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【結果発表】ネット作品展「すらすら解ける20手台」<11回目>

【結果発表】ネット作品展「すらすら解ける20手台」<11回目>

結果発表11回目です。
出題8番目は nono_y さんの作品。
②に続いて、2作目の登場です。

⑭nono_y作
⑭_2 nono_y作a

【作意】
83銀、同玉、74銀、94玉、96香、95桂合、86桂、93玉、95香、82玉
94桂打、Ⓐ93玉、83銀成、同玉、74金、Ⓑ93玉、83金、同玉、75桂、Ⓒ93玉
82桂成、同玉、74桂、72玉、61飛成、同竜、82金まで27手詰

【正解】
11手目→94桂打
手数→27手

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
平均点: 2.07、A:3、B:9、C:2、誤解:0、無解:3、無評価:0

【作者のことば】
74銀・75金を桂2枚に打ち替えて収束する手順が狙い。
ただし狙いの一手ということになると、この構想を可能にする一見筋悪な94桂打の方です。
5手目の以遠打非限定はまだしも、ⒶⒷⒸがいずれも92玉でもよい変同は大問題ですが、愛着はありまして…。

★持駒はやや多いが、盤面は10枚で、5×5に収まっていて、解いてみようと思わせる初形です。
 91龍の守りが強いので、上部から攻めたいところです。
 63と83の二つの逃走路をどうやって防ぐかですが、63玉には54銀から53飛成、また83~94玉には96香から86桂という筋があるので、いずれも大丈夫そうです。
 となれば初手は83銀。63玉には54銀があるので、同玉と取る一手に74銀と押さえます。
 82玉なら83香から61飛成があるので、94玉と脱出を図りますが、96香で止められます。
 95に合駒ですが、86桂~95香~82玉となったときに83から打たれては簡単なので、桂合が最善です。
 82玉となったところで、11手目が鍵です。
 この局面をじっと眺めていると(駒台も含めて)、74銀がなければ74桂と打って詰みそうな形です。
 しかし、いきなり83銀成~74金~83金~75桂~74桂のコースに進もうとすると、83金に63玉とされてアッと驚くことになります。
 ここは急がず、いったん94桂と重ね打ちするのが面白い手です。
 こうしておけば、74金に72玉は61飛成があるので92玉の一手となり、金銀を消して75桂と打ち換えることに成功しました。
 以下は重い94桂を捌き、86桂を74に跳んで61飛成と捨てて金打ちまでです。
 初形からは邪魔駒消去の作品とは見えないのは巧い演出です。

 なお作者はスマホ詰パラでも活躍中ですが、スマホ詰パラは新人育成を優先し、常連になるほど採用頻度が減るシステムを採っておられるようで、そういう事情も勘案して本作はこの作品展に投稿してくださったものです。
 また作者の本名は伏せておきますが、詰パラ誌上でも活躍中。そのことをブログで取り上げたことも投稿の契機になったとのことです。ブログを読んでくれたうえに、作品まで投稿いただき、ありがたい話です。


nono_y
 強引な配置も△92/93玉の中岐れも頂けないが、すらすら捌ける。(自作)

★解説に記載のとおり、強引な配置とは思いませんよ。
 92/93玉の非限定は、その後の手順に影響を与えないものなので、あまり気になりませんでした。

金少桂:
 10手目の局面で持駒の桂と、盤面の金銀の並びを見てニヤリ。
 でも慌てて捨てるとなぜか足りない。
 94桂打は香の道を塞ぐようで不利感があって見えにくいが、それ以外の手は一目なので唯一の考えさせどころとして面白い一手。
 強いて難を挙げるならば、あまり気にならないとはいえ24手目81玉が変同余詰か。すらすら度65点。

★変同余詰ですか…。管理人もあまり気になりませんでしたが、この手の微細なキズをどう考えるのか、難しいところです。

三輪勝昭
 11手目83銀成以下金を捨てて75桂と読んだら詰まない。
 94桂打として後で成捨てるのは凄く味が良い。
 ただ詰上り63歩と95香が遊ぶのが嫌いなので評価はC。

★重い94桂が消えるのはいいのですが、63歩には重複感があり、95香は合駒を取った後働かないというあたりが不満ということなのでしょうね。

久保紀貴
 94桂打は打ちにくい。

名無し名人
 効率が悪そうな94桂打からの軽い捌き。

有吉弘敏
 94桂打の発見までにかなり考えました。構図もまとまっていて良い作品だと思います。

★すぐに金銀を消去しようとするとうまく行かず、いったん94桂と重く打つのが、見えにくかったようです。

鳥本敦史
 75金が邪魔になるとはよくできている。 

★74銀消去は筋で指せそうなところもありますが、75金消去は途中まで上部を押さえる重要な働きをしていたので、ちょっと不利感のあるところです。

河童生
 敵、味方の大駒が最後に動いて終局。
 11手目、繋いで打つ桂、これが主眼手?

