詰パラ9月号が到着
■詰パラ9月号が到着
・全国大会レポート(18P~)。今月は何と言ってもこれです。鈴川さんによる大会レポート。一つ一つのシーンが思い出され、早くも来年が待ち遠しくなります。
・創棋会作品展(33P~)。今回は風船図式です。一問でも解ければ解答をお寄せください。
・全詰連の頁(34P~)。こちらも全国大会のニュース。幹事会の内容も掲載されています。あらたに普及部が設置されることになりました。
・ちえのわ雑文集(44P~)。堀内真さんによる「ツイン作品再考」。小学校25の「かえるのうたが…」については、ブログ『詰将棋考察ノート』( http://tsumenote.blog.fc2.com/ )で詳細に解説されています。
・読者サロン(51P~)。鈴木信幸さんが自作の修正図を掲載されていますが、鈴木さんは『創作詰将棋の世界』( http://suzukou.org/ )というホームページ上で詰将棋のルールを解説されています。一読して明快との印象を持ちました。キズに対する説明も丁寧でした。興味のある方には閲覧をお勧めします。
・結果稿:順位戦(51P~)。各級素晴らしい作品ばかりで読んでいてため息が出ます。
・結果稿:創棋会(84P~)。「成生の態度保留や態度打診」、素晴らしい作品が揃いました。出題時に解けなかった方、是非とも作意だけでなく主要な変化紛れまで鑑賞していただきたいと思います。
■「すらすら解ける20手台」出題中
創棋会のネット作品展「すらすら解ける20手台」、8月24日に投稿された20作を一斉出題しました。
文字通り「すらすら解ける」作品が揃っています。
解けた方、1問でも結構ですから、解答をお願いします。
20手台の作品20作に全手順記載は大変かと思いますので、解答記載方法は簡単にしています。
◇解答送り先: blogsokikaitusin@gmail.com
◇解答締切:9/20(火)
◇解答要領:
・「キーとなる一手」と「手数」を記入してください。(もちろん全手順記入もOKです) ※キーとなる一手は問題ごとに設定しています。
・評価:ABC評価をお願いします。
※Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて、集計いたします。
・短評:「すらすら度」「好感度」「表現力」「技術力」等々、色々な角度からのコメントをお願いします。長くても結構ですので、たくさんの短評をお願いします。
★図面と解答用紙は次のサイトから取り出すことができます(期間:9月7日まで延長)。
図面: http://firestorage.jp/download/82e985e59c0017f5169805f7aa0329ffcbfe8c9a
解答用紙: http://firestorage.jp/download/0f3ca73bc3adaaf98a300abcbac2b52773cd4c61
パスワードはいずれも「surasura」です。
■次回課題作
12月号掲載予定の作品展の課題です。
「合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。)(29手以内)
それでは今回も「合のつく手筋」を含む過去の名作を紹介していきます。
最初は大駒の連続技をご覧ください。
十字次郎作(詰パラ1968年4月・半期賞、『古今短編名作選』第137番、『恋唄』第10番)

69の金を取る手が見えますが、いきなり69飛では28玉とされ17桂の守備が強く、38から47への逃路もあり、つかまりません。
まず47角と捨てるのが好手。同龍と取らせて47地点を塞ぐのが目的。
38銀成というひねった受けがありますが(単に38合は69飛で簡単)、69飛、28玉に18金が好手で、同玉に36角と出れば詰みます。
47角はこの変化に備えた限定打でした。
そうなると玉方は同龍と取るしかありません。
そこで待望の69飛。
28玉なら47が塞がったので19銀から詰みます。
しかし普通に49や39に合駒を打つのでは、19金から39銀打があります。
手段がなさそうですが、受けの妙手がありました。それが49龍の移動中合です。

47に逃路が出来たので19金では詰まないし、39金と打っても同龍、同飛、28玉で続きません。
仕方がないので49同飛と龍を取ります。
玉方も単位に28玉では19銀と打たれるので、連続して受けの妙手を出してきます。
今度は39角合の捨合(変則合)が飛び出します。

