古今中編詰将棋名作選から(4)


 連休中に撮った写真の続きです。
 天気が良かったので万博公園に行きました。
 いつ見ても太陽の塔は迫力があります。
 さすがにゴールデンウィークとあって予約なしの内部見学は無理でした。

太陽の塔


■最近読んだ本
 「盤上の向日葵」(柚月 裕子、中央公論新社、2017年)
 本作は2017年度本屋大賞2位となった作品。
 折からの将棋ブームで注目を集めたのでしょうか。
 遺棄された死体と一緒に埋められていた名駒、編入試験でプロになった天才、真剣師の登場と、ストーリーは面白くどんどん読ませる作品。しかし対局内容の描写は、フィクションなので迫力が伝わってくるには至らず。
 飯島プロの監修を受けたという事で荒唐無稽な内容はなく、盛り込まれたエピソードなどは肯けるものばかり、先の印象は欲張りというものかもしれません。
 作者の作品では2016年に推理作家協会賞を受賞した「孤狼の血」が映画化され話題になっています。
 個人的には2013年に大藪春彦賞を受賞した「検事の本懐」とそのシリーズが好きです。


■「古今中編詰将棋名作選」から
 「中編名作選」プロジェクトは現在進行中とのことですが、1978年に発行された「古今中編詰将棋名作選Ⅰ・Ⅱ」から、好作を紹介させていただきます。

柏川 悦夫作 近代将棋1960年8月(「古今中編詰将棋名作選Ⅰ」74番、「駒と人生」第78番)
柏川悦夫作「一」

 実戦型。どこから手をつければいいのかという形だが、23金から14金と飛車を奪うのが実戦的な手段。
 33玉には31飛成、32桂合、22角、43玉、42飛、53玉、52飛成、同玉、32龍、42合、63銀で詰み。また34玉も35飛、43玉、45飛、44桂合(歩合は同銀成、32玉、33歩)、同銀成、32玉、43成銀、同銀、41飛成で詰む。いずれも手数は長いのですが大駒の力が強く詰みますのでお確かめください。
 14同香に24飛と打ち、12玉に21飛成から31飛成と、二枚飛車を切ってしまうのが意表の手段。詰将棋らしからぬ駒を取りながらの寄せです。
 31玉に13角成と角を活用。
 41玉にはさらに、14馬と香を入手します。
 そして51玉のとき、41馬と飛び込むのが何とも言えない爽快な一手。

<15手目 41馬>
柏川悦夫作「一」41馬

 41同銀なら53香と打ち、52飛合と受けても、63桂、61玉、72角、同飛、51香成できれいに詰みます。
 41同玉と応じるしかありませんが、49香の遠打が気持ちの良い手です。
 51玉には42銀成~52成銀として74角と打てば詰み。
 44歩合と捨合して51玉と逃げるのは、42銀成、61玉に62歩と打って駒余り。
 そこで43歩合としますが、同香と取り同銀に53桂と打てば、51玉に52歩とたたくのが決め手。同玉に74角と打ち、53玉に63角成まで「一」の字が浮かび上がりました。
 実戦型から忽然と「一」の字が浮かび上がるのは、柏川さんらしい意外性のある一局。
 なお83桂は残念な配置ですが、41馬のところで43桂、同銀、42角、61玉、63香以下の余詰消しのためです。

<詰上り 「一」>
柏川悦夫作「一」詰上り

【作意】
  23金、同玉、14金、同香、24飛、12玉、21飛成、同玉、31飛成、同玉、
  13角成、41玉、14馬、51玉、41馬、同玉、49香、43歩合、同香、同銀、
  53桂、51玉、52歩、同玉、74角、53玉、63角成まで27手詰

 なおこの作品が1994年発刊の「詰将棋半世紀」では次図のように修正されています。
先の図では49香に44桂合の変化がきれいに割り切れていなかったので、修正されたものと思いますが、発表から数十年を経た作品も丁寧に推敲される姿勢には頭が下がります。
柏川悦夫作「一」→半世紀

【作意】11桂成、同玉、12香、同玉、23歩成、同玉、25飛、12玉、21飛成、同玉、
  31銀成、同玉、13馬、41玉、14馬、52玉、41馬、同玉、53桂、51玉、
  52歩、同玉、74角、53玉、63角成まで25手詰


