創棋会の次回課題は「実戦に役立つ10手台」

<創棋会の次回課題は「実戦に役立つ10手台」>

 クリスマスモードも終って、今年も残すところ数日になりました。
 今年も創棋会のホームページ「創棋会通信+α」をご愛読いただき、ありがとうございました。
 来年も引き続きよろしくお願いいたします。
 皆様にはどうぞ良い年をお迎えください。

雪だるま
(ブログの更新がやや遅れたので、用意していた写真も時期ずれに…)

 最近読んだのが「幻庵」(百田尚樹、文藝春秋)。江戸時代後期の囲碁家元の主導権争いを描いた作品。
 冒頭に幼い幻庵が置き碁の下手で負けて大泣きするシーンの描写があり、思わず藤井聡太四段のことを思い起こしてしまいました。
 私は囲碁は初段に星目でも勝てない超初級者ですが、名人碁所を争う対局シーンの描写は迫力があり、盤面が理解できればもっと楽しめたと思います。

■創棋会の次回以降の課題
☆次回課題は「実戦に役立つ10手台
 来年2月は今年に続いてネット作品展「教材に使える10手台」PartⅡを開催します。
 今回のテーマは「実戦に役立つ」ことです。
 実戦型、囲い図式、格言の応用、実戦に応用できる手筋など、表現は自由です。

☆4月例会の課題は「ダブル不成」(6月号作品展)。
 「ダブル」の解釈は自由です。双方不成、同じ駒を二度不成、同一地点に二種不成など色んな表現があると思います。

■「教材に使える10手台」PartⅡ
 今年は2月にネット作品展「教材に使える10手台」を開催しました。
 詰将棋との出会いは人それぞれですが、多くの人に詰将棋の楽しさ、面白さを伝えられるような教材が作れるといいのではないか、そういう想いから、この企画を考えました。
 そのときの条件は『教え易い、分かり易い、覚え易い』というものでしたが、出品された作品は、初心者向けから上級者向けまで、不成や打ち換え、合駒といった基本手筋から、スイッチバックやアンピン、遠打ちや趣向といったちょっぴり高級なものまで、また実戦型から大道棋まで幅広い分野の好局が揃いました。

 今回は少し切り口を変えて、実戦派にも詰将棋の面白さを知ってもらうために、「詰将棋は実戦の役に立つ」ということを、作品を解いたり鑑賞したりすることによって感じ取っていただけないものかと考えました。
 「読みの力を鍛える」という目的で詰将棋に取り組むのはいいのですが、それだけでは楽しくないですよね。難しいだけではない謎解きの世界があります。
 また「詰み形を覚える」なら、1・3・5手をたくさん解けばよいというのは、多くの入門書に書かれていることですが、10手台ならではの世界もあると考えます。少し棋力があがれば、やや長めの手数にチャレンジいただくこともあるでしょう。そこで何か実戦に応用の利くものをつかみ取っていただきたい、そういう作品を集めたいと考えた次第です。


 それでは、管理人の好みで選んだ例題を紹介させていただきます。


菊田裕司作 近代将棋1993年7月号(『月下美人』桂香図式第5番)
菊田裕司_月下_桂香№5

 3×3に収まった好形。
 解いてみようという気にさせるには、好形ということが重要な要素の一つです。
 初手がほぼ32角成しかないのもとっつきやすいところです。
 32角成に13玉と上がられると一瞬、上部脱出が不安になりますが35角と打てば逃げ出すことは出来ません。
 ここで24に合駒です。14銀から23馬の筋が一目ですから23に利かす飛車か金が正解ということがわかります。易しい変化ですが合駒読みは実戦でも役に立つと思います。
 23金合には22銀と打つ手があり、12玉に13歩、同桂、21銀不成まできれいに詰みます。
 24の合駒は21に利かす飛合が最善です。

<4手目:24飛合>
菊田裕司_月下_桂香№5_24飛

 22銀とすると飛車が利いてくるので、12玉には21馬とするしかなく、それでは23玉とされて捕まりません。14銀と押さえるのが正解。
 12玉に13歩と打って同桂と取らせたところで23馬が好手。

<9手目:23馬>
菊田裕司_月下_桂香№5_23馬

 同飛と取るしかありませんが、13角成と切るのが思い切った一手。これで桂馬を入手できました。13歩と打って同桂と取らせたのは質駒を作る ためだったのです。
 同飛とされますが、24桂と打つことができ、22玉に32香成までの詰みです。

【作意】32角成、13玉、46角、24飛合、14銀、12玉、13歩、同桂、23馬、同飛、
   13角成、同飛、24桂、22玉、32香成まで15手詰

 菊田裕司さんは80年代から90年代にかけて詰将棋作家集団ACTで活躍されましたが、指将棋の強豪としても有名でアマチュアの全国タイトルを複数獲得され、現在も活躍中です。


桜木健古作(『実戦形パラダイス』第99番)
桜木健古_実戦パ№99

 本作も右上隅4×4に収まった好形で、いかにも実戦に現れそうな図です。
 持駒豊富ですが33金の守りも強力ですから、切れないように攻める必要があります。
 初手は32歩などが目につきますが、これは22玉で手も足も出ません。
 俗に42金と打ちます。
 22玉に32金打と重ねて打つのが有力ですが、13玉とかわされると、33龍と切っても同桂と応じられ、金二枚では続きません。
 ここは打ったばかりの金を32金と寄るのが好手。