これは同飛と取らせて受けやすくしようというもの。
飛銀は品切れだし、金は19金から48飛があるので角合しかないのですが、大駒の連続捨合はインパクトがあります。
同飛、28玉となったところで、18飛と焦点に捨てるのが気持ちの良い決め手。
最後は67角の捨駒で気持ちよく着地です。
二度の合駒が普通合ではなく大駒の捨合、それも移動中合と変則合という高度な表現。
また取った合駒も捨駒として使ってしまうという演出がうまいですね。
十字次郎は若島さんのペンネーム。『恋唄』は若島さんの作品集。1983年に発行。
47角、同龍、59飛、49龍、同飛、39角、同飛、28玉、18飛、39玉、48銀、49玉、67角、同馬、59金まで15手詰
北川邦男作(近代将棋1961年2月・塚田賞、『古今短編名作選』第84番、『渓流』第25番)

24飛や35馬などの誘い手はありますが、18角の守りが強く続きません。
初手は29香と玉方の応手を訊きます。
同となら、24飛から18飛と角を奪う手があり、同角成なら35馬~36飛があります。
27合としても35馬~18飛と回れます。
そこで38飛の横利きを遮断するため、28歩中合という受けの好手で応じます。
こうしておけば24飛としても35馬としても、18飛と行けないので詰みません。

28同香としたところで、再度玉方は受け方を考えなければなりません。
16玉では17歩から35馬があるので27に合駒するしかないのですが、35馬から36飛の筋があるので36に利かす必要があります。
となると銀合しかなさそうですが、それでも35馬から36飛とすると、同銀成と取る一手。
そこで15とから14飛と捨てる好手があって歩が余って詰んでしまいます。
受けがなさそうに見えるところですが、すごい妙防がありました。
27角不成と移動合をするのです。

成ってしまったのでは35馬から17歩が打てるので、不成とするのが巧妙。
また36に利かすのは銀と同じですが、角なら35馬から36飛に同角成と出来るのが大きく、さらに14まで利いているので、15とから14飛を同馬と取れるのです。
しかし抵抗もそこまで。最後の一歩を16から打てば収束となります。
玉方二段中合の妙防を中心に、攻め方も二枚の飛車を上手く捨てて気持ちよくまとめた名作だと思います。
北川邦男氏は1981年に40才で亡くなられた。塚田賞を4回受賞されるなど有数の短編作家でした。『渓流』は1984年5月に発行された遺作集。
作意:29香、28歩、同香、27角不成、35馬、16玉、36飛、同角成、15と、同玉、14飛、同馬、16歩、同玉、26馬まで15手詰
酒井克彦作197606.kif(近代将棋1976年6月・塚田賞、『古今中編名作選 Ⅰ』第149番、『からくり箱』第40番)

入玉形ですが、駒数は少なく、攻方の包囲網に玉が一人で、すぐに詰みそうな様子。
6段目のと金が良く利いているので角打ちはダメ。
28金と打てば、19玉には18金、29玉、28飛、39玉に93角があるが、すぐに39玉と寄る手があり、そこで93角には、48角合(変則合)という絶妙の受けがある。
同角成、28玉となると、38馬、17玉、39角と追撃しても28歩合とされ打歩詰。
実は49銀が邪魔駒で、これがなければ38馬とせず49馬と引く手があって詰む。
作意は、38銀、18玉、29銀、同玉と49銀を消去し、28金から93角と攻める。
ここでも玉方は前述の48角合の妙手で応える。

同角成、28玉となったとき、今度は49馬と引くことが出来、17玉は、39角、28歩、同角、18玉に19歩が打てるというわけです。
37玉とされると上部に逃げ出されそうですが、28角、47玉、48馬、56玉、66馬、45玉、55馬までピッタリ詰む。
結局、玉は19に逃げるしかなく、28角、18玉、73角成とすれば、どうやっても詰みそうな局面。
しかしここでもう一度38歩合という中合の妙手が飛び出す。