■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年6月17日(日)13時~
[場所] 大阪市立福島市民センター
   大阪市福島区吉野3‐17‐23
     地下鉄千日前線野田阪神駅、阪神電車野田駅、JR東西線海老江駅から徒歩5分。
     JR環状線野田駅から徒歩8分
       https://www.osakacommunity.jp/fukusima/
[会費] 無料
[課題] 今回は一般募集していません

***【次々回例会】*************************************************
[日時] 2018年8月19日(日)13時~
[場所]  関西将棋会館 4F 多目的ルーム
    https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費]  千円(学生無料)
[課題] 「すらすら解ける20手台 PartⅢ」(予定)
    募集要項はあらためて案内させていただきます。

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古今中編詰将棋名作選から

<古今中編詰将棋名作選から>

 連休はあっという間に終わり、気がつけば2週間近く経っていました。
 連休中に撮った写真です。
 毎年ゴールデンウィークには近所の川に沢山の鯉のぼりが泳いでいます。
鯉のぼり


■最近読んだ本
 「等身の棋士」(北野 新太、ミシマ社、2017年)
 北野氏は報知新聞の記者。ここ数年は将棋関係の仕事が中心のようで第26回将棋ペンクラブ大賞も受賞されている。
 本書には将棋世界掲載のエッセーやWEBマガジンに連載されたものが収録されています。
 藤井聡太さんや羽生さんの記事は結構ボリュームがありました。
 また今泉健司さんや木村一基さんなど個性派棋士のエピソードは面白い内容でした。

■「古今中編詰将棋名作選」から
 「中編名作選」プロジェクトは現在進行中とのことですが、1978年に発行された「古今中編詰将棋名作選Ⅰ・Ⅱ」から、好作を紹介させていただきます。

岡田 敏作 詰パラ1964年3月(「古今中編詰将棋名作選Ⅰ」補遺17番)
岡田作1_補17

 37龍と58桂の包囲網は強力。
 45銀と捨てて43飛成とする筋が見えますが、その前に85角を活用して74角と合駒を請求します。
 桂馬は品切れです。何合をしても同角と取って同桂に45銀と捨てれば、同玉、43飛成まではすらすらと進みます。
 ここで65で取った合駒を46に打ってから54龍とする手があるので、これを防いで44金合とするのが好防です。
 65合が香だと46香から44龍と金を取って早いので、65合は歩合が最善だったことが分かります。

<8手目 44金合>
岡田作1_補17_44金


 46歩と打って、55玉と寄ったときに54と としますが、同金と応じることが出来るのが44金合の効果です。
 56歩と叩けば、同玉には54龍があるので、同馬の一手ですが、35龍と切るのが英断の一手。
 同銀には、64銀と捨て同金と取らせます。
 44金合が二度動くのがいいですね
 さらに、47桂と捨てるのが決め手です。
 同馬に45龍まで「ケ」の字が浮かび上がりました。

<詰上り 「ケ」>
岡田作1_補17_詰上り


 本作は、「こんにちは恵子ちゃん」と題して、柴田昭彦さんのお嬢さん誕生を記念して、岡田さん、長谷繁蔵さん、横田進一さんの3人で祝賀詰「ケイコ」を発表された中の一局です。

【作意】
  74角、65歩、同角、同桂、45銀、同玉、43飛成、44金、46歩、55玉、
  54と、同金、56歩、同馬、35龍、同銀、64銀、同金、47桂、同馬、45龍まで21手詰


■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年6月17日(日)13時~
[場所] 大阪市立福島市民センター
  大阪市福島区吉野3‐17‐23
    地下鉄千日前線野田阪神駅、阪神電車野田駅、JR東西線海老江駅から徒歩5分。
    JR環状線野田駅から徒歩8分
      https://www.osakacommunity.jp/fukusima/
[会費] 無料
[課題] 今回は一般募集していません

***【次々回例会】*************************************************
[日時] 2018年8月19日(日)13時~
[場所]  関西将棋会館 4F 多目的ルーム
        https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費]  千円(学生無料)
[課題] 「すらすら解ける20手台 PartⅢ 」(予定)
    募集要項はあらためて案内させていただきます。

