創棋会例会は10月16日(日)です~課題は「合のつく手筋、3通り以上」~

創棋会例会は10月16日(日)です~課題は「合のつく手筋、3通り以上」~

 今日は「すらすら解ける20手台」の結果発表はお休み。
 例会も来週ですので、そちらの案内です。 

 12月号掲載予定の作品展の課題は「合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。29手以内。)です。
 10月例会で出題作の選考を行いますので、当日持込みも大歓迎です。
 作品の投稿をお待ちしています。

 それでは今回も「合のつく手筋」を含む過去の名作を紹介していきます。

 最初は不利合駒をテーマとした作品。
 不利合駒というのをネットで調べますと、次のように紹介されていました。

不利合駒
 不利先打の玉方応用。 揮発性の合駒*を選ぶ際に、歩でも飛車でも良いのならば歩を選ぶのが有利に見える。 攻方に渡る駒なのだから、効きが弱い方が玉方にとって有利と考えられるからだ。 こういう解答者の心理の逆をつき飛車の合駒をすること。
 *揮発性の合駒:すぐ攻方に取られることだけを考えて選べばよい合駒
  (風みどりの玉手箱 http://www.kazemidori.net/ →詰将棋用語辞典より)

上田吉一作(詰パラ1969年11月、『古今中編詰将棋名作選Ⅰ』第125番、『極光』第28番、『極光21』第78番)
上田吉一_パラ196911

 それでは上田さんの作品を見ていきましょう。
 初手37歩は二歩で打てません。桂馬は48と28から打てますがどちらも取られます。
 そこで、詰将棋らしく49銀と引いて開き王手する手を考えます。
 47玉なら59桂の一手詰。26玉も、27歩、同玉、45馬、36合、19桂、26玉、38桂以下。
 37合はどうでしょうか。
 香合なら、48桂、27玉(同香成は55馬の利きが通るので37香、47玉、59(39)桂以下)、19桂、26玉、38桂、同香成、27歩以下。
 角合なら、48桂、26玉(同香成は37香、26玉、38桂、同香成、27歩以下)、27歩、同玉、38銀左以下。
 しかし37銀合とされると、手は続くものの詰みません。
 困ったようですがうまい手があります。
 48桂、同香成とさせてから49銀と引くのです。
 玉をどこに逃げても馬引きまで。
 39成香とすれば、48桂から26玉に38桂~27歩という筋で成香を取って詰みます。
 38に何か合をして頑張るしかないのですが、38飛合という妙防が飛び出します。

<図:4手目38飛合>
上田吉一_パラ196911_38飛

 もっと安い合駒でも良さそうですが、なぜ飛合が正解なのでしょうか?
 桂は8段目には打てません。
 銀合は同飛、同成香、48桂、同成香、37銀で簡単。
 香合も同じように進めて37香と打てば、26玉、38桂、同香成、27歩として香を奪えば詰みます。
 ところが飛合だと、同じように進めて37飛、26玉となった局面が打歩詰。38桂、同成香と取らせても27歩が打てません。
 27飛と押し売りしても36玉とかわされます。そこから28桂、同成桂、27歩と精算しても同玉、38銀左、36玉となって、続きません。
 38飛合は、飛先飛香の不利合駒でした。
 そこで攻め方も妙手で切り返します。
 48桂、同香成とさせてから39飛と打つのです。

<図:9手目39飛>
上田吉一_パラ196911_39飛
 3手目の局面とよく ていますね。
 持駒が桂2枚に減って39香が飛になりました。
 玉方に飛車があれば38飛合とされて堂々巡りですが品切れ。
 37に頭の丸い駒を捨合する手はありそうですが、角合は37飛から38桂~27飛があります。
 桂合が少し難しいのですが、同飛、26玉、38桂、同成香、27飛、36玉、48桂以下。
 そこで38香合が最善の受けとなります。

