古今中編詰将棋名作選から(4)
連休中に撮った写真の続きです。
天気が良かったので万博公園に行きました。
いつ見ても太陽の塔は迫力があります。
さすがにゴールデンウィークとあって予約なしの内部見学は無理でした。

■最近読んだ本
「盤上の向日葵」(柚月 裕子、中央公論新社、2017年)
本作は2017年度本屋大賞2位となった作品。
折からの将棋ブームで注目を集めたのでしょうか。
遺棄された死体と一緒に埋められていた名駒、編入試験でプロになった天才、真剣師の登場と、ストーリーは面白くどんどん読ませる作品。しかし対局内容の描写は、フィクションなので迫力が伝わってくるには至らず。
飯島プロの監修を受けたという事で荒唐無稽な内容はなく、盛り込まれたエピソードなどは肯けるものばかり、先の印象は欲張りというものかもしれません。
作者の作品では2016年に推理作家協会賞を受賞した「孤狼の血」が映画化され話題になっています。
個人的には2013年に大藪春彦賞を受賞した「検事の本懐」とそのシリーズが好きです。
■「古今中編詰将棋名作選」から
「中編名作選」プロジェクトは現在進行中とのことですが、1978年に発行された「古今中編詰将棋名作選Ⅰ・Ⅱ」から、好作を紹介させていただきます。
柏川 悦夫作 近代将棋1960年8月(「古今中編詰将棋名作選Ⅰ」74番、「駒と人生」第78番)

実戦型。どこから手をつければいいのかという形だが、23金から14金と飛車を奪うのが実戦的な手段。
33玉には31飛成、32桂合、22角、43玉、42飛、53玉、52飛成、同玉、32龍、42合、63銀で詰み。また34玉も35飛、43玉、45飛、44桂合(歩合は同銀成、32玉、33歩)、同銀成、32玉、43成銀、同銀、41飛成で詰む。いずれも手数は長いのですが大駒の力が強く詰みますのでお確かめください。
14同香に24飛と打ち、12玉に21飛成から31飛成と、二枚飛車を切ってしまうのが意表の手段。詰将棋らしからぬ駒を取りながらの寄せです。
31玉に13角成と角を活用。
41玉にはさらに、14馬と香を入手します。
そして51玉のとき、41馬と飛び込むのが何とも言えない爽快な一手。
<15手目 41馬>

41同銀なら53香と打ち、52飛合と受けても、63桂、61玉、72角、同飛、51香成できれいに詰みます。
41同玉と応じるしかありませんが、49香の遠打が気持ちの良い手です。
51玉には42銀成~52成銀として74角と打てば詰み。
44歩合と捨合して51玉と逃げるのは、42銀成、61玉に62歩と打って駒余り。
そこで43歩合としますが、同香と取り同銀に53桂と打てば、51玉に52歩とたたくのが決め手。同玉に74角と打ち、53玉に63角成まで「一」の字が浮かび上がりました。
実戦型から忽然と「一」の字が浮かび上がるのは、柏川さんらしい意外性のある一局。
なお83桂は残念な配置ですが、41馬のところで43桂、同銀、42角、61玉、63香以下の余詰消しのためです。
<詰上り 「一」>

【作意】
23金、同玉、14金、同香、24飛、12玉、21飛成、同玉、31飛成、同玉、
13角成、41玉、14馬、51玉、41馬、同玉、49香、43歩合、同香、同銀、
53桂、51玉、52歩、同玉、74角、53玉、63角成まで27手詰
なおこの作品が1994年発刊の「詰将棋半世紀」では次図のように修正されています。
先の図では49香に44桂合の変化がきれいに割り切れていなかったので、修正されたものと思いますが、発表から数十年を経た作品も丁寧に推敲される姿勢には頭が下がります。

【作意】11桂成、同玉、12香、同玉、23歩成、同玉、25飛、12玉、21飛成、同玉、
31銀成、同玉、13馬、41玉、14馬、52玉、41馬、同玉、53桂、51玉、
52歩、同玉、74角、53玉、63角成まで25手詰
■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年6月17日(日)13時~
[場所] 大阪市立福島市民センター
大阪市福島区吉野3‐17‐23
地下鉄千日前線野田阪神駅、阪神電車野田駅、JR東西線海老江駅から徒歩5分。
JR環状線野田駅から徒歩8分
https://www.osakacommunity.jp/fukusima/
[会費] 無料
[課題] 今回は一般募集していません
***【次々回例会】*************************************************
[日時] 2018年8月19日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F 多目的ルーム
https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費] 千円(学生無料)
[課題] 「すらすら解ける20手台 PartⅢ」(予定)
募集要項はあらためて案内させていただきます。
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