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詰備会に行ってきました

<詰備会に行ってきました>

■将棋世界6月号
・サロンに大和敏雄さんのお名前が!
 復帰のサインならこんなうれしいことはありません。
 ぜひ創棋会にも顔を出してほしいものです。
・渡部壮大さんによる解答選手権チャンピオン戦の記事が7頁も載っているではありませんか。しかも全問掲載!名古屋会場も非公開との記載。
 私個人は最後の一文がうれしかったです。一部抜粋させていただきます。
 『(略)フィーバーによって知名度が上がるのは喜ばしいことだが、詰将棋解答選手権は藤井にとって数少ないプライベートの楽しみである。来年の藤井がどれだけの地位になっているかは分からないが、「これからも楽しんで参加したい」の希望通り、いつまでも気楽に参加できる大会であってほしいものだ。』
 マスコミが藤井さんを追いかけることを止めるのは難しいのかもしれませんが、詰将棋の楽しみの場くらいはそっとしておいてあげてほしいと思いますね。

■書籍紹介「藤井聡太はAIに勝てるか?」 (光文社新書、2018年刊)
 著者はライターの松本博文氏。
 一般受けしそうなタイトルで思わず買ってしまったのですが(笑)、内容は佐藤名人とPonanzaによる最後の電王戦から始まりコンピューター将棋にかなりの部分が割かれています。それはそれで頭の整理にはなりますが事情通には既知の話題が多いと感じました。
 個人的に興味深かったのは引退棋士永作芳也氏に関する叙述。こういう人間ドラマのような話が面白く感じてしまいます。同様にコンピューター将棋もそれを巡る開発者の人間模様が面白い。
 いつかAIが自分のことを語る時代が来れば(それはそれで恐ろしいことですが)、そこにドラマを感じられるかもしれませんね。

■詰備会に行ってきました
 5月4日(金)は詰備会。
 今年は1月の九州G、詰四会、2月のとり研とあちらこちらの会合に参加させていただきました。
 創棋会も2ケ月に一度例会を開催していますが、地方の会合に参加するのは、何かワクワクするものがあります。
 お昼前には岡山に到着。商店街をブラブラしながら昼食を済ませて会場に向かえばすでに数人の方が顔を出されていました。
 今回は解答選手権の倉敷会場で一般戦を37分で全問正解されたという津久井さんが初参加。昭和の時代ですが詰将棋も創作されていて近代将棋に作品が載ったこともあるとのこと。藤井ブームで将棋熱が再燃し、解答選手権に参加されたとのことですが、詰将棋熱も再燃されることを期待しています。
 会合では例によってエントリーされている作品群や某氏の作品リストに取り組むことになりました。盤駒を使うのは会合の時くらいですが、並べてみると色々な手が浮かびます。しかし読みの力が落ちているので思いつきを口に出すのがやっと。同じテーブルでチャレンジされている方からどんどん声が出て、何とか会合終了時までに全題クリア。いや疲れました。
 集合写真を撮って会合は終了。そこからは楽しい懇親会です。色々な話が飛び出して参加者の人となりがうかがえるひとときです。
 懇親会がお開きになった後、有志で駅前でミニ2次会。お付き合いただいた皆さんありがとうございました。

<会合風景>
風景20180504v2

<参加者の集合写真>
集合20180504v2

※平井康雄さんが詰備会のHPなどで会合の様子を紹介されていますので参照ください。
  http://www7.plala.or.jp/tsume/tumebikai.html
  https://blog.goo.ne.jp/yakkun610/e/1571a5da1bb77405f8c27ea0a9068492

■「古今中編詰将棋名作選」から
 「中編名作選」プロジェクトは現在進行中とのことですが、1978年に発行された「古今中編詰将棋名作選Ⅰ・Ⅱ」から、好作を紹介させていただきます。

山本 勝士作 詰パラ1964年10月(「古今中編詰将棋名作選」第97番)
山本勝士

 76香を動かして開き王手する形がみえています。
 75香と一目動かすのが詰将棋的なのですが、56玉と逃げられると困ります。
 正解は74香と歩を取る手です。ここまで動けば42角の利きが遠くまで通ります。
 74香には56玉と逃げますが、65角、76龍と連続で大駒を捨てるのが気持ちの良い手です。
 76同玉に96飛成とすれば42角の利きで65玉と戻るしかありません。これで上部脱出を阻止できました。
 75金と押さえて、55玉とかわすのが芸の細かいところ。ここで54玉では2手早く詰みます。
 55玉には56歩と打ちます。
 同金なら、65金、同玉、85龍と追い込むのが好手順で、54玉、55歩、同金、53角成から55龍で金を取って詰みます。
 56歩には54玉と引くのが最善ですが、53角成が打開の好手です。

