創棋会の次回課題(例題は続・中段玉)など

<創棋会の次回課題作(続・中段玉)など>

■棋士とコンピューター(続)
 叡王戦で羽生三冠が敗れました。
 残念ながら羽生さんとコンピューターとの対戦はお預け。
 しかし叡王戦は佐藤名人と千田五段が決勝を争うことになったので、いずれが勝者となってもコンピューターとの対決は面白くなりそうです。

 少し前ですが、ビジネス雑誌に第一期電王戦でポナンザに敗れた山崎八段がソフトとの対戦について、語っています。
 日経ビジネスの11月7日号で「電王戦で将棋ソフトに完敗」というタイトルでした。
 電王戦が行われたのは4~5月、このタイミングの記事には違和感を覚えました。
 そもそも、こういう固い雑誌に将棋のことが載ることが珍しいのですが、案の定コラム的に例の件が紹介されていました。
 記事自体は、インタビューをもとに構成されたもののようで「打つ」という言葉が何度も出てきますし(笑)、果たして真意が十分反映されたものなのかと感じました。
 印象に残ったフレーズは、「相手がコンピューターなので感情も駆け引きもない」「将棋ソフトに頼ると、将棋は広い世界なのに、少ない手順に収れんされて、効率的かもしれないが息苦しい世界になってしまう」など。

 ちなみに山崎八段は「不屈の棋士」(講談社現代新書、2016.7刊、大川慎太郎)では、「ソフトの力で強くなるのはドーピングのようなもの」と評したり、「ソフトの出現で将棋の枠組みが広がってタブーが減った」と語ったりされ、自らの苦悩を語りつつ、「棋士は自分一人で考えなければいけない」という強い信念も示されています。

 チェスの世界における人間とコンピューターとの戦いは、将棋よりは歴史もありますし、チェスそのものがグローバルということもあるからでしょうか、多様な形で共存が図られているという話を聞いたことがあります。
 将棋は今が過渡期なのかもしれません。


■創棋会の次回課題
 創棋会の次回課題は「29の桂が跳ねる17手詰」です。
   29は平成29年、干支は「酉」→とり→鶏→桂、17は2017の下二ケタ
   「新年に大きく躍進する⇒干支が空を翔ぶ⇒桂が跳ねる」
 ということで来年にちなんだ作品を募集しようという意図です。
 12月例会で選題の予定です。

 それでは今回も課題の例題を紹介させていただきます。
 今回も中段玉の作品です。


中田章道作(「駒の詩」第3番)
中田章道作「駒の詩」3番

 「29の桂」ではないのですが、左右反転しても同じなのでご容赦ください。
 角の効きにハッシと打つ76飛。
 同角と取らせて退路を塞ぎ、97馬から77桂の吊るし詰。
 なお初手56飛では、66歩合、同飛、85玉、77桂、75玉で失敗。76飛は限定です。
 超短編ですが「桂が跳ねる」作品ということで紹介させていただきました。

【作意】76飛、同角、97馬、85玉、77桂 まで5手詰

 「駒の詩」は中田章道七段の作品集で、1983年に将棋天国社から発行されました。
 中田七段は将棋世界で「実戦に役立つ5手7手詰」を連載中。毎回楽しませていただいています。
 詰パラ入選は1970年(昭和45年)4月号の短大で、初登場ながら首位を獲得されています。当時は奨励会在籍中で、1976年に四段に昇段されました。

 「駒の詩」から作者が自信作として選ばれた作品群から一作紹介させていただきます。

中田章道作(「駒の詩」第87番)
中田章道作「駒の詩」87番

 持駒は多いのですが、難しい作品ではありません。
 85~86玉の脱出を防ぐ86香から楽しい手順が始まります。
 86香、同馬に83飛。
 94玉となったところで打った飛が邪魔になったので85飛成と捨てます。
 85同玉なら86香の効果で74銀、84玉(94玉は83銀生~74馬)96桂打以下です。
 85同馬と取らせて、83銀打と拠点を築きます。
 84玉となったところから気持ちの良い捨駒の連発です。
 まず96桂打。同馬と取らせて85香。同馬なら74馬があります。
 同銀に85銀が焦点に捨てる強烈な一手です。同馬には76桂が決め手です。
 玉方の馬を翻弄する軽快な作品でした。

【作意】86香、同馬、83飛、94玉、85飛成、同馬、83銀、84玉、96桂打、同馬
    86香、同銀、85銀、同馬、76桂、同馬、74馬まで17手詰


北村憲一作(詰パラ2008年6月)
北村憲一作詰パラ200806

 こちらも「29の桂」ではないのですが、左右反転ということでご理解ください。
 手の広い局面ですが、二枚角の効きを活かして包囲網を絞っていきたいところ。
 初手67金と押さえると、75玉とする一手で、急に狭くなったような気がするから不思議。
 75玉にも64銀打と迫れば85玉の一手で、63角成であと一息。
 ここで74金上が不思議な受け。
 74歩合などは、77桂、86玉に75銀が好手で、同玉(同歩なら96馬)に64馬まで詰んでしまう。
 ならばと、横に効かす74飛(金)打合は、同馬とされ、同金、77桂で簡単。
 74金上と移動合するのは同馬なら83から逃げようというもの。
 今度は攻め方も、黙って77桂と跳ねて75銀とします。先の変化でも出てきましたが打った銀の活用は気持ちの良い手段。
 同玉に64角成が継続の好手で、同金に85馬までとなります。

 北村さんは詰パラ誌上で「持駒のある風景」を連載されているほか、全詰連の副会長・門脇賞選考委員長としても活躍されています。

【作意】67金、75玉、64銀、85玉、63角成、74金、77桂、86玉、75銀、同玉、
    64角成、同金、85馬まで13手詰


海老原辰夫作(詰パラ1968年11月号、半期賞、『星河』第4番、『古今詰将棋短編名作選』第146番)
海老原辰夫196811

 初手、非常に手広い局面だが、15銀や47とが良く効いているし、36方面の逃走路も気になるところ。
 27銀は、次の18角が見えないと指せない好手。
 18角を同玉は17馬から詰むので16玉とかわす。
 36の逃路が消えたので、17馬と活用する。
 25玉となったところで、不思議なことに17の馬が邪魔駒になっている。
 これがなければ17桂と跳ねて詰む形。
 そこで35馬と只捨ての妙手が出る。
 39馬が、17から35へ連続ジャンプするところが見事な手順です。

【作意】27銀、同玉、18角、16玉、17馬、25玉、35馬、同歩、17桂、34玉、33金まで11手詰

 海老原さんは近代将棋1958年11月号初入選。同人作家で半期賞2回受賞の実力作家。
 『星河』は海老原さんの作品集で2016年に角建逸さんの編集で発行されました。


 次回はいろいろなタイプの「29桂が跳ねる」作品を紹介します。

***【次回例会】*****************************************************
[日時]2016年12月18(日)13時~
[場所] 関西将棋会館
[課題] 「29の桂が跳ねる17手詰
作品の投稿先 ⇒ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。

***【来年の予定】*****************************************************
★新年会
1月21日(土)開催。
18時開始。
場所は海心丸(JR福島駅前)

(昼間の例会はありません。)
場所の詳細や会費など、あらためて案内させていただきます。

★2月以降は偶数月に例会を開催します。
偶数月の第三日曜日開催。
毎月、何か課題作を持ち寄って楽しく過ごせるようにしたいと考えています。

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以上
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