<詰パラ10月号到着>
<詰パラ10月号到着>
「すらすら解ける20手台」はひと休み。
詰パラ10月号と創棋会の次回課題「中空の一手」についての記事をお届けします。
■花
少し秋らしい風情の花が咲いていました。

【PR】創棋会作品集『百日紅』
・詰パラで販売中!
→ http://tsumepara.com/contents/11memo/memo.htm
・マイナビ出版は予定数量を完売されたとのこと、ありがとうございました!
・もちろん創棋会でもご注文をお受けします。
下記にお申込みいただければ手配させていただきます。
⇒ blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
多くの方に手にとっていただければ、こんな嬉しいことはありません。
☆「百日紅」の正誤表
詰パラ10月号で「百日紅」のことを書かかせていただきましたが、誤記がたくさん発生してしまい、読者の方には大変申し訳ありませんでした。
詰パラに掲載したもの以外にも小さな誤りが指摘されていますので、現時点の正誤表をWeb上で公開させていただきます。
以下のURLからアクセスできますのでご確認いただければ幸いです。
https://firestorage.jp/download/ace568827c9edd2a892af1d7848a4aa568a679b0
パスワードは「saruseigo」です。
■詰パラ10月号到着
・表紙は相馬康幸さん。楽しい繰り返し趣向作ですね(笑)。プロフィールの「詰将棋作家兼会社員」というのが素晴らしい!
・キッズルーム(3P)。佐藤さん、最後の1ピースの楽しみ方を紹介。
・詰棋校(12P~)。
小学校:超短編で新味を出すのは難しい。しかし好作は続々発表されています。
中学校:原さんの登場は久方ぶりでしょうか?
高校:オリパラの夏はあっという間に終わってしまいましたね。
短大:最小は5枚、最大は10枚という持駒の多さ(笑)。
大学:秋の夜長は中編軽趣向でお楽しみください。
大学院:ネットとの連動企画というのは、こちらでしょうか?
→ http://kazemidori.fool.jp/?p=14975
・谷川浩司の光速流双玉ルーム(18P~)。ご自身の経験から藤井二冠の活躍への想いを語られています。
「藤井聡太論」(講談社+α新書)は私も読みましたが、AIの話など示唆に富む内容と感じました。
・たま研作品展(19P)。「あぶり出し」。小川さんご健在!
・詰四会作品展(19P)。たま研同様オンライン例会からの作品展。
・全詰連の頁(21P~)。全国大会中止の顛末。苦渋の決断でしたが、中止の判断を行ったのは8月中旬でデルタ株が猛威を振るっていましたので、やむを得ない状況でした。
・半期賞(22P~)。今回は初受賞の方はいませんでしたが、短大の関さんと大学の山田さんは久方ぶりのように思います。大学院の添川さんは貫禄(?)の11回目、高校の鈴川さんは早くも二桁の10回目。中学の上谷さんも7回目は結構なスピード。小学の太刀岡さんは投稿の作戦勝ちとは面白い。皆さんおめでとうございました。
・詰将棋の眺め方(30P~)。今回は有吉弘敏さんによる「吉田流」。
吉田健さんは私が詰パラ購読を開始した頃に入手した「続々七手詰傑作集」では、なんと百局中13作も収録されるという大活躍。
創棋会でも何かとお世話になり、有吉さんの紹介された作品群に懐かしさが込み上げてきました。
・持駒のある風景(34P~)。「百日紅」を取り上げていただきました。50年後の話はまさに夢物語ですが、5年後、10年後の実現可能性はどんなもんでしょうか?