<13手目:53角成>
山本勝士53角成

 同玉と取らせて、43香成と拠点を築きます。
 62玉には92龍があるので、54玉ですが、55歩と突き出すのが気持ちの良い手です。
 同玉に46龍と活用し、54玉に57龍と切るのが決め手です。
 同とには再度55歩と打ち、同玉に46金から66桂まで、見事にハートマークが浮かび上がりました。
 本局は関西詰棋ファングループのメンバーであった長谷繁蔵さんと山本さんのご両人が各々伴侶を得られることになり、ご結婚をお祝いする「鶴亀詰将棋」という祝賀詰の一局として発表されたものです。創(壮)棋会が発足する前のことです。

<詰上り ハート>
山本勝士ハート


【作意】74香、56玉、65角、同玉、76龍、同玉、96飛成、65玉、75金、55玉、
   56歩、54玉、53角成、同玉、43香成、54玉、55歩、同玉、46龍、54玉、
   57龍、同と、55歩、同玉、46金、54玉、66桂まで27手詰


■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年6月17日(日)13時~
[場所] 大阪市立福島市民センター
  大阪市福島区吉野3‐17‐23
   地下鉄千日前線野田阪神駅、阪神電車野田駅、JR東西線海老江駅から徒歩5分。
   JR環状線野田駅から徒歩8分
    https://www.osakacommunity.jp/fukusima/
[会費] 無料
[課題] 今回は一般募集していません

***【次々回例会】*************************************************
[日時] 2018年8月19日(日)13時~
[場所]  関西将棋会館 4F 多目的ルーム
    https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費]  千円(学生無料)
[課題] 「すらすら解ける20手台 PartⅢ  」(予定)
   募集要項はあらためて案内させていただきます。

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詰パラ5月号到着

<詰パラ5月号到着>
 晴天の連休前半にバラ園に足を運びました。

バラ①

バラ2

■詰パラ5月号
・表紙。解答王竹中さんの作品。将棋ブームから詰将棋への注目、詰パラの敷居の高さ、そういう中で「解いてみたくなるような作品を!」という言葉には同感です。
・詰将棋学校(12P~)。
 小学校:在庫が10作というのは相当な絞り込み?今が投稿のチャンス!
 中学校:担当者体調不良とのこと。どうぞお大事に。
 高校:気がつけば1年経っているという感覚、よくわかります。それなりに変化の多い日々を過ごしていると思うのですが不思議です。
 短大:担当丸20年。お疲れ様です。
 大学:若手3人といいながら、鈴川さんは同人作家、山路さんももうすぐ入選50回と二人とも中堅実力作家。もう一名は三本不明さん?
 大院:相馬康幸さんは作者名で解いてみたくなります。
・新人コンクール(18P~)。北海道から2名の新人。リヴァロさんはスマホ詰パラで活躍中の方。
・大道棋教室(19P~)。銀問題特集。誘い手の多い類型です。
・坂東仁市同人作家入り記念作品展(20P~)。同人入りおめでとうございます。昭和50年代に変幻自斉のお名前で長編趣向作品集を多数出版されたころはちょっと驚きのデビューだったのを思い出します。
・女流王位戦記念詰将棋(21P~)。易しく(優しく)楽しいあぶり出し。谷口さんの意外な一面?
・全詰連の頁(22P~)。解答選手権の結果。本当にお疲れ様でした。
・解答選手権チャンピオン戦レポート(24P~)。山路さんの力作。報道対応や藤井さんの様子が克明に記されています。相馬作⑩については若島正作(パラ2014年11月短大)にも触れられていますが、相馬作の重層的な構造には圧倒されますね。
・持駒のある風景(32P~)。「詰将棋八景」は解答選手権でも参加賞に使わせていただいたのですが、結構人気でした。
・おもちゃ箱だより(34P~)。受け方持駒指定にすると面白い世界を描けるんですね。
・ちえのわ雑文集(36P~)。マニア目線ではない内容は新鮮。
・名局ライブラリー(38P~)。パラの作品紹介は2014年までとし、塚田賞作品の紹介を再開される予定とのこと。
・学校短編平均点ベスト20(43P~)。平均点が高いだけでなく不正解率も低い。そういう作品がいいですね。
・将棋パズル雑談(44P~)。23番と24番は正解を読んでおもわず「なるほど」。今回も挑戦してみよう…。
・全国大会案合(54P~)。今年は前夜祭なし。握り詰の使用駒数も発表されました。角銀という斜め駒がないんですね…。毎年秘かにチャレンジしているんですが、なかなかうまくいきません。


