創棋会の次回課題「繰り返しのある短編」

<創棋会の次回課題「繰り返しのある短編」>

■「中学生棋士」(角川新書)
 全国大会の来賓挨拶で谷川九段が「名古屋では他にも仕事があり、その成果は2ケ月後くらいにはわかる」とおっしゃっていましたが、それがこの本だったというわけですね。
 藤井四段に関する記述をはじめ随所に詰将棋の話が出てくるのは嬉しい。また羽生・加藤・渡辺の三氏についての考察は、対戦相手としての想いなども書かれていて興味深く読みました。谷川さんは名人になる前から注目の的で、近代将棋や将棋世界では十代から自戦記を連載されていて、当時書かれていたことも思い出しながら、あっという間に読んでしまいました。

■創棋会の次回課題
 創棋会の次回課題は「繰り返しを含む短編(17手以内)」です。
 12月の例会で選考、3月号作品展に掲載の予定です。
 「繰り返し」についての定義はありません。
 自由な発想で「繰り返し」を表現していただければ幸いです。

 10月15日に開催された創棋会例会の模様は小池さんにも紹介いただきました。小池さんありがとうございました。
 そこにも『創棋会作品展は、関西にゆかりのある方以外の投稿も募集しているそうです。』と記載いただいていますが、応募資格のようなものはありませんので、どなたでも投稿歓迎です。
 皆さまからの投稿をお待ちしています。
 投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp

 それではいつものように課題作の例題を紹介させていただきます。
 まず一作目はベテラン長谷繁蔵さんの作品。

長谷繁蔵作 詰パラ1962年9月号(『古今短編詰将棋名作選』第103番、『凌雲』第63番)
長谷繁蔵196209

 パッと目につくのは58龍。
 48歩合なら、27銀、29玉、18銀、38玉に49龍が好手で、同歩成と取らせると、39歩が打てるので、同と、27馬まで。
 しかし58龍には29玉と潜り込まれると詰まない。
 まず銀の繰り替えを行うのが正解。27銀、29玉、18銀、38玉と28銀を18に移動させます。これで29の逃げ道は塞げました。
 そこで待望の58龍です。
 48歩合なら学習済みの49龍があります。
 受け方も工夫して48銀合とします。

<6手目:48銀合>
長谷繁蔵196209_48銀

 なぜ銀合なのでしょうか?
 打歩詰を打開しようと、歩合と同様に49龍と捨ててみましょう。
 歩合は同歩成と応じるしかなかったのですが、銀合は同銀不成と応じることが出来ます。
 同銀不成の局面は打歩詰です。
 なんとかして打歩詰を打開したいのですが、ここで上手い手段がありました。
 27銀、29玉としてから、69龍と捨てるのです。

<9手目:69龍>
長谷繁蔵196209_69龍

 39の利きを消そうとして49銀不成としても同龍か18銀打があります。
 69同香成と取るしかありません。
 ここでもう一度18銀、38玉とすると、今度は39歩が打てるというわけです。
 取歩駒(48銀)を発生させて縛り駒(58龍)を消去するという森田手筋を入玉で表現した好短編。
 69龍の好手が鮮やかなのは言うまでもありませんが、初形の28銀が、27と18を行ったり来たりするところがユーモラスで、繰り返しのある短編に相応しい作品と思いましたので紹介させていただきました。

【作意】27銀、29玉、18銀、38玉、58龍、48銀合27銀、29玉、69龍、同香成、
   18銀、38玉、39歩、同銀成、27馬まで15手詰


中出慶一作 詰パラ1987年7月(『想春譜』第83番)
中出慶一198707

 持駒桂4枚とくれば、もう4桂の打捨しかありません。
 一見して、53龍を動かして62歩成や62飛成を実現したい。そのためには43桂と打ちたいが、43角が邪魔。
 となれば初手は61角成と捨てる一手です。41玉なら33桂、同龍に52馬まで。
 同玉と取らせて73桂と打ち換えます。
 51玉となって初形から43角が消えたので、待望の43桂です。

<5手目:43桂>
中出慶一198707_43桂

 41玉は33桂の一発ですから同龍と取ります。
 龍が43に動いたので62歩成としたくなりますが、74角の利きが通ってくるので詰まなくなってしまいます。
 ここは手筋で61桂成と73の桂を成捨てます。
 取れば62飛成があるので41玉と寄るしかないのですが、そこで33桂が気持ちの良い一手です。

<9手目:33桂>
中出慶一198707_33桂

 龍と取らせて、51成桂と捨てるのが気持ちの良い再活用。
 同玉にようやく62飛成です。
 41玉に53桂が決め手。
 31玉なら41龍まで合利かずの詰み。作意は同龍と取って32銀成まで。
 期待通りに4枚の桂は全部消えて、大変楽しい作品でした。
 本作は同人室に発表されたものです。中出さんが同人作家になられたのは1986年。それからの30年間もコンスタントに作品を発表し続けて、直近では入選473回。衰えない創作意欲にあらためて敬意を表します。

【作意】61角成、同玉、73桂、51玉、43桂、同龍、61桂成、41玉、33桂、同龍、
   51成桂、同玉、62飛成、41玉、53桂、同龍、32銀成まで17手詰


稲富豊作 詰パラ1961年6月(『古今短編詰将棋名作選』補遺18番)
稲富豊196106

 どうやって詰めるのかという形ですが、初手は35飛と俗に打ち込みます。
 同歩なら同馬から24馬と24飛を取ることが出来ます。
 26玉と潜り込もうとする玉に、17金から15飛と回って開き王手するのが好手段です。

<5手目:15飛>
稲富豊196106_15飛

 15飛で25飛と寄るのは44歩と馬を取られて続きません。
 桂馬の裏に回る15飛は、44歩なら24桂と飛車を取りながら開き王手する手を見ているのです。
18玉と潜り込むのも24桂がありますから飛車筋を避けて27玉と寄りますが、17馬と捨てて飛車の利き筋に玉を呼び戻すのが継続の好手。

<7手目:17馬>
稲富豊196106_17馬

 これは同玉と取るしかなく、待望の24桂が実現しました。
 26玉とすると16飛と引いて25玉でも27玉でも26飛打までですから、27玉と寄ります。
 ここで17飛と捨てるのが最後の決め手です。
 同玉と取らせて13飛と可成地点に打ち直せば、27玉に16飛成までの詰みとなります。
 15飛の開き王手を中心に、17金、17馬、17飛と、同一地点にしつこく捨駒が繰り返されるところに、リズム感のある好短編です。

【作意】35飛、26玉、17金、同玉、15飛、27玉、17馬、同玉、24桂、27玉、
  17飛、同玉、13飛、27玉、16飛成まで15手詰

 稲富豊氏は昭和30年代に活躍された方。
 ブログ「借り猫かも」では、今年7月に『稲富豊好作集』と題して10作が紹介されていますので、興味ある方は下記URLを参照ください。
   http://torakamaneko.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/index.html


 「繰り返し」が表現された作品、一回目の三作品いかがでしたか。
 皆さまからも、楽しい作品の投稿をお待ちしています。


***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年12月17日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
    https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費] 千円(学生無料)
[課題] 3月号掲載作品展「繰り返しを含む短編」。17手以内
        投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp
        編集部に郵送いただいても結構です。

***【次々回例会】**********************************************
[日時] 2018年1月21日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
[課題] なし
   ※終了後新年会開催!
    場所は決定次第連絡させていただきます。

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