここで13桂と打つのが好手です。

<3手目:13桂>
桑原辰雄№93_13桂

 13桂は同香と取る一手。これで13の逃げ道を塞ぎました。
 ここで22香と打つのは12玉、21角、11玉で続きませんし、12角も11玉でダメです。
 となると32角しかありません。11玉なら41龍、22玉なら41角成があるので、12玉とかわすのが最善ですが、初形に戻ったような雰囲気です。
 持駒の香に働き場所を与える良い手があります。
 24桂と捨てます。

<7手目:24桂>
桑原辰雄№93_24桂

 24桂は同歩と取るしかありませんが、そこで21角成と捨てるのが継続の好手。
 23玉と上部脱出されそうですが、12馬でピッタリ捕まっています。味の良い変化ですね。
 21同玉と取らせると、今度は23香と離して打つことができます。31玉に22香成までの詰みです。24桂は香の打ち場所をつくるための捨駒でした。
 本作は「角(馬)の利きで上部脱出を防ぐ」「香は離して打つ」「香の打ち場所をつくる」といった手筋が実戦での応用性のあるところかと思います。

【作意】21角成、同玉、13桂、同香、32角、12玉、24桂、同歩、21角成、同玉、
    23香、31玉、22香成まで13手詰

 桑原辰雄さんは、「桑原流」と呼ばれる難解短編作で一世を風靡。2015年10月に亡くなられました。享年82歳。『妙義図式』は同氏の初の作品集で野口ブックスから1974年に発行されました。同氏の作品集には他に『赤城図式』『ガチンコ詰将棋』『榛名図式』などがあります。


■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2018年1月21日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
  https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[課題] なし(皆さんの発表したいことがあればお願いします)
  ※終了後新年会開催!
    <日時>1月21日(日)18時~
    <場所>大和水産 福島店
       TEL:06-6458-8581
       大阪市福島区福島5-13-18 福島ビル 1F
         JR大阪環状線福島駅 徒歩1分
          *駅を出て南側、二本目の通り(マクドナルドがあります)を西に曲がって直ぐ。
       参考URL https://r.gnavi.co.jp/496uttxr0000/
    <会費>3千円(学生・女性千円)
   ★参加いただける方は、予約の都合もあるので、下記宛ご一報いただければ幸いです。
      blogsokikaitusin@gmail.com

***【次々回例会】**********************************************
[日時] 2017年2月18日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
[会費] 千円(学生無料)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台~実戦に役立つ詰将棋~」。
        投稿は→ blogsokikaitusin@gmail.com

***【その次の例会と課題】********************************************
[日時] 2017年4月15日(日)13時~
[場所] 未定(将棋会館または公共施設)
[会費] 未定
[課題] 「ダブル不成
       投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp

  ※課題によって投稿先が異なりますのでご注意ください

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※当ブログのコメントは管理者承認制になっていますが、下記アドレスに直接ご意見をいただければ、必要に応じて、返信させていただくとともに、内容をブログに反映するようにいたします。
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以上

第270回例会報告(2017年12月17日)

<第270回例会報告(2017年12月17日)>
 12月17日(日)の例会報告です。
 参加者の小池さんが「詰将棋の欠片」でも参加記を書かれていますので、あわせてご覧ください。

例会報告
<第270回創棋会例会>
 日時:12月17日(日)13:00~17:30
 場所:関西将棋会館 4F多目的ルーム
 参加者:上田吉一、岸本裕真、小池正浩、則内誠一郎、谷本治男、鳥本敦史、中出慶一、中村雅哉、中村宜幹、
      西村章、野曽原直之、服部友哉、南良文、柳原裕司、吉松智明(以上15名)

 小池さんと鳥本さんにはいつも遠方より参加いただきありがとうございます。また南さんが久方ぶりのご参加。
 初参加は服部さん。将棋の師匠である南さんと一緒に参加されました。