■「古今中編詰将棋名作選」から
 昨年発行された「現代詰将棋短編名作選」に続いて「中編名作選」プロジェクトも進行中とのことですが、「古今中編詰将棋名作選」は1978年2月に第一集(17~29手)が、また第二集(31~39手)は同年8月に発行されました。「古今短編詰将棋名作選」が詰研を中心にまとめられたのに対して、「中編」は壮棋会が取り組みました。
 当ブログでも創棋会の課題作の例題紹介の際に、「古今中編詰将棋名作選」からも数々の好作を取り上げてきましたが、今回創棋会の課題は一般募集していませんので、あらためて同書から好作を紹介させていただこうと思います。

小川 悦勇作 風ぐるま 1955年1月(「古今中編詰将棋名作選」第49番)
小川作1_49

 49馬に活を入れる66歩突きが味よく見えますが、さすがに同馬とされると続きません。
 俗ですが55龍と馬を奪います。同玉は73角がありますから同と と応じます。
 ここで54角と捨てるのが好手。
 同となら今度こそ66歩です。また同玉なら、27馬と飛車を取れますから、65玉、66歩、同と、54馬、同玉、64とで詰みます。危ないようでも56玉とかわすのが最善。
 56玉には57銀と捨て、同玉に58金と活用し、56玉に47金と歩を取ります。
 同玉には36角と引き、56玉と逃げれば57歩と叩きます。57同玉なら、58馬から47角、36銀と追って詰むので65玉とかわしますが、そこで待望の66歩です。
 同との一手ですが、もう一度54角と捨てるのが好手。

<17手目:54角>
小川作1_49_54角

 今度は54同玉と取るしかありませんが、27馬と飛車を取って収束も間近です。
 27馬にはいったん65玉と脱出を図りますが、54馬と捨てるのが気持ちの良い手。
 54同玉に64と と網を絞ります。
 45玉と逃げたところで、55飛が決め手です。
 同玉に46銀上まで、見事中央にダイヤモンドが浮かび上がりました。

<詰上り 小型菱形>
小川作1_49_詰上り

【作意】55龍、同と、54角、56玉、57銀、同玉、58金、56玉、47金、同玉、
   36角、56玉、57歩、65玉、66歩、同と、54角、同玉、27馬、65玉、
   54馬、同玉、64と、45玉、55飛、同玉、46銀上まで27手詰

 小川悦勇氏は昭和8年(1933年)の生まれ。息長く活動を続けておられることに敬意を表します。作品集に「雨滴」(電子冊子で非売品)があり、冬眠蛙さんのブログでいくつかの作品をご覧いただけます。
   http://sleepingfrog.air-nifty.com/diary/2015/02/post-3b3e.html


■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年6月17日(日)13時~
[場所] 大阪市立福島市民センター
  大阪市福島区吉野3‐17‐23
    地下鉄千日前線野田阪神駅、阪神電車野田駅、JR東西線海老江駅から徒歩5分。
    JR環状線野田駅から徒歩8分
      https://www.osakacommunity.jp/fukusima/
[会費] 無料
[課題] 今回は一般募集していません

***【次々回例会】*************************************************
[日時] 2018年8月19日(日)13時~
[場所]  関西将棋会館 4F 多目的ルーム
   https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費]  千円(学生無料)
[課題] 「すらすら解ける20手台 PartⅢ 」(予定)
   募集要項はあらためて案内させていただきます。

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【結果発表】ネット作品展「教材に使える10手台」PartⅡ<最終回>

■【結果発表】ネット作品展「教材に使える10手台」PartⅡ<最終回>

 1月に作品募集を始め2月に出展、そして結果発表も今日が最終回。
 気がつけば5月。つつじが満開でした。
第9回

 創棋会のネット作品展「教材に使える10手台PartⅡ~実戦に役立つ詰将棋~」には、13名の方から解答をいただきました。
 解答いただいたのは次の方々です(敬称略)。皆様ありがとうございました。
   有吉弘敏、馬屋原剛、奥鳥羽生、金少桂、久保紀貴、則内誠一郎、占魚亭、
   竹中健一、中出慶一、福原徹彦、松尾裕、山路大輔、山本勝士

 多数の方に解答に取り組んでいただきましたこと、あらためて感謝申し上げます。
 実戦に役立つ手筋満載の作品が揃っていたので、楽しんでいただけたのではないかと思います。