・おもちゃ箱だより(36P~)。8月号「怒濤」特別出題の結果発表。並べて鑑賞されると本作の面白さがよくわかると思います。
詳細はWebにも公開されています。
→ https://blog.goo.ne.jp/yakkun610
・ちえのわ雑文集(38P~)。「百日紅」の紹介をさせていただきました。読み物としても楽しんでいただける一冊になったと思います。これも原稿をいただいた皆様のおかげです。この場を借りて、あらためて厚く御礼申し上げます。
それにもかかわらず多数の誤記が発生し、参加者をはじめご購読いただいた皆さまに、ご迷惑をおかけし、謹んでお詫び申し上げます。
また39Pの中段後ろから4行目の6Pは96Pの間違いです。訂正記事に誤りがあり、大変申し訳ありませんでした。
なお正誤表は今回の記事にも記載の通りWebで公開させていただきましたのでご参照いただければ幸いです。
・添田宗太夫は長州生まれで穴熊定跡の元祖(42P~)。古棋書に関する論考は素養がなく理解の難しいところがあるのですが、利波偉さんが編集発行された「象戯秘曲集」とあわせて読むと面白いのかもしれません。
・読者サロン(48P~)。天内啓介さんによるA級優勝作の関連記事。詳細は以下に紹介されていますのでよかったら見てあげてください。こういう記事が増えると結果稿だけではわからない楽屋話を知ることができて面白いですね。
→ https://keitsume.fc2.net/blog-entry-18.html
・会合案内(51P~)。8月は、たま研と詰四会がオンライン開催。詰工房、香龍会、九州G、創棋会がリアル開催。創棋会も宣言下、自粛モードの中での開催でした。
今月の創棋会は10月17日(日)の開催予定です。ブログの最後にも留意事項記載していますのでご一読ください。課題は「中空の一手」。投稿をお待ちしています!
・結果稿(53P~)。詰棋校は下期スタート。小は5手で限定移動2回の大崎作と7手で森田+ブルータスを実現した久保作が首位争い。中3高野作は巧妙な龍の翻弄で2.80の高得点。高校は小林尚樹さんの初解説。手数順はそう気にされることもないと思いますよ。短大は齋藤光寿さんが馬の遠ざかりに捨合の応酬、さらに伏線も入って2.84でトップ。大学では相馬康幸さんの個展に50名超の解答。3作とも高評価。大院は添川さんの持駒変換入りの複式馬ノコが2.85の高評価。
詰備会作品展。オンラインでもほどよい難易度の作品が揃うものですね。
デパートは増ページ(笑)。好作揃いなので5作とも盤に並べて鑑賞されることを推奨。
・編集室(96P~)。
短コンの案内が出ました(47P)。今年は9手詰。昨年11手を準備していた方、しばし寝かせておきましょう(笑)。
水上さんからも「百日紅」の記事をいただきました。ありがとうございます。
・デパート。担当の言葉も見逃せなくなりますね(笑)。
■創棋会の次回課題は「中空の一手」
創棋会の次回課題は「中空の一手」。詰パラ12月号作品展の出題作となります。
何もない空間に放たれる一打やそこで躍動する駒の姿を表現した作品の投稿をお待ちしています。
最遠打や最遠移動という表現もあるでしょう。盤端や最遠地点から一歩手前という演出もあると思います。攻め方の着手に限らず受け方の応手もありですね。飛車や角が主役と考えられがちですが、小駒での見せ方も考えられるのではないでしょうか。
※選考は10月17日(日)例会で行います。投稿は10/15(金)までにお願いします。
■例題紹介
今回は小駒での見せ方、ご鑑賞ください。
小西逸生作 詰パラ1964年8月(「古今短編詰将棋名作選」第114番)