同飛と取れば17玉から逃げ出そうという手だが、最後の決め手が28馬と捨てる手。
同玉に38馬から奪った一歩を使っての収束となる。
49銀消去の伏線から、二度の捨合を織り込んだ素晴らしい作品でした。
38銀、18玉、29銀、同玉、28金、39玉、93角、48角合、同角成、28玉、49馬、19玉、28角、18玉、73角成、38歩合、28馬、同玉、38馬、17玉、18歩、同玉、28馬
まで23手詰
***【次回例会】*****************************************************
[日時]2016年10月16日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館
[課題] 「合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。)(29手以内)
作品の投稿先 ⇒ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。
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以上
・全国大会レポート(18P~)。今月は何と言ってもこれです。鈴川さんによる大会レポート。一つ一つのシーンが思い出され、早くも来年が待ち遠しくなります。
・創棋会作品展(33P~)。今回は風船図式です。一問でも解ければ解答をお寄せください。
・全詰連の頁(34P~)。こちらも全国大会のニュース。幹事会の内容も掲載されています。あらたに普及部が設置されることになりました。
・ちえのわ雑文集(44P~)。堀内真さんによる「ツイン作品再考」。小学校25の「かえるのうたが…」については、ブログ『詰将棋考察ノート』( http://tsumenote.blog.fc2.com/ )で詳細に解説されています。
・読者サロン(51P~)。鈴木信幸さんが自作の修正図を掲載されていますが、鈴木さんは『創作詰将棋の世界』( http://suzukou.org/ )というホームページ上で詰将棋のルールを解説されています。一読して明快との印象を持ちました。キズに対する説明も丁寧でした。興味のある方には閲覧をお勧めします。
・結果稿:順位戦(51P~)。各級素晴らしい作品ばかりで読んでいてため息が出ます。
・結果稿:創棋会(84P~)。「成生の態度保留や態度打診」、素晴らしい作品が揃いました。出題時に解けなかった方、是非とも作意だけでなく主要な変化紛れまで鑑賞していただきたいと思います。
■「すらすら解ける20手台」出題中
創棋会のネット作品展「すらすら解ける20手台」、8月24日に投稿された20作を一斉出題しました。
文字通り「すらすら解ける」作品が揃っています。
解けた方、1問でも結構ですから、解答をお願いします。
20手台の作品20作に全手順記載は大変かと思いますので、解答記載方法は簡単にしています。
◇解答送り先: blogsokikaitusin@gmail.com
◇解答締切:9/20(火)
◇解答要領:
・「キーとなる一手」と「手数」を記入してください。(もちろん全手順記入もOKです) ※キーとなる一手は問題ごとに設定しています。
・評価:ABC評価をお願いします。
※Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて、集計いたします。
・短評:「すらすら度」「好感度」「表現力」「技術力」等々、色々な角度からのコメントをお願いします。長くても結構ですので、たくさんの短評をお願いします。
★図面と解答用紙は次のサイトから取り出すことができます(期間:9月7日まで延長)。
図面: http://firestorage.jp/download/82e985e59c0017f5169805f7aa0329ffcbfe8c9a
解答用紙: http://firestorage.jp/download/0f3ca73bc3adaaf98a300abcbac2b52773cd4c61
パスワードはいずれも「surasura」です。
■次回課題作
12月号掲載予定の作品展の課題です。
「合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。)(29手以内)
それでは今回も「合のつく手筋」を含む過去の名作を紹介していきます。
最初は大駒の連続技をご覧ください。
十字次郎作(詰パラ1968年4月・半期賞、『古今短編名作選』第137番、『恋唄』第10番)

69の金を取る手が見えますが、いきなり69飛では28玉とされ17桂の守備が強く、38から47への逃路もあり、つかまりません。
まず47角と捨てるのが好手。同龍と取らせて47地点を塞ぐのが目的。
38銀成というひねった受けがありますが(単に38合は69飛で簡単)、69飛、28玉に18金が好手で、同玉に36角と出れば詰みます。
47角はこの変化に備えた限定打でした。
そうなると玉方は同龍と取るしかありません。
そこで待望の69飛。
28玉なら47が塞がったので19銀から詰みます。
しかし普通に49や39に合駒を打つのでは、19金から39銀打があります。
手段がなさそうですが、受けの妙手がありました。それが49龍の移動中合です。

47に逃路が出来たので19金では詰まないし、39金と打っても同龍、同飛、28玉で続きません。
仕方がないので49同飛と龍を取ります。
玉方も単位に28玉では19銀と打たれるので、連続して受けの妙手を出してきます。
今度は39角合の捨合(変則合)が飛び出します。