 それでは結果発表の最終回です。

「力試し」 妻木貴雄作
特

【作意】34桂、同歩、31角、12玉、24桂、同歩、23銀、同玉、32角、12玉、
   21角成、同玉、24龍、31玉、33龍、21玉、22歩、12玉、24桂迄19手。

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
  平均点:2.73、A:8、B:3、C:0、
  誤解:0、無解:1、無評価:1

作者のことば
 形を見て、一瞬でも「実戦で出てきそう」と思っていただければ嬉しいです。

★11作目の作品は、美しい初形ですが、少々難しいのではないかと考え「力試し」とさせていただきました。
 本作のみの解答もいただき、非常に好評でした。

 この初形で持駒に角角銀とくれば、31角から読みたくなります。
 31角に12玉なら、24桂と捨てて13銀から清算すれば33龍と入って詰みます。
 しかしあっさり31同玉と取られると、42銀、22玉、31角、12玉で息切れ。
 31同玉に42歩成とひねって攻めるのも、同玉、44龍、43歩合で続きません。
 それでは角二枚を残して31銀はどうでしょうか。これは12玉と寄られて次の手がありません。
 31角や銀がだめなら桂を打つしかありません。34桂と打ちます。
 12玉なら、24桂、同歩、13銀がうまい手作りで、同桂(同玉は31角)に21角と捨てれば24龍があって簡単です。
 34同歩と応じるしかありませんが、33をこじあけて何か得になることがあるのでしょうか?
 34同歩には31角が継続の好手です。
 同玉と取れば34龍があります。これが34桂捨ての効果です。33歩合と受けても、42銀、22玉、31角と追って、12玉に13歩と打てます。同桂に22角成と捨て同玉に33銀成から駒余りの詰み。33に角合なら42銀から33銀成と角を取り31角と打てば詰みます。
 31角には12玉とかわすのが最善ですが、ここからの寄せが見事です。
 まず24桂と捨て同歩と取らせて23に空間を作ります。
 そこに23銀と打ち込みます。唯一のカナ駒を捨てる好手です。
 23同玉に32角が決め手です。同玉なら34龍がありますからこれは取れません。
 12玉と逃げますが、21角成から24龍と一歩稼いで、収束となります。
 補足ですが、5手目24桂のところで13銀は、同桂、24桂、同歩、21角、同玉、24龍、31玉、33龍と作意同様に追って、桂馬がないので詰みません。


金少桂:これは難しすぎる。初手31に捨てて33龍と切る筋がそれっぽすぎてかなり時間をとられた。

★31銀、同玉、33龍と龍を切るのは実戦的ですが、同桂、53角は21玉で逃れます。
 31角も有力に見えるので、初手の紛れは強力。

奥鳥羽生:出だしの王手はこれしかないのだが・・・。紛れよりも変化で苦しむが、煩雑さはない。人生も実戦も変化多岐。

★31角や銀がダメなら34桂しかないのですが、2手目や4手目の変化を読まされます。
 実戦は変化多岐ですが、変化を読み切れず結論を急ぐと難局になることもしばしば。人生も同様?

福原徹彦:力試しだけあって難しかった。作意より、4手目同玉34龍の合駒読みが大変でした。

山本勝士:簡潔な図面良し。作品として味わう詰将棋素晴らしい。3手目31角、同玉、34龍以下の変化が、よくこんなにうまく成立したものと感心させられる。

★同手数駒余りで割り切れていますが、煩雑さはないと思います。

中出慶一:収束が緩むものの、実戦型とは信じられない手順の好作で短大で登場してほしい出来です。

★19手というのは短編でもなく、中編としてはやや短い、難しい手数ですね

有吉弘敏:4手目同玉の変化はなかなか読み切れないですね。もしこれが作意なら、もう一手好手が欲しいところです。

★後半にもう一手あれば、相当な好作ですね。

山路大輔:桂捨てからの角捨てがなかなか見えない。実戦で出てきてもおかしくない一局。

★31角に同龍で詰むことを読み切らないとなかなか指せない手ですね。

占魚亭:31角の前に桂を打ち捨て空間を開ける伏線。4手目同玉の変化をクリアすれば楽々。

★二度の桂捨てが良いアクセントです。一つは質駒づくり、一つは捨駒の空間づくり。いずれも実戦の役に立ちます。

馬屋原剛:34桂~31角で簡単と思ったら12玉がしぶとかった。

★34龍が詰み形と見破った貴方は強い!