本作は以前も当ブログで紹介させていただいたことがあります。
「続々七手詰傑作集」で本作に出会ったのは、もう50年近く前のことなのですが、初見のインパクトが強かった作品の一つです。
23飛と遠打するのは、19玉なら17龍、18合、46馬で詰むのですが、39玉で困ります。
単に46馬と引くのも、やはり39玉でダメです。
39玉とさせたくないとなると手段は限られます。
18飛と捨てるのが好打。39玉は37龍で簡単ですから同玉と取る一手。
そこで35銀と真っ直ぐ立つのが素晴らしい一手です。
<図1 :3手目 35銀>

35銀に代えて、27銀や47銀は19玉で手がなく、25銀では作意通り進めて46に利きががないので詰みません。
35銀には天に届けとばかり空に向かって拳を突き上げるような感触を覚えます。
19玉では17龍があるので玉は28に戻るしかありませんが、そこで37龍が気持ちのよい決め手です。
<図2 :5手目 37龍>

同玉に27馬までの詰みですが、35で仁王立ちした銀がひときわ輝いているように見えます。
最後に「古今短編詰将棋名作選」の山本勝士氏の解説を引用させていただきます。
『35銀は意表外の妙手ですぐ打ちたくなる18飛を一旦キャンセルさせる魔力を秘めている。37龍で解者の心臓をつかみ、詰め上がり、銀の姿をみればまさに晴天。』
詰め上がりの35銀は中空で光を放っているように見えます。
【詰手順】18飛、同玉、35銀(図1)、28玉、37龍(図2)、同玉、27馬まで7手詰
沢井友計作 詰パラ1964年11月(「古今短編詰将棋名作選」第118番)

46金と寄る手が見えています。
37歩合なら83角と打ち、48玉(27玉なら36龍、16玉、61角成以下)、47角成、59玉、69金まで。
しかし46金には37金合と受けて47角成を防ぐ手があります。
それでも83角として、48玉に37龍と金を取ってしまえば、同玉には47角成、27玉、28金で簡単。
37龍には59玉と逃げ、57龍に58銀合が強防。58歩合のような受けでは、69金、同玉、68金、79玉、77龍、89玉、56角成で詰んでしまうので、67に利かす銀合が最善の凌ぎ。これで詰みません。
いきなり83角と打つ手も考えられます。47歩合、同角成、同玉、46龍、38玉、37金、29玉、26龍と手は続きますが、28歩合と受けられると、これ以上の攻めはありません。
初手はジッと37金と引くのが正解です。
48玉が気になりますが、46龍、59玉、77角(先に57龍も可)、68歩合、57龍、58歩合、68龍、48玉、38金打まで駒余りの詰み。
また29玉なら83角がありますから、39玉と逃げるしかありません。
38金と引くのは29玉でダメ。29金と打つのも同玉、83角、19玉となっては絶望的。
ここで46金とソッポに動いての開き王手が、あっと驚く一手です。
<図3 :3手目 46金>

初形で38に玉がいるときには46金は詰みませんでしたが、39玉と逃がしてから46金とするのは不思議な一手です。
38合と受けられるとどうするのでしょうか?
それには同龍と切ってしまう手があるのです。
同玉に83角と打てば、48玉、47角成、39玉、38金、29玉、28金、19玉、29馬まで。
46金は83角を狙いにした一手ですが、玉を39に追ってからソッポに動くのは、実に巧妙な動きですね。
48玉と左辺への逃げだしを図りますが、ここまで来れば次の一手はわかりますね。
38龍と捨てるのが爽快な一手。
<図4 :5手目 38龍>

59玉なら77角があるので、同玉と取るしかありません。
これで待望の83角が実現しました。
48玉は47角成から前記の詰み筋がありますから27玉と逃げますが、入玉を防いでいる抑えの19銀を28銀と捨てるのが決め手です。
同となら17金から47角成までなので同玉と取りますが、29金と押さえて、37玉、47角成、27玉、38馬までの詰みとなります。
83角の応手に変化同手数が存在するのが玉にキズですが、主眼の46金を中心に、38龍の大駒捨てや28銀の軽手を織り込んで、きれいにまとまった一作です。
【詰手順】37金、39玉、46金(図3)、48玉、38龍(図4)、同玉、83角、27玉、
28銀、同玉、29金、37玉、47角成、27玉、38馬まで15手詰
鈴川優希作 詰パラ2020年12月

短篇コンクールに出題された作品です。
同コンクールは盤面10枚以内という条件が課されており、その制約のなかでいかに新味を盛り込むか、作家の腕の見せ所です。
本作玉を守る駒はなく(無防備図式です!)、攻め方は龍馬がにらんでいて、簡単そうです。
しかし13龍などとやるのは34玉でさすがに上部脱出が止まりません。
56桂を動かして開き王手で89馬の活用を図るのが本筋。
まず敵陣に利かせて44桂と跳ねます。
34合なら14金まで。逃げ場は24玉しかありません。
そこで22龍という手が見えますが、35玉、33龍、26玉で捕まりそうにありません。
正解は64桂と跳ねる手です。
<図5 :初手 64桂>