<図:10手目38香合>
上田吉一_パラ196911_38香
 38同飛、同成香となったところで、待望の香を入手することができました。
 39飛からの一連の手順は飛香の不利交換でした。
 これで打歩詰が打開でき、成香を奪っての収束となります。

 本作は、玉方の飛先飛香不利合駒と飛香不利交換を簡明に表現した好作。上田さんの初期の作品ですが、とても50年近く前のものとは思えません。
 なお『極光』は1981年に将棋天国社から、『極光21』は2001年に河出書房新社から発行されています。

作意:48桂、同香成、49銀、38飛合、同香、同成香、48桂、同成香、39飛、38香合
   同飛、同成香、48桂、同成香、37香、26玉、27歩、同玉、28歩、26玉
   38桂、同成香、27歩、同玉、38銀左、26玉、27香まで27手詰


 次はヤケクソ中合をテーマとした作品。
 ヤケクソ中合というのをネットで調べますと、次のように紹介されていました。

ヤケクソ中合
 将来取られることになる駒を移動中合すること。
 普通は無駄合として省略されるが、無駄合は持駒ルールからの派生ルールなので、盤上の駒を動かす移動合には適用されない。したがって、この2手伸ばす実戦的には「無駄な」手が詰将棋では有効となる。
  (風みどりの玉手箱 http://www.kazemidori.net/ →詰将棋用語辞典より)

佐々木聡作(詰パラ1976年4月、『古今中編詰将棋名作選Ⅱ』第95番)
佐々木聰_パラ197604

 それでは手順を見ていきましょう。
 すごい初形ですが、22銀と金を質駒にしてから42銀とするのが、上手い手作り。
 32玉の一手に22角成と金を補充。同玉なら23飛という気持ちの良い手があります。
 33玉となったところが問題の局面。
 ここで83飛と龍にぶつけるのが豪快な一手です。

<図:7手目、83飛>
佐々木聰_7手目83飛

 同龍と取れば、龍の利きがそれるので、33馬から64金と打てます。
 63金打のような手も、33馬から84龍を取り、74合に53金と打ってばらしてから43飛と打てば詰みます。
 玉方は泣く泣く龍を見捨てて34玉と逃げ、攻め方はおいしく84飛成と龍を取ります。
 44合は、同龍、同金に23馬とするのがうまい手で、25玉、14馬、34玉、33銀成、45玉(33同玉は23飛)、65飛、55銀合、56金、54玉、55金、同金、64飛、45玉、46歩以下手数はかかるが詰むので、25玉と上部脱出を目指します。
 24龍の追撃には、取れば23飛があるので、16玉とひたすら逃げますが、上部脱出を阻んで19飛とします。
 19飛に17合は28桂~38銀~48金~26龍~39桂がピッタリなので、18歩としますが、かまわず同飛と取ります。
 同桂成なら27金で詰むので、17歩ともう一度合駒をします。
 同飛~28金~16玉となったところで、なんと打歩詰。
 どうやら、84龍を取るところは不成で攻める必要があったようです。
 (なお、24が飛車でも、18飛、同桂成には、28桂から17歩として詰みます。)

<図:16玉>
佐々木聰_16玉

 ここからは収束です。
 17歩から27桂と据えます。24飛は取られますが33馬と活用できます。
 25玉に26銀と桂を取り、37桂から26歩と軽手連発で、15馬から33銀成までの詰み。

 と、ここまで苦労して解いたら、途中の受けの妙手をうっかりしてしまうところです。
 実は7手目の83飛の豪打には、73龍という返し技があったのです。

<図:8手目、73龍>

 同飛車不成と取らせて二手伸ばすのが目的です。
 単なる延命策ではなく、龍の移動捨合という派手な手段で実現したところが素晴らしいと思います。

作意:22銀、同金、42銀、32玉、22角成、43玉、83飛73龍同飛不成、34玉、
   74飛不成、25玉、24飛、16玉、19飛、18歩、同飛、17歩、同飛、同玉、
   28金、16玉、17歩、15玉、27桂、24玉、33馬、25玉、26銀、同と、
   37桂、同と、26歩、14玉、15馬、23玉、33銀成まで37手詰