 今回の課題は「繰り返しを含む短編」ということで、投稿も二ケタと盛況。
 例会開始から1時間くらいは、皆さんまるで解答競争のように黙々と課題作に取り組まれました。易しく楽しい作品が多かったので、解いて納得の方が多かったことと思います。
 応募作は則内さんが大盤で解説されましたが、参加されている作者からのコメントもあり、盛り上がりました。
 選題は4作だけということでなかなか悩ましいことになりましたが、おおよその方向性が決まりました。掲載は来年の3月号。どうぞ楽しみにしてください。

 幹事の中出さんから今後の運営について話があり、今後創棋会の窓口を事務担当に一本化していきたいということで、その方向性について参加者から承認されました。

 参加者の近況報告では、新年会で宣言した今年の入選目標回数を達成したという方や、最近の自作発表について語られる方など、皆さん活躍されているのがよくわかりました。

 今後の予定については、以下のとおり連絡がありました。
   ・1月は昼間の例会を開催。終了後に恒例の新年会。
     課題はないので皆さんから話したいことがあればお願いしたい。
     たとえば「詰パラ○月号、私の一押し」とか「名作紹介」、「研究発表」など、なんでも結構です。
   ・2月例会の課題は、昨年に続いてネット作品展「教材に使える10手台」PartⅡを開催。
     今回のテーマは「実戦に役立つ」こととしたい。
     実戦型、囲い図式、格言の応用、実戦に応用できる手筋など、表現は自由です。
   ・4月例会の課題は「ダブル不成」(6月号作品展)。
     「ダブル」の解釈は自由です。双方不成、同じ駒を二度不成、同一地点に二種不成など色んな表現があると思います。

【例会風景】(氏名略)
例会風景1

例会風景2

<一人一言>
一人一言1

一人一言2

創棋会の今後の予定

***【次回例会】*************************************************
[日時] 2018年1月21日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
   https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[課題] なし(皆さんの発表したいことがあればお願いします)
  ※終了後新年会開催!
    <日時>1月21日(日)18時~
    <場所>大和水産 福島店
       TEL:06-6458-8581
       大阪市福島区福島5-13-18 福島ビル 1F
         JR大阪環状線福島駅 徒歩1分
       参考URL https://r.gnavi.co.jp/496uttxr0000/
    <会費>3千円(学生・女性千円)
     ★参加いただける方は、予約の都合もあるので、下記宛ご一報いただければ幸いです。
        blogsokikaitusin@gmail.com

***【次々回例会】**********************************************
[日時] 2017年2月18日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
[会費] 千円(学生無料)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台~実戦に役立つ詰将棋~」。
        投稿は→ blogsokikaitusin@gmail.com

***【その次の例会と課題】********************************************
[日時] 2017年4月15日(日)13時~
[場所] 未定(将棋会館または公共施設)
[会費] 未定
[課題] 「ダブル不成

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    blogsokikaitusin@gmail.com
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もうすぐ例会~例会は12月17日です

<もうすぐ例会~例会は12月17日です~>

12月になりました。街の景色も年末モードです。
大阪市内もメインストリートに恒例のイルミネーションが点灯していました。
イルミネーション


■創棋会の次回課題は「繰り返しのある短編」
 創棋会の次回例会は12月17日です。
 開始は13時。
 会場は関西将棋会館の多目的ルームです。
 課題は「繰り返しを含む短編(17手以内)」です。
 例会で選考、3月号作品展に掲載の予定です。
 「繰り返し」についての定義はありません。
 これまで「駒の繰替え」「同種駒の打捨て」「同一地点への捨駒」「翻弄」「対称形で左右での捨駒の繰り返し」など、数々の好作を例題紹介で取り上げさせていただきましたが、「繰り返し」の表現はまだまだたくさんあると思います。
 自由な発想で「繰り返し」を表現して、どしどし好作を投稿いただきますようお願いします。
 なお創棋会作品展には、特に応募資格はありません。会合に参加したことがなくても結構です。幅広く投稿を受け付けています。
 投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp

 それでは早速例題を紹介させていただきます。

北川明作 詰パラ1975年4月号(『蒲公英』第18番)
北川明197504

 44龍、49角、18桂の包囲網は強力です。心配なのは14の脱出口。
 ということで初手は14角と捨てて穴塞ぎ。
 同銀には27金と拠点を据えて、25玉に58角と合駒を訊きます。
 36に合するしかないのですが、頭に利く駒は同角、同龍に26から打って簡単な詰み。桂合も取って17桂まで。
 ということで最善は47角合です。

<6手目:47角合>
北川明197504_47角

 これは攻め方も同角と取るしかありません。
 同との局面で36角から清算するような手では切れてしまいます。
 角以外の駒が欲しいので、もう一度43角と合駒を請求します。
 今度も角合が最善ですから、34角合と応じます。

<10手目:34角合>
北川明197504_34角

 これも同角と取り同歩となった局面で、合駒を請求する手は無いのですが、詰将棋らしいいい手がありました。
 36角と捨てて、同龍に45龍と大駒の連続捨てです。
 35合は36金までですから、同龍の一手に26金までの詰み。

 角の王手に角合を繰り返し、最後は大駒の連続捨駒で締めくくる軽快作です。

【作意】14角、同銀、27金、25玉、58角47角合、同角、同と、43角34角合
    同角成、同歩、36角、同龍、45龍、同龍、26金まで17手詰


若島正作 京都民報1980年(『盤上のファンタジア』第20番)
若島正№20

 一見して26龍をどかせて25飛成としたい局面です。
 27桂と打てば、同龍の一手ですから、そこで48馬とすると、26合は25飛成まで、37合も同馬と取られて無効ですから16玉と逃げるしかありません。
 それには28桂と捨てて、同龍と取らせ、38馬と寄るのが好手順です。

<7手目:38馬>
若島正№20_38馬

 38馬には同龍も27合も25飛成までですから、15玉と綱渡りの受け。
 ここで調子に乗って37馬は16玉とされ、38馬、15玉で千日手です。
 ここは27桂と捨てて同龍と取らせてから37馬と捨てるのが好手順です。

<11手目:37馬>
若島正№20_37馬

 27桂と捨てた効果で、龍が取れるので16玉とは出来ません。
 同龍に25飛成までの詰みとなりました。

 桂を捨てながら接近するミニ馬鋸。とても楽しいミニ趣向作です

【作意】27桂同龍48馬、16玉、28桂同龍38馬、15玉、27桂同龍
   37馬同龍、25飛成まで13手詰


高坂研作 近代将棋1994年10月号(『蒲公英』第103番)
高坂研199410

 初手は銀を活用したいところですが、24銀左は34玉で大海脱出、24銀右は14玉、で打歩詰です。
 ここは黙って24歩と打ちます。
 33玉は42銀と飛車が取れますから13玉と寄って打歩詰で逃れようとします。
 じっと31馬と寄って22の合駒を訊きます。
 頭に利く駒は取って14に打てますから、角か桂。ここまではスラスラ進みます。
 角合なら、23歩成として、同玉に22桂成、同飛、32角と打つのが飛車を質にするうまい手で、同飛に24銀右、14玉、32馬で詰みます。
 最善は22桂合です。

<4手目:22桂合>
高坂研199410_22桂

 今度は同じ手は使えませんが、よく見ると打歩詰を打開できる舞台が整っているではありませんか。
 31馬がなければ14歩、同桂と進められます。
 そこで23歩成と打った歩を成捨て、同玉に32馬のタダ捨てが妙手。

<7手目:32馬>
高坂研199410_32馬

 32同玉なら42銀成がありますから同飛の一手。
 これで31馬を消去できました。
 もう一度24歩と打てば、33玉には42銀不成があるので、13玉と寄るしかありませんが、待望の14歩が打てます。
 同桂と取らせて、再度23歩成と成捨てれば、今度は14が塞がっているので、同玉に24銀右までの詰です。