44桂でも詰まないのにソッポに行く64桂は意表外の手。
何もない空間に跳ねだすさまは、まさに中空の一手。
その狙いはどこにあるのでしょうか?
64桂に34合は33金、24玉、34馬まで。
よって24玉と立つのが最善。
そこで14龍と捨てるのが気持ちのよい手です。
取れば15金までですから35玉とかわして26玉からの上部脱出を図りますが決め手があります。
45馬とジャンプ!
<図6 :5手目 45馬>

26玉は27金があります。
同玉と応じて46金までの詰み。
このとき64に桂を跳ねた効果が現われます。
44に跳ねたのでは龍の横利きを桂が邪魔する形になるのですが、64に跳ねれば14龍の利きが通っているので金打ちまでの詰みになるというわけです。
64桂跳ねに加えて、14龍や45馬と連続大駒捨てで華麗にまとめられた一局です。
【詰手順】64桂(図5)、24玉、14龍、35玉、45馬(図6)、同玉、46金まで7手詰
今回は小駒での見せ方を鑑賞いただきました。
金銀桂は飛角香と違い動けるマス目が少ないのですが、表現によっては「中空」感を演出できるのではないかと思い、そういった作品を紹介させていただきました。
■創棋会の今後の予定
★コロナ情勢により例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控えるなど、当日の運営にご理解をお願いします。
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2021年10月17日(日)13時~
[場所]大阪市港区民センター 楓
〒552-0007 大阪市港区弁天2-1-5
アクセス → https://www.osakacommunity.jp/minato/access.html
<最寄駅>地下鉄中央線・JR環状線「弁天町」徒歩7分
[課題] 詰パラ12月号作品展。課題「中空の一手」。
[会費] 無料
***【次々回例会】*************************************************
[日時] 2021年12月19日(日)13時~
[場所] 大阪市港区民センター 楓
[課題] 追ってご案内させていただきます。
[会費] 無料
**************************************************
・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで
⇒ blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
以上
「すらすら解ける20手台」はひと休み。
詰パラ10月号と創棋会の次回課題「中空の一手」についての記事をお届けします。
■花
少し秋らしい風情の花が咲いていました。