最後は「取らせ中合」の作品です。

取らせ合駒」とは、取られることが目的の合駒です。ただで取られる位置にわざと打つものです。

若島正作(詰パラ2014年7月 短大①)
若島正パラ201407

 初形、58飛・69角の配置が両王手を期待させます。
 そのためには28桂が邪魔なのでうまく消したいところ。
 19香と打ち24玉に16桂から24桂として消せないかと虫の良いことを思いつきます。
 しかし19香には色々受けがあります。
 16桂跳を消して16に歩を捨合するのは、同香、24玉、25歩、同玉、26歩、24玉、36桂まで。桂の捨合でも、26歩のところで17桂があるので同様に詰みます。
 では歩を渡さず17の桂打ちも防ぐ17への桂の中合はどうでしょうか。
 17桂合、同香、24玉、16桂、14玉、24桂、16歩合(15歩合は26桂)、同香、15歩合、56飛、25銀合(69香成や他合は26桂)、同角、同玉、17桂以下駒余りの詰み。
 どうやら24玉が作意のようです。
 予定通り16桂と跳んで28桂を消しにかかります。
 25玉なら28飛、15玉(69香成は27飛~15歩)、24桂、16歩合、同香、同玉、18飛まで。15玉も24桂、16歩合、同香、24玉、25歩、同玉、28飛があります。
 14玉が最善の逃げ方ですが、待望の24桂です。
 24同玉なら25歩から28飛があるので、合駒で凌ぐ一手です。
 15歩合と受けると18飛があります。以下69香成、15飛、24玉、35馬、同歩、25歩、34玉、44とまで気持ちよく詰みます。
 ちょっとひねって17歩合としても、やはり18飛と回り、69香成(24玉は25歩)、17飛、24玉、25歩以下。
 受けはなさそうですが、妙防がありました。
 18歩の中合です。

<図:6手目 18歩>
若島正パラ201407_18歩

 わざわざ飛の利いているところに、取ってくださいと中合する。不思議な一手です。
 喜んで18同飛とすると24玉となった局面が打歩詰。待望の両王手も不発に終わります。
 18歩は取らせて逃れる、取られることが目的の合駒でした。
 攻め方も妙手で返します。
 28飛と一歩手前に移動します。

<図:7手目 28飛>
若島正パラ201407_28飛

 69香成と角を取らせてから18飛とすれば、今度は24玉が打歩詰の局面ではないので、25歩から15飛とできます。
 打歩詰になりますが35馬の好手で打開し、収束です。

 18歩の不思議な中合と、ブレーキをかけるような28飛の攻防の応酬が印象に残る好作です。
 若島さんは、将棋世界2016年6月号の巻頭詰将棋でもこの手筋を使われています。

作意:19香、24玉、16桂、14玉、24桂、18歩合28飛、69香成、18飛、24玉、
   25歩、同玉、15飛、24玉、35馬、同歩、25歩、34玉、44とまで19手詰


 さて、6月下旬から15回にわたって「合の手筋」を含む過去の名作などを紹介してきました。
 中合、捨合(変則合)、移動合(移動中合、移動捨合)、連続合、合駒を動かす、森田手筋、合駒趣向、持駒変換、時間差中合、回収の手筋。
 それに今回紹介した不利合、ヤケクソ中合、取らせ合駒。
 その他にも、6月号の課題「打診中合」など、合駒にはさまざまなバリエーションがあります。

 課題作「合のつく手筋、3通り以上」投稿をお待ちしています。
 造語も可としていますので、手順の妙味はもちろんですが、ユニークなネーミングの手筋が登場することも期待しています。

***【次回例会】*****************************************************
[日時]2016年10月16日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F和室
(55Pの会合案内では『多目的ルーム』となっていますが、連盟の行事の関係で和室に変更になりました)
[課題] 「合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。)(29手以内)
作品の投稿先 ⇒ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。
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以上

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