【結果発表】ネット作品展「教材に使える10手台」<4回目>

■【結果発表】ネット作品展「教材に使える10手台」<4回目>
 創棋会のネット作品展「教材に使える10手台」には、10名の方から解答をいただきました。
 解答いただいたのは次の方々です(敬称略)。皆様ありがとうございました。
    有吉弘敏、上谷直希、奥鳥羽生、河童生、金少桂、小池正浩、
    則内誠一郎、占魚亭、名無し名人、野曽原直之

 多数の方に解答に取り組んでいただきましたこと、あらためて感謝申し上げます。
 楽しんでいただける作品が揃っていたのではないかと思います。
 それでは今日も結果発表を行います。今回は⑦と⑧の2作です。

奥鳥羽生作 中級者向  タイトル「遠打・限定打の原理説明図」
07_限定打と中合

【作意】78角、㋑56香合、24龍、45玉、44龍、36玉、69角、58歩合、同角、同香、
   47龍、35玉、36歩、34玉、43龍まで15手

【評点】百点満点の96点(平均点×100÷3で算出)
  *平均点:2.88、良:7、可:1、否:0
     良は3点、可は2点、否は1点とし、誤無解を除いて集計

作者のことば
 変化㋑35玉に対する退路封鎖のための67以遠、その後の転回時に取られないための78、という2種類の意味の初手です。遠打の意味付けには他にも色々ありますが、単一の目的の方が詰将棋としての味が良いようです。本題は単なる原理説明図ですが、転回時に取られないための遠打の名作の一例として、添川公司氏21手(1980年看寿賞中編)があります。全詰連HP~看寿賞のページ~作品一覧で参照できますので、ぜひ鑑賞してみてください。

★自作解説ありがとうございました。
 初手の78角。盤上この一点しか正解がないという限定打を遠打で表現。
 解説を補足すると、初手56角では35玉、33龍、46玉、37龍、56玉と角を取られてしまいます。しかし67以遠に打てば37龍までで詰むというわけです。
 そこで作意は78角と打ちます。67以遠なら脱出は出来ないのになぜ78なのでしょうか?その理由はもう少し進むとわかります。
 78角に対する56香の中合が妙防。これは同角と取らせれば35玉から逃げ出そうという意味ですが、それだけではありません。
 56同角とは取れないので24龍から玉を追います。
 24龍、45玉、44龍、36玉となったとき、47龍としては35玉、44龍・・・と千日手模様になるので、69角と引きます。
 そうです初手67角と打ってしまうと、56香が利いているので58角と引けないのです。
 最遠地点の89角の場合はそもそも角が引けません。それで78に打ったわけです。
 78に打てば69角と引けます。
 ここで58歩合と出来るのが56に香を中合した理由です。56中合が歩だと69角で詰んでしまいます。
 マニアになると「それなら67香合とすれば69角が消せる、67同角にはそこで56香と連続中合で逃れるのでは?」と高級なことを考えるのですが、香が手に入れば36玉と追ったときに37香があるのです。もっともこういう高級手段を盛り込んだ作品はあります。作者が解説で触れている添川氏の作品です。最後に紹介します。
 以下は58同角と歩を奪い、アッサリと収束します。
 「遠打・限定打の原理説明図」というタイトル通り、明快で教材に相応しい好作、評点も最高の96点を獲得しました。

 それでは自作解説中にある添川氏の看寿賞受賞作を紹介しておきます。

添川公司作(近将1980年3月、看寿賞)
添川公司198003

【作意】17角、62飛、83桂不成、81玉、91桂成、同玉、82角、81玉、71角成、同玉、
  62角成、同玉、63飛、71玉、82龍、同玉、74桂、71玉、61飛成、同玉、62金まで21手詰

★2手目62香合だと83桂から91桂成に同玉となったとき28角と引く手があります。
 64歩合と応じれば82角、81玉、64角成として2枚の角が連結するので詰みます。
 しかし初手26角では35香合とする妙防があり、91同玉に37角と引けません。35同角としても44香とされ、これも同角なら53香合と、香の連続合で角を引くことが出来ません。
 ところが17角とすれば、香の連続合は26~35~44~53としたところで品切れ。
 実に上手い構想です。