【PR】創棋会作品集『百日紅』
・詰パラで販売中!
→ http://tsumepara.com/contents/11memo/memo.htm
・マイナビ出版は予定数量を完売されたとのこと、ありがとうございました!
・もちろん創棋会でもご注文をお受けします。
下記にお申込みいただければ手配させていただきます。
⇒ blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
多くの方に手にとっていただければ、こんな嬉しいことはありません。
☆「百日紅」の正誤表
詰パラ10月号で「百日紅」のことを書かかせていただきましたが、誤記がたくさん発生してしまい、読者の方には大変申し訳ありませんでした。
詰パラに掲載したもの以外にも小さな誤りが指摘されていますので、現時点の正誤表をWeb上で公開させていただきます。
以下のURLからアクセスできますのでご確認いただければ幸いです。
https://firestorage.jp/download/ace568827c9edd2a892af1d7848a4aa568a679b0
パスワードは「saruseigo」です。
■詰パラ10月号到着
・表紙は相馬康幸さん。楽しい繰り返し趣向作ですね(笑)。プロフィールの「詰将棋作家兼会社員」というのが素晴らしい!
・キッズルーム(3P)。佐藤さん、最後の1ピースの楽しみ方を紹介。
・詰棋校(12P~)。
小学校:超短編で新味を出すのは難しい。しかし好作は続々発表されています。
中学校:原さんの登場は久方ぶりでしょうか?
高校:オリパラの夏はあっという間に終わってしまいましたね。
短大:最小は5枚、最大は10枚という持駒の多さ(笑)。
大学:秋の夜長は中編軽趣向でお楽しみください。
大学院:ネットとの連動企画というのは、こちらでしょうか?
→ http://kazemidori.fool.jp/?p=14975
・谷川浩司の光速流双玉ルーム(18P~)。ご自身の経験から藤井二冠の活躍への想いを語られています。
「藤井聡太論」(講談社+α新書)は私も読みましたが、AIの話など示唆に富む内容と感じました。
・たま研作品展(19P)。「あぶり出し」。小川さんご健在!
・詰四会作品展(19P)。たま研同様オンライン例会からの作品展。
・全詰連の頁(21P~)。全国大会中止の顛末。苦渋の決断でしたが、中止の判断を行ったのは8月中旬でデルタ株が猛威を振るっていましたので、やむを得ない状況でした。
・半期賞(22P~)。今回は初受賞の方はいませんでしたが、短大の関さんと大学の山田さんは久方ぶりのように思います。大学院の添川さんは貫禄(?)の11回目、高校の鈴川さんは早くも二桁の10回目。中学の上谷さんも7回目は結構なスピード。小学の太刀岡さんは投稿の作戦勝ちとは面白い。皆さんおめでとうございました。
・詰将棋の眺め方(30P~)。今回は有吉弘敏さんによる「吉田流」。
吉田健さんは私が詰パラ購読を開始した頃に入手した「続々七手詰傑作集」では、なんと百局中13作も収録されるという大活躍。
創棋会でも何かとお世話になり、有吉さんの紹介された作品群に懐かしさが込み上げてきました。
・持駒のある風景(34P~)。「百日紅」を取り上げていただきました。50年後の話はまさに夢物語ですが、5年後、10年後の実現可能性はどんなもんでしょうか?
・おもちゃ箱だより(36P~)。8月号「怒濤」特別出題の結果発表。並べて鑑賞されると本作の面白さがよくわかると思います。
詳細はWebにも公開されています。
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・ちえのわ雑文集(38P~)。「百日紅」の紹介をさせていただきました。読み物としても楽しんでいただける一冊になったと思います。これも原稿をいただいた皆様のおかげです。この場を借りて、あらためて厚く御礼申し上げます。
それにもかかわらず多数の誤記が発生し、参加者をはじめご購読いただいた皆さまに、ご迷惑をおかけし、謹んでお詫び申し上げます。
また39Pの中段後ろから4行目の6Pは96Pの間違いです。訂正記事に誤りがあり、大変申し訳ありませんでした。
なお正誤表は今回の記事にも記載の通りWebで公開させていただきましたのでご参照いただければ幸いです。
・添田宗太夫は長州生まれで穴熊定跡の元祖(42P~)。古棋書に関する論考は素養がなく理解の難しいところがあるのですが、利波偉さんが編集発行された「象戯秘曲集」とあわせて読むと面白いのかもしれません。
・読者サロン(48P~)。天内啓介さんによるA級優勝作の関連記事。詳細は以下に紹介されていますのでよかったら見てあげてください。こういう記事が増えると結果稿だけではわからない楽屋話を知ることができて面白いですね。
→ https://keitsume.fc2.net/blog-entry-18.html
・会合案内(51P~)。8月は、たま研と詰四会がオンライン開催。詰工房、香龍会、九州G、創棋会がリアル開催。創棋会も宣言下、自粛モードの中での開催でした。
今月の創棋会は10月17日(日)の開催予定です。ブログの最後にも留意事項記載していますのでご一読ください。課題は「中空の一手」。投稿をお待ちしています!
・結果稿(53P~)。詰棋校は下期スタート。小は5手で限定移動2回の大崎作と7手で森田+ブルータスを実現した久保作が首位争い。中3高野作は巧妙な龍の翻弄で2.80の高得点。高校は小林尚樹さんの初解説。手数順はそう気にされることもないと思いますよ。短大は齋藤光寿さんが馬の遠ざかりに捨合の応酬、さらに伏線も入って2.84でトップ。大学では相馬康幸さんの個展に50名超の解答。3作とも高評価。大院は添川さんの持駒変換入りの複式馬ノコが2.85の高評価。
詰備会作品展。オンラインでもほどよい難易度の作品が揃うものですね。
デパートは増ページ(笑)。好作揃いなので5作とも盤に並べて鑑賞されることを推奨。
・編集室(96P~)。
短コンの案内が出ました(47P)。今年は9手詰。昨年11手を準備していた方、しばし寝かせておきましょう(笑)。
水上さんからも「百日紅」の記事をいただきました。ありがとうございます。
・デパート。担当の言葉も見逃せなくなりますね(笑)。
■創棋会の次回課題は「中空の一手」
創棋会の次回課題は「中空の一手」。詰パラ12月号作品展の出題作となります。
何もない空間に放たれる一打やそこで躍動する駒の姿を表現した作品の投稿をお待ちしています。
最遠打や最遠移動という表現もあるでしょう。盤端や最遠地点から一歩手前という演出もあると思います。攻め方の着手に限らず受け方の応手もありですね。飛車や角が主役と考えられがちですが、小駒での見せ方も考えられるのではないでしょうか。
※選考は10月17日(日)例会で行います。投稿は10/15(金)までにお願いします。
■例題紹介
今回は小駒での見せ方、ご鑑賞ください。
小西逸生作 詰パラ1964年8月(「古今短編詰将棋名作選」第114番)