竹中健一:難しい変化もなく、素直な問題。詰むということを知っておくと便利かな。

★実力者の感想は違いますね…。
 10手目32同玉に34龍の一間龍の形は覚えておいて損のないところです。

松尾裕:3四桂から3一角のコンビネーションを発見できるか、また、3一角を同玉とした場合の合駒の読みなど、「教材」の発展問題としてぴったり

★松尾さんは本作のみ解答いただきました。的確なコメントありがとうございます。

則内誠一郎:練習をクリアした人の鍛錬用の教材。

★「力試し」に相応しい一局でした。

久保紀貴:34桂~31角、そして23銀~32角は妻木氏らしい力強い手作り。よくこれだけ綺麗な形に纏まるものだと思います。 

★作品展の最後を飾る好作でした。

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それでは皆さんからいただいた総評を紹介させていただきます。

有吉弘敏:駒交換が無く駒取りも比較的少なく難易度も均等で良かったです。

★昨年は出題数も多め(15作)で、少し骨のある作品もあったので、今年はそのあたりを考慮したつもりです。

竹中健一:確かに教材(素材)になりそうな実戦型が多く、参考になりました!
   なお、ツイッターでも宣伝しておきました。解答者が増えるといいですね!

★解答をいただくだけでなく、PRもしていただき感謝申し上げます。

馬屋原剛:とり研の会場でスラスラ解けたので解答しました。久しぶりに解答の楽しさを思い出しました。

★とり研にお邪魔した際、参加者の皆さん出題作を紹介。数人の方から解答をいただきました。皆さんありがとうございました。

福原徹彦: 実戦型であり、かつ詰将棋的手筋で詰む作品は解いて気持ちが良いものです。
 出題作は概ね作品展主旨に沿っていたのではないかと思います。

★「解いて気持ちが良い」というのは詰将棋を好きになるためにはとても大切なことです。今回の作品展が、詰将棋を好きになるきっかけとなれば、こんな嬉しいことはありません。

占魚亭:今回のネット作品展も楽しめました。評価は甘めかも。

★「教材に使える10手台」は、詰将棋の楽しさ、面白さを伝えられるような『教材』が作れれば、多くの人により良い詰将棋との出会いが得られるのではないか、そういう想いから考えた企画です。
 昨年の一回目では『教え易い、分かり易い、覚え易い』という条件で、作品展には、初心者向けから上級者向けまで、不成や打ち換え、合駒といった基本手筋から、スイッチバックやアンピン、遠打ちや趣向といったちょっぴり高級なものまで、また実戦型から大道棋まで幅広い分野の好局が揃いました。
 今回は少し切り口を変えて、実戦派にも詰将棋の面白さを知ってもらうために、「詰将棋は実戦の役に立つ」ということを、作品を解いたり鑑賞したりすることによって感じ取っていただけないものかと考えました。
 詰将棋に取り組むことで「読みの力を鍛え」「詰み形を覚える」ことは、棋力の向上や終盤力アップに直接つながるものです。しかしそれだけでは「面白いから詰将棋をやる」ということにはつながりにくいと思います。
 解いて楽しく、実戦の役にも立てば、たちまち詰将棋の虜になる。そういう作品を集めたいと考えた次第ですが、多くの解答者の皆さまに楽しんでいただけたようで、ホッとしています。

☆さて解答募集の際、「解答者の中から若干名に呈賞、また『力試し』解答者は別枠で1名に呈賞」としていました。
 今回は、馬屋原剛さんと山路大輔さんのお二人に詰棋書を贈呈させていただくこととします。


■創棋会の今後の予定
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年6月17日(日)13時~
[場所] 大阪市立福島市民センター
   大阪市福島区吉野3‐17‐23
    地下鉄千日前線野田阪神駅、阪神電車野田駅、JR東西線海老江駅から徒歩5分。
    JR環状線野田駅から徒歩8分
       https://www.osakacommunity.jp/fukusima/
[会費] 無料
[課題] 今回は一般募集していません

***【次々回例会】*************************************************
[日時] 2018年8月19日(日)13時~
[場所]  関西将棋会館 4F 多目的ルーム
       https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費]  千円(学生無料)
[課題] 「すらすら解ける20手台 PartⅢ  」(予定)
       募集要項はあらためて案内させていただきます。

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以上