 森田手筋を使った易しい打歩詰打開作です。
 32馬の好手はインパクトがありますが、何よりも24歩~23歩成という手が二回繰り返され、心地よいリズム感を生んでいます

【作意】24歩、13玉、31馬、22桂合23歩成、同玉、32馬、同飛、24歩、13玉、
   14歩、同桂、23歩成、同玉、24銀右まで15手詰


上田吉一作 詰パラ1987年9月号(『極光21』第82番)
上田吉一№82

 例題紹介の最後は龍の翻弄、中編作です。
 まず初手は61金と捨てます。
 41玉なら33桂と捨て同龍と取らせて51飛から清算して62角と打てば詰みます。
 61同玉にあわてて71歩成では龍の利きが強くて詰みません。いったん53桂と捨て同龍と二段目の守備を弱めます。
 そうしておけば71歩成を同玉なら、82飛と打ち61玉(81玉は73桂)、52角、51玉、71飛成、42玉、31龍、33玉、22龍、42玉、41角成といううまい手順で詰みますので、取らずに51玉とかわします。
 今度は61飛としても43と33の逃げ道を封じることは出来ません。
 まず33角で一つの逃げ道を塞ぎます。

<7手目:33角>
上田吉一№82_33角

 これは同龍の一手。
 続いて上部脱出を防ぐ香打。
 格言通り、遠くから打ってみましょう
 56香、53歩合、61飛、42玉、31飛成、43玉、55桂まで。駒余りで詰む?
 56香に53香合として55桂を消すのはどうか?それなら61飛、42玉のとき54桂と捨てる手があり、43玉なら55桂まで、同香も31飛成から54銀成で詰む。
 そうなると56香には55歩合と中合するのが好防。同香に53銀合が強防で、61飛から54桂には43玉と上がって凌いでいる(銀合以外は43玉に41飛成がある)。
 どうやら56香では詰まない。
 そこで発想を変えて55桂が打てるように54から香を打つのが正解。今度は何を合しても、61飛から55桂で詰む。
 唯一の受けが33地点を空ける53龍の移動合!

<10手目:53龍>
上田吉一№82_53龍

 53龍は取れば42から33に脱出されてしまいますから、52飛と押さえます。
 41玉となったところから気持ちの良い収束です。
 33桂と捨てて同龍と取らせます。これで33の逃げ道がなくなり54香の利きも通りました。
 打ったばかりの52飛が邪魔ですね。42飛成と捨てます。
 同玉なら52銀成から詰みますから、同龍と応じます。
 もう一度33桂と捨て、同龍と取らせて、52香成までの詰みです。

 移動中合を含む龍の翻弄に香の限定打を織り込んだ素晴らしい作品です。

【作意】61金、同玉、53桂、同龍、71歩成、51玉、33角、同龍54香、53龍
   52飛、41玉、33桂、同龍、42飛成、同龍、33桂、同龍、52香成まで19手詰


 例題は管理人の感性で「繰り返し」が表現されたと思われるもの選んでいます。
 今回はいかがでしたか。
 例会は来週17日です。皆さまからも、楽しい作品の投稿をお待ちしています。


***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年12月17日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
    https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費] 千円(学生無料)
[課題] 3月号掲載作品展「繰り返しを含む短編」。17手以内
        投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp
        編集部に郵送いただいても結構です。

***【次々回例会】**********************************************
[日時] 2018年1月21日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
[課題] なし
※終了後新年会開催!
<日時>1月21日(日)18時~
<場所>大和水産 福島店
    TEL:06-6458-8581
    大阪市福島区福島5-13-18 福島ビル 1F
      JR大阪環状線福島駅 徒歩1分
    参考URL https://r.gnavi.co.jp/496uttxr0000/

<会費>3千円(学生・女性千円)
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