<3手目:32金>
桜木健古_実戦パ№99_32金

 32金は打った駒を活用する気持ちの良い手です。
 今度13玉なら、33龍、同桂のとき、持駒に金が三枚ありますから、23金と捨てて22金打から詰みます。
 玉方も32同金と取るしかありません。
 手拍子で23歩と打ちたくなります。同金と取れば32金から23龍がありますから。
 しかし23歩には13玉と逃げられると詰みません。
 ここで13金と捨てるのが先まで読んだ好手です。

<5手目:13金>
桜木健古_実戦パ№99_13金

 13金は「逃路に先着」の好手筋です。同桂でも同香でも13の逃げ道を塞ぐことが出来るというわけです。
 同桂なら23歩、同金、32金から23龍と切って歩が余って詰んでしまいますから、最善は同香です。
 同香に、あわてて12金としては31玉とされて続きません。
 23歩と打ち同金と取らせてこの金を質駒にします
 23同金に32金と打ち、11玉には12歩と叩いて、同玉に23龍と切れば、同玉に22金打までと、最後は大駒を捨てて金二枚の清涼詰となります。
 「打った駒を捌く」、「逃げ道を塞ぐ」、「質駒をつくる」といずれも実戦に役立つ手筋ではないでしょうか。

【作意】42金、22玉、32金、同金、13金、同香、23歩、同金、32金、11玉、
    12歩、同玉、23龍、同玉、22金打まで15手詰

 桜木健古さんは40歳で初入選を飾られた遅咲きの作家。1998年逝去。文筆家としても有名で『生きるヒント・一日一話』(三笠書房)などがあります。
 『実戦形パラダイス』は1970年代に詰パラ発表された作品から実戦形詰将棋といえる好局を抜粋して編集されたもので2002年に毎日コミュニケーションズから発行されました。


桑原辰雄作 近代将棋1967年4月(『妙義図式』第93番)
桑原辰雄№93

 本局も実戦形の好形。自然な形に加えて、当り駒が少ないのも好印象。
 金気がないので詰み形がパッと浮かびませんし、上部に脱出されそうなところも気になります。
 24桂と打ちたくなりますが13玉で脱出が防げません。
 かといって13香は急ぎ過ぎで、13同玉に35角と打って脱出は防げますが24銀合が強防です。以下、25桂、12玉、21角成、同玉となると24銀がよく利いて13桂も33桂も切れてしまいます。
 初手はいきなり21角成と桂を取るのが正解。
 13玉なら35角で脱出を止められますから、同玉の一手。
 ここで13桂と打つのが好手です。

<3手目:13桂>
桑原辰雄№93_13桂

 13桂は同香と取る一手。これで13の逃げ道を塞ぎました。
 ここで22香と打つのは12玉、21角、11玉で続きませんし、12角も11玉でダメです。
 となると32角しかありません。11玉なら41龍、22玉なら41角成があるので、12玉とかわすのが最善ですが、初形に戻ったような雰囲気です。
 持駒の香に働き場所を与える良い手があります。
 24桂と捨てます。

<7手目:24桂>
桑原辰雄№93_24桂

 24桂は同歩と取るしかありませんが、そこで21角成と捨てるのが継続の好手。
 23玉と上部脱出されそうですが、12馬でピッタリ捕まっています。味の良い変化ですね。
 21同玉と取らせると、今度は23香と離して打つことができます。31玉に22香成までの詰みです。24桂は香の打ち場所をつくるための捨駒でした。
 本作は「角(馬)の利きで上部脱出を防ぐ」「香は離して打つ」「香の打ち場所をつくる」といった手筋が実戦での応用性のあるところかと思います。

【作意】21角成、同玉、13桂、同香、32角、12玉、24桂、同歩、21角成、同玉、
    23香、31玉、22香成まで13手詰

 桑原辰雄さんは、「桑原流」と呼ばれる難解短編作で一世を風靡。2015年10月に亡くなられました。享年82歳。『妙義図式』は同氏の初の作品集で野口ブックスから1974年に発行されました。同氏の作品集には他に『赤城図式』『ガチンコ詰将棋』『榛名図式』などがあります。


■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2018年1月21日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
  https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[課題] なし(皆さんの発表したいことがあればお願いします)
  ※終了後新年会開催!
    <日時>1月21日(日)18時~
    <場所>大和水産 福島店
       TEL:06-6458-8581
       大阪市福島区福島5-13-18 福島ビル 1F
         JR大阪環状線福島駅 徒歩1分
          *駅を出て南側、二本目の通り(マクドナルドがあります)を西に曲がって直ぐ。
       参考URL https://r.gnavi.co.jp/496uttxr0000/
    <会費>3千円(学生・女性千円)
   ★参加いただける方は、予約の都合もあるので、下記宛ご一報いただければ幸いです。
      blogsokikaitusin@gmail.com

***【次々回例会】**********************************************
[日時] 2017年2月18日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
[会費] 千円(学生無料)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台~実戦に役立つ詰将棋~」。
        投稿は→ blogsokikaitusin@gmail.com

***【その次の例会と課題】********************************************
[日時] 2017年4月15日(日)13時~
[場所] 未定(将棋会館または公共施設)
[会費] 未定
[課題] 「ダブル不成
       投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp

  ※課題によって投稿先が異なりますのでご注意ください

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