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創棋会の次回課題は「複数の打歩詰関連手筋を含む作品」

<創棋会の次回課題は「複数の打歩詰関連手筋を含む作品」>
 本日は「すらすら解ける20手台」結果発表を休ませていただき、創棋会の次回課題についての例題紹介をさせていただきます

■「すらすら解ける20手台」PartⅣ
 *出題 → http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-287.html
 *結果稿(第一回) → http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-293.html

■創棋会の次回課題
☆12月号掲載作品展の課題
・「複数の打歩詰関連手筋を含む作品」。29手以内。
 打歩詰を巡る手筋は実に多彩です。
 思いつくままに挙げるだけでも、不成、打診、森田手筋、ブルータス手筋、不利逃避、不利合、不利先打等々、さまざまな手筋があります。
 12月号作品展は楽しめるものにしたいと考えておりますので、面白い狙い、ユニークな表現、組み合わせの妙を味わえる作品の投稿をお待ちしています。
 作家の皆さんの腕の見せ所です。奮って投稿ください。
 10月例会で選題します。
   投稿は→ blogsokikaitusin■gmail.com(■を@に変えてください)

◇例題紹介
 例題紹介のために、一昨年のブログでも参考にさせていただいた湯村光造さんの「歩詰手筋総まくり」という論考を読み直しています。
  ※この論考は「将棋めいと」13号(1992年7月)から19号(1995年11月)まで連載されました
 この論考で取り上げられている作品についても、自分なりに鑑賞しなおして、紹介させていただきます。
 それ以外にも、手元の詰棋書を眺めていて、面白いと思ったものは随時紹介させていただきます。
 なお湯村さんの論考が契機となり「打歩詰大賞」が創設されました。同大賞の作品群はブログ「借り猫かも」で詳細に紹介されています。
    http://torakamaneko.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-d497.html

 さて、それでは例題紹介です。管理人が面白いと感じた作品をご覧ください。

OT松田作 近代将棋1975年6月、塚田賞
OT松田

 45においしい金が落ちています。
 45馬と取れば詰みそうな形です。
 53玉は63金まで、54合も61飛から64金です。
 74玉には71飛成と迫り、65玉(73合は同龍、同玉、64金以下)とかわせば、66歩、同玉、56金、67玉と追って62龍とすれば、66歩合、68歩、76玉、54馬まできれいに詰みます。
 しかし、手順中62龍に、65歩と中合する妙防がありました。

<失敗図:65歩>
OT松田_失敗図

 65同龍と取ると、そこで66歩合とされて打歩詰。
 ここまでは必然だったような気がするのですが…。
 実は導入部で65歩合を防ぐ好手順がありました。
 まず61飛成とします。
 62合の一手ですが、歩以外の駒は45馬以下の手順で62龍と取る手があるので、ここは62歩が最善です。

<1図>2手目:62歩
OT松田_62歩

 61飛成、62歩を入れてから、45馬と金を取ります。
 以下は、74玉、72龍、65玉、66歩、同玉、56金と追っていきます。
 67玉となったところで打歩詰。
 ここで62龍と歩を取ると、65歩と中合いされて詰みません。
 63龍と歩頭に捨てるのが強烈な一手です。

<2図>11手目:63龍
OT松田_63龍

 今度は62に歩があるので、65歩の中合が利きません。二歩禁を利用した巧妙な打歩詰打開です。
 65歩合が利かなければ同歩と取るしかありません。
 これで68歩が打てました。以下、76玉に54馬として詰みとなります。

 歩合をさせて二歩禁に誘導するだけでなく、歩頭に龍を捨てる妙手と組み合わせたところが、本局の価値を高めています。
 みごと塚田賞に輝きました。

【詰手順】61飛成、62歩(1図)、45馬、74玉、72龍、65玉、66歩、同玉、
   56金、67玉、63龍(2図)、同歩、68歩、76玉、54馬、75玉、65馬まで19手


伊藤看寿作 宝暦5年(1755年) 『将棋図巧』第52番
図巧52

 46銀から龍を交換して42飛とする手が見えています。
 しかしいきなりでは、46銀、同龍、同龍のとき同桂と取られて詰みません。
 38の地点を塞いでおかないといけないのです。
 38X、同と としたいわけです。
 うまい具合に28にと金があります。これを奪うと一歩入手できます。
 28馬、同歩成、38歩、同と と進むと順調なのですが、28馬には同歩不成と応じられて打歩詰です。

<失敗図>28同歩不成
図巧52失敗図

 そこで攻め方も一工夫。
 まず29桂と打ちます。
 これは同との一手。
 そこで19馬と引くのです。

<3手目:19馬>
図巧52_19馬

 19馬を同と と取るのは、36金と捨てるのが巧い手で、同龍と取らせて39龍とすれば38合に49桂までの詰み。
 ということで19馬は取れないので28合の一手です。
 金銀は簡単。桂は打てません。
 香合は、同馬、同歩不成と応じても、38香と打てます。同歩成なら作意同様に38香、同と として詰みます。
 28と と引くのも、同馬なら同歩不成という意味ですが、29桂の一発。
 28に歩が打てれば、というのは無理な話なので、28歩成とします。
 同馬と取れば同との一手。
 これで28にと金を残せたので、ようやく38歩と打つことが出来ました。
 初形から28馬と一歩入手するのは同歩不成で打歩詰になるので、わざわざ29桂、同とと と金を移動させてから19馬と捨て、28歩成とさせて、同馬、同と と、一歩入手して初形の28とを残すというのは、絶妙の手順です。