則内誠一郎
 少ない駒でさり気なく高級手筋が入っています。

★限定打と遠打は詰将棋の魅力の一つ。

占魚亭
 限定打の理由が7手目に判明。竜の動きもいい感じ。

★変化に潜り込ませず作意に意味が現れるのが明快です。

河童生
 初手の限定遠打も勉強になるが、2手目の合駒選びも勉強になります。

★中合も高級手筋ですがサラリと表現されました。

名無し名人
 転回して合駒を稼ぐための78角限定打は面白い。収束にもう一手あれば…。
 作者予想=奥鳥羽生氏。

★作者予想的中お見事。奥鳥羽生氏は遠角の名手です。

上谷直希
 シンプルイズベスト。お手本にすべき完成度ですね。
 【作者予想】中村雅哉さん

金少桂
 考えるポイントが角の打ち場所だけのため、なぜ角の打ち場所が限定されるのか一点に絞って考えられる良問。

★78角・56香の2手に凝縮された内容は結構ありますが、簡潔に表現されたことが高評価につながったものと思います。

野曽原直之
 凝った意味づけの限定打。

有吉弘敏
 限定遠打は詰将棋の醍醐味です。駒数も少なく綺麗な小品。

★この形にまとまったことが一つの収穫だと思います。

奥鳥羽生
 構想的遠打
 山本民雄2号養成用

★山本民雄氏と言えば「99飛の遠打」があまりにも有名ですが、同氏の作品をパラ誌上で初めて見たのが次図。内容の濃さに圧倒されました。

山本民雄作(詰パラ1970年12月、『古今短編詰将棋名作選』第172番)
山本民雄_パラ197012

【作意】15金、同玉、26角、16玉、49角、同龍、59角、46龍、同飛、25玉、35飛、
   同玉、26角、46玉、37金まで15手詰

★取れる龍を取らずに49角の限定遠打から59角の最遠移動、対する46龍の移動合から35飛の豪快な捨駒まで息もつかせぬ展開です。


芹田修作 中級~上級者向け 「限定打とスイッチバック」
08-限定打とスイッチバック

【作意】14角、35玉、25飛、36玉、48桂、47玉、28飛、14龍、36角、同と、57金まで11手詰

【評点】百点満点の83点(平均点×100÷3で算出)
   *平均点:2.50、良:4、可:4、否:0
      良は3点、可は2点、否は1点とし、誤無解を除いて集計

★タイトルは「限定打とスイッチバック」。
 「スイッチバック」というのは“ある駒が初期位置から動いた後、同じ経路を通って元に戻ること”です。駒の軌跡を表現したものです。
 44龍がいなければ46金の一手詰ということがわかれば初手の発見は容易でしょう。
 14角と遠くから打ちます。これは限定打です。25角と近くから打ったのでは35玉で詰みません。
 14角に同龍は46金まで。
 25合の変化がちょっと難しいのですが、48桂と打つのが好手で、47玉なら36角から57金、また35玉なら25飛から23飛成があります。
 そこで35玉とかわします。
 それには平凡ですが25飛とします。
 34玉は23飛成があるので36玉と上部脱出を目指します。
 ここで48桂が収束まで読み切らないと指しにくい一手。
 47玉と潜り込まれて切れそうですが、スッと28飛と引いて開き王手すれば、14龍と角を取る一手。56金には48桂の紐がついています。
 そこで36角と近打ちするのが決め手です。同とに57金までの詰み。
 少ない駒数でキレイにまとまった好作。

河童生
 2度の角打は光るが限定打の教材としては不適当。
 これは、「スイッチバック」の教材としておきましょう。

★2度の角打は限定打だったのですが、やや地味だったでしょうか?

野曽原直之
 飛車がスイッチバック。

★25飛から28飛と戻るのがいい味です。

有吉弘敏
 良い作品なのですが、収束形に既視感があります。勘違いかもしれませんが。

則内誠一郎
 手数の割に手強く、教材にするのは勿体ない。

★棋力の高い人が創ると難しくなる?中級~上級者向けにした次第です。

占魚亭
 スイッチバックの前の桂打ちがポイント。

★48桂は捨駒ではないのですが打ちにくい手ですね。

上谷直希
 洗練された配置で好感が持てます。
 【作者予想】野曽原直之さん

★機能的で配置に無駄がないですね。

名無し名人
 宙ぶらりん感が好き。スイッチバックを売りにするには弱いが普通の詰将棋として良く出来ている
 作者予想=野曽原直之氏。

★今回お二人の作者予想はよく一致しますね。

金少桂
 配置・手順ともに今回出題された問題の中で一番普通の詰将棋という感じ。
 スイッチバックはかなり詰将棋マニア向きの概念なので、本作を解かせれば詰キスト候補生を発掘できる!?

★「スイッチバック」という手筋に面白さを感じられるようになれば、ちょっとしたマニアですね。

奥鳥羽生
 緻密な中空の舞
 小林敏樹2号養成用

★小林さんは短編の名手。飛び道具の機能を最大限発揮した次図が印象に残ります。

小林敏樹作(詰パラ1988年4月)
小林敏樹詰パラ198804

【作意】16香、25玉、61角、35玉、39角、44玉、35龍、同玉、17角まで9手詰

★香の短打、61から角の遠打、39角の最遠移動、龍を捨てて17角までの華麗な収束。
 この初形から75角が17に移動する詰上りを誰が予想できるだろう!

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★次回例会
[日時] 2017年4月16(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F和室
[課題] 次回(6月号)企画展のため作品の一般募集は行いません。
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★偶数月の第三日曜日に例会を開催します。
 6月は18日です。場所は大阪市福島区民センターになります。
 8月は20日です。場所は関西将棋会館。例会終了後に45周年記念懇親会を開催します。

 毎回、何か課題作を持ち寄って楽しく過ごせるようにしたいと考えています。
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