これは同飛と取らせて受けやすくしようというもの。
飛銀は品切れだし、金は19金から48飛があるので角合しかないのですが、大駒の連続捨合はインパクトがあります。
同飛、28玉となったところで、18飛と焦点に捨てるのが気持ちの良い決め手。
最後は67角の捨駒で気持ちよく着地です。
二度の合駒が普通合ではなく大駒の捨合、それも移動中合と変則合という高度な表現。
また取った合駒も捨駒として使ってしまうという演出がうまいですね。
十字次郎は若島さんのペンネーム。『恋唄』は若島さんの作品集。1983年に発行。
47角、同龍、59飛、49龍、同飛、39角、同飛、28玉、18飛、39玉、48銀、49玉、67角、同馬、59金まで15手詰
北川邦男作(近代将棋1961年2月・塚田賞、『古今短編名作選』第84番、『渓流』第25番)

24飛や35馬などの誘い手はありますが、18角の守りが強く続きません。
初手は29香と玉方の応手を訊きます。
同となら、24飛から18飛と角を奪う手があり、同角成なら35馬~36飛があります。
27合としても35馬~18飛と回れます。
そこで38飛の横利きを遮断するため、28歩中合という受けの好手で応じます。
こうしておけば24飛としても35馬としても、18飛と行けないので詰みません。

28同香としたところで、再度玉方は受け方を考えなければなりません。
16玉では17歩から35馬があるので27に合駒するしかないのですが、35馬から36飛の筋があるので36に利かす必要があります。
となると銀合しかなさそうですが、それでも35馬から36飛とすると、同銀成と取る一手。
そこで15とから14飛と捨てる好手があって歩が余って詰んでしまいます。
受けがなさそうに見えるところですが、すごい妙防がありました。
27角不成と移動合をするのです。

成ってしまったのでは35馬から17歩が打てるので、不成とするのが巧妙。
また36に利かすのは銀と同じですが、角なら35馬から36飛に同角成と出来るのが大きく、さらに14まで利いているので、15とから14飛を同馬と取れるのです。
しかし抵抗もそこまで。最後の一歩を16から打てば収束となります。
玉方二段中合の妙防を中心に、攻め方も二枚の飛車を上手く捨てて気持ちよくまとめた名作だと思います。
北川邦男氏は1981年に40才で亡くなられた。塚田賞を4回受賞されるなど有数の短編作家でした。『渓流』は1984年5月に発行された遺作集。
作意:29香、28歩、同香、27角不成、35馬、16玉、36飛、同角成、15と、同玉、14飛、同馬、16歩、同玉、26馬まで15手詰
酒井克彦作197606.kif(近代将棋1976年6月・塚田賞、『古今中編名作選 Ⅰ』第149番、『からくり箱』第40番)

入玉形ですが、駒数は少なく、攻方の包囲網に玉が一人で、すぐに詰みそうな様子。
6段目のと金が良く利いているので角打ちはダメ。
28金と打てば、19玉には18金、29玉、28飛、39玉に93角があるが、すぐに39玉と寄る手があり、そこで93角には、48角合(変則合)という絶妙の受けがある。
同角成、28玉となると、38馬、17玉、39角と追撃しても28歩合とされ打歩詰。
実は49銀が邪魔駒で、これがなければ38馬とせず49馬と引く手があって詰む。
作意は、38銀、18玉、29銀、同玉と49銀を消去し、28金から93角と攻める。
ここでも玉方は前述の48角合の妙手で応える。

同角成、28玉となったとき、今度は49馬と引くことが出来、17玉は、39角、28歩、同角、18玉に19歩が打てるというわけです。
37玉とされると上部に逃げ出されそうですが、28角、47玉、48馬、56玉、66馬、45玉、55馬までピッタリ詰む。
結局、玉は19に逃げるしかなく、28角、18玉、73角成とすれば、どうやっても詰みそうな局面。
しかしここでもう一度38歩合という中合の妙手が飛び出す。

同飛と取れば17玉から逃げ出そうという手だが、最後の決め手が28馬と捨てる手。
同玉に38馬から奪った一歩を使っての収束となる。
49銀消去の伏線から、二度の捨合を織り込んだ素晴らしい作品でした。
38銀、18玉、29銀、同玉、28金、39玉、93角、48角合、同角成、28玉、49馬、19玉、28角、18玉、73角成、38歩合、28馬、同玉、38馬、17玉、18歩、同玉、28馬
まで23手詰
***【次回例会】*****************************************************
[日時]2016年10月16日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館
[課題] 「合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。)(29手以内)
作品の投稿先 ⇒ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。
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以上
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