 ここからあとは収束ですが、きれいに捌いていきます。
 まず46銀と捨てます。
 同龍、同龍と交換して、42飛と打ちます。
 56玉に67金と活用し、55玉には47桂と捌き、54玉に46桂と捨てます。
 同桂と取らせて、45飛成が気持ちの良い決め手。
 同玉に、35金から44金と、26金と17角が働いて詰み。

 46銀が5手目でも7手目でもよい手順前後のキズがありますが、取れる駒を取らずに29桂から19馬とするのは、絶妙の手順でした。

【詰手順】29桂、同と、19馬(図)、28歩成、同馬、同と、38歩、同と、
   46銀、同龍、同龍、同玉、42飛、56玉、67金、55玉、
   47桂、54玉、46桂、同桂、45飛成、同玉、35金、54玉、44金まで25手詰


山田修司作 「不利逃避」 近代将棋1963年2月
(塚田賞、『夢の華』第40番、『古今中編詰将棋名作選』第84番)
山田「不利逃避」

 55桂が見えています。同銀なら53馬がありますが、42玉とされると、41桂成、33玉、34銀打、24玉で脱出モード。
 初手は34銀と打って同飛と取らせておくのが上手い手です。
 もちろん同飛、同銀のような手は54玉でダメですから、同飛に55桂と打ちます。
 42玉と逃げる一手に41桂成とすれば33玉と逃げるしかなく、狙い通りに34銀と飛車を入手することに成功。
 24玉に25飛と打てば14玉と寄る一手。
 しかし追い込んでみたものの、14玉(失敗図)となった局面は打歩詰。

<失敗図:14玉まで>
山田「不利逃避」失敗図

 そこで攻め方は少し工夫します。
 34銀打、同飛、55桂、42玉の局面で、51馬と捨てます。
 同角と取らせておいて、41桂成、33玉、34銀、24玉、25飛、14玉(変化図)と進めると、遠く51の角が15に利いているので、今度は15歩が打歩詰にならないというわけです。
 51馬が取歩駒を移動させる好手筋でした。

<変化図:14玉まで>
山田「不利逃避」変化図14玉

 14玉(変化図)となれば、15歩、同角、23飛成、同桂(金)、25銀まで、邪魔な飛車を捨ててキレイに詰みます。
 しかし本作は、それで終わりではありませんでした。
 34銀打、同飛、55桂、42玉、51馬、同角、41桂成のとき、52玉と寄る手があるのです。

<1図>8手目:52玉
山田「不利逃避」8t52玉

 52玉には51成桂と角をタダで取られてしまうので、まったく意味がないように思えますが、42玉、41成桂、33玉、34銀、24玉、25飛、14玉(2図)まで進むと、ようやくその意味が分かりました。

<2図>16手目:14玉
山田「不利逃避」16t14玉

 2図では変化図に存在した51角がありません。
 そのため2図は打歩詰になっています。
 52玉は、角を取らせることによって、打歩詰に誘導しようという、非常に高級な手筋です。
 駒を一枚損してしまうのが不利に見えることから、この手筋は「不利逃避」と呼ばれています。
 2図は打歩詰で15歩と打てませんが、持駒に角があります。
 まず23角と打ちます。
 同金は、同飛成から25金ですから、同桂と取るしかありませんが、これで15歩と打つことが出来ます。
 15歩、同桂に23飛成が決め手。
 同金に25銀までの詰み。

 不利逃避の一号局で、塚田賞を受賞されました。

【詰手順】34銀打、同飛、55桂、42玉、51馬、同角、41桂成、52玉(1図)、
   51成桂、42玉、41成桂、33玉、34銀、24玉、25飛、14玉(2図)、
   23角、同桂、15歩、同桂、23飛成、同金、25銀まで23手詰


■創棋会の今後の予定
 ※10月と11月は会場が異なりますのでご注意ください
***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2019年10月20日(日)13時~
[場所]  大阪市港区民センター 楓
  〒552-0007 大阪市港区弁天2-1-5
     アクセス → https://www.osakacommunity.jp/minato/access.html
[会費]  無料
[課題] 12月号作品展「複数の打歩詰関連手筋を含む作品」29手以内

***【次々回例会】*********************************************** 
[日時] 2019年12月15日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 304号
  〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
     アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
[会費]  無料
[課題] 3月号作品展「捌きを楽しむ作品」29手以内
****************************************************** 

★課題作の投稿などはこちらまで → blogsokikaitusin■gmail.com(■を@に変えてください)
以上
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