本作は以前も当ブログで紹介させていただいたことがあります。
「続々七手詰傑作集」で本作に出会ったのは、もう50年近く前のことなのですが、初見のインパクトが強かった作品の一つです。
23飛と遠打するのは、19玉なら17龍、18合、46馬で詰むのですが、39玉で困ります。
単に46馬と引くのも、やはり39玉でダメです。
39玉とさせたくないとなると手段は限られます。
18飛と捨てるのが好打。39玉は37龍で簡単ですから同玉と取る一手。
そこで35銀と真っ直ぐ立つのが素晴らしい一手です。
<図1 :3手目 35銀>

35銀に代えて、27銀や47銀は19玉で手がなく、25銀では作意通り進めて46に利きががないので詰みません。
35銀には天に届けとばかり空に向かって拳を突き上げるような感触を覚えます。
19玉では17龍があるので玉は28に戻るしかありませんが、そこで37龍が気持ちのよい決め手です。
<図2 :5手目 37龍>

同玉に27馬までの詰みですが、35で仁王立ちした銀がひときわ輝いているように見えます。
最後に「古今短編詰将棋名作選」の山本勝士氏の解説を引用させていただきます。
『35銀は意表外の妙手ですぐ打ちたくなる18飛を一旦キャンセルさせる魔力を秘めている。37龍で解者の心臓をつかみ、詰め上がり、銀の姿をみればまさに晴天。』
詰め上がりの35銀は中空で光を放っているように見えます。
【詰手順】18飛、同玉、35銀(図1)、28玉、37龍(図2)、同玉、27馬まで7手詰
沢井友計作 詰パラ1964年11月(「古今短編詰将棋名作選」第118番)

46金と寄る手が見えています。
37歩合なら83角と打ち、48玉(27玉なら36龍、16玉、61角成以下)、47角成、59玉、69金まで。
しかし46金には37金合と受けて47角成を防ぐ手があります。
それでも83角として、48玉に37龍と金を取ってしまえば、同玉には47角成、27玉、28金で簡単。
37龍には59玉と逃げ、57龍に58銀合が強防。58歩合のような受けでは、69金、同玉、68金、79玉、77龍、89玉、56角成で詰んでしまうので、67に利かす銀合が最善の凌ぎ。これで詰みません。
いきなり83角と打つ手も考えられます。47歩合、同角成、同玉、46龍、38玉、37金、29玉、26龍と手は続きますが、28歩合と受けられると、これ以上の攻めはありません。
初手はジッと37金と引くのが正解です。
48玉が気になりますが、46龍、59玉、77角(先に57龍も可)、68歩合、57龍、58歩合、68龍、48玉、38金打まで駒余りの詰み。
また29玉なら83角がありますから、39玉と逃げるしかありません。
38金と引くのは29玉でダメ。29金と打つのも同玉、83角、19玉となっては絶望的。
ここで46金とソッポに動いての開き王手が、あっと驚く一手です。
<図3 :3手目 46金>

初形で38に玉がいるときには46金は詰みませんでしたが、39玉と逃がしてから46金とするのは不思議な一手です。
38合と受けられるとどうするのでしょうか?
それには同龍と切ってしまう手があるのです。
同玉に83角と打てば、48玉、47角成、39玉、38金、29玉、28金、19玉、29馬まで。
46金は83角を狙いにした一手ですが、玉を39に追ってからソッポに動くのは、実に巧妙な動きですね。
48玉と左辺への逃げだしを図りますが、ここまで来れば次の一手はわかりますね。
38龍と捨てるのが爽快な一手。
<図4 :5手目 38龍>

59玉なら77角があるので、同玉と取るしかありません。
これで待望の83角が実現しました。
48玉は47角成から前記の詰み筋がありますから27玉と逃げますが、入玉を防いでいる抑えの19銀を28銀と捨てるのが決め手です。
同となら17金から47角成までなので同玉と取りますが、29金と押さえて、37玉、47角成、27玉、38馬までの詰みとなります。
83角の応手に変化同手数が存在するのが玉にキズですが、主眼の46金を中心に、38龍の大駒捨てや28銀の軽手を織り込んで、きれいにまとまった一作です。
【詰手順】37金、39玉、46金(図3)、48玉、38龍(図4)、同玉、83角、27玉、
28銀、同玉、29金、37玉、47角成、27玉、38馬まで15手詰
鈴川優希作 詰パラ2020年12月

短篇コンクールに出題された作品です。
同コンクールは盤面10枚以内という条件が課されており、その制約のなかでいかに新味を盛り込むか、作家の腕の見せ所です。
本作玉を守る駒はなく(無防備図式です!)、攻め方は龍馬がにらんでいて、簡単そうです。
しかし13龍などとやるのは34玉でさすがに上部脱出が止まりません。
56桂を動かして開き王手で89馬の活用を図るのが本筋。
まず敵陣に利かせて44桂と跳ねます。
34合なら14金まで。逃げ場は24玉しかありません。
そこで22龍という手が見えますが、35玉、33龍、26玉で捕まりそうにありません。
正解は64桂と跳ねる手です。
<図5 :初手 64桂>

44桂でも詰まないのにソッポに行く64桂は意表外の手。
何もない空間に跳ねだすさまは、まさに中空の一手。
その狙いはどこにあるのでしょうか?
64桂に34合は33金、24玉、34馬まで。
よって24玉と立つのが最善。
そこで14龍と捨てるのが気持ちのよい手です。
取れば15金までですから35玉とかわして26玉からの上部脱出を図りますが決め手があります。
45馬とジャンプ!
<図6 :5手目 45馬>

26玉は27金があります。
同玉と応じて46金までの詰み。
このとき64に桂を跳ねた効果が現われます。
44に跳ねたのでは龍の横利きを桂が邪魔する形になるのですが、64に跳ねれば14龍の利きが通っているので金打ちまでの詰みになるというわけです。
64桂跳ねに加えて、14龍や45馬と連続大駒捨てで華麗にまとめられた一局です。
【詰手順】64桂(図5)、24玉、14龍、35玉、45馬(図6)、同玉、46金まで7手詰
今回は小駒での見せ方を鑑賞いただきました。
金銀桂は飛角香と違い動けるマス目が少ないのですが、表現によっては「中空」感を演出できるのではないかと思い、そういった作品を紹介させていただきました。
■創棋会の今後の予定
★コロナ情勢により例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控えるなど、当日の運営にご理解をお願いします。
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2021年10月17日(日)13時~
[場所]大阪市港区民センター 楓
〒552-0007 大阪市港区弁天2-1-5
アクセス → https://www.osakacommunity.jp/minato/access.html
<最寄駅>地下鉄中央線・JR環状線「弁天町」徒歩7分
[課題] 詰パラ12月号作品展。課題「中空の一手」。
[会費] 無料
***【次々回例会】*************************************************
[日時] 2021年12月19日(日)13時~
[場所] 大阪市港区民センター 楓
[課題] 追ってご案内させていただきます。
[会費] 無料
**************************************************
・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで
⇒ blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
以上
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