奥鳥羽生
 62歩成行わず・飛金は収束まで残・銀2枚を早々に使い切るといった予想外が多く、手こずった。
 小駒中心の細やかな好手順。

★管理人は筋が悪いのか94桂を早く発見できたのですが、意外と難しかったようですね。

則内誠一郎
 普通に難しくて他所でも入選できる。

★無解が3人。こういった評価が出てくるのもある意味当然か。

山下誠
 押さえに打った金銀を捨て、代わって桂馬が大活躍する。

野曽原直之
 83銀成~74金~83金が気持ちの良い手順。

★重い金銀が捌けるところは爽快です。

中出慶一
 こじんまりとまとまった中編、着手に華がないきらいもありますが・・・

山本勝士
 手筋の連発なれどまとめ方がうまい

★不利感のある94桂打を中心に、邪魔駒消去を上手く演出した作品でした。


☆結果発表へのご意見や感想などがあれば、下記宛にご一報ください。
 随時紹介させていただきますので、よろしくお願いします。
   blogsokikaitusin@gmail.com

***【次回例会】*****************************************************
[日時]2016年10月16日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F和室
[課題] 「合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。)(29手以内)
作品の投稿先 ⇒ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。
*********************************************************************
以上

【結果発表】ネット作品展「すらすら解ける20手台」<10回目>

【結果発表】ネット作品展「すらすら解ける20手台」<10回目>

結果発表も10回目になりました。
出題⑬番目は 安田恒雄さんの作品。
安田さんは詰パラの短期大学発表作で2016年度上半期賞を受賞されました。
簡素な形から合駒を出していくのがお得意とお見受けしました。

⑬安田恒雄作
⑬_2 安田恒雄作

【作意】
Ⓐ42銀、㋑22玉、Ⓑ33銀成、㋺同玉、11角、㋩22桂、同角成、同玉、24香、㋥23歩
Ⓒ同香成、同玉、35桂、33玉、11角、㋭22歩、同角成、同玉、42飛成、32飛
23歩、11玉、12歩、同飛、同龍、同玉、32飛、11玉、22歩成まで29手詰

<変化>
㋑32玉は41角、22玉、24飛以下。
㋺同桂は23香、同玉、14角、12玉、42飛成、22歩(桂は21角以下)、23角打、11玉、22龍以下。
㋩歩合は同角成、同玉、24香、23合、42飛成、32合、31角、11玉、12歩以下。
㋥香合は作意手順と同様に進め、19手目42飛成の処、24香、11玉、12歩以下。
 桂合は作意手順と同様に進め、21手目23歩の処、34桂、11玉、12歩、同飛、23桂まで。
㋭桂合は㋥と同様。

<紛れ>
Ⓐ53角は22玉で、31角、12玉(11玉は22銀で詰む)、42飛成、23玉以下不詰。22玉に24飛は23歩合、31角、12玉で不詰、
Ⓐ32銀は同玉で、41角は31玉、54角や43角も22玉で不詰、
Ⓑ31角は12玉で不詰。24飛、23歩、31角も12玉で不詰。
Ⓒ42飛成は32金合、34桂、11玉、44角、33桂、同角、同桂で逃れ。

<狙いの一手>
(狙いは一手ではなく・・)4×4内最多(?)限定合駒への挑戦。
合駒問題ですが、難しい手がないので「すらすら解ける」と思うのですが。

【正解】
6手目→22桂合
手数→29手

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
平均点:2.40、A:8、B:5、C:2、誤解:0、無解:2、無評価:0

★詰パラ2016年短大の半期賞受賞作は、途中無仕掛けで、そこから、金銀合が出て矢倉囲いが出現するという、力作でした。
 本作も狭いところで合駒の綾を楽しむ作でしたが、「難解」「作品展の看板に偽りあり」という声が多く、申し訳ありませんでした。
 初形は今回の作品展で最も簡素でいう事ありません。
 しかし詰み形が見えず、どこから手をつけようかと考えてしまいます。
 手のつけにくさは、すらすらのマイナス要因。
 42銀から33銀成と33香を入手する以外に有力な手段が無さそうだとわかるまで、相当な試行錯誤を余儀なくされます。
 33同桂は23香から14角と据えて上部脱出を塞いで42飛成とすれば詰みますので、同玉と取ります。この瞬間も何となく不詰感が漂います。
 ここで11角と合駒を問います。歩合は変化㋩のとおり、12歩と叩く手が生じて詰むので桂合が最善です。作意でもこの変化の筋が出てきます。
 桂合を同角と取り、24香とまたも合駒を訊きます。作意は歩合ですが、何を合しても作意通り進め、歩合以外なら変化㋥のように詰みます。
 ここで42飛成としたいのですが、あいにく持駒は桂なので12歩と叩く筋がなく、やりにくいようでも、23同香成から35桂と打ち換えます。
 33玉とよろけてかわすと再度11角と合駒を問います。持駒が桂歩になると34桂から12歩と叩かれ、23桂生の詰み筋が生じるので(変化㋥の桂合を参照)、今度は歩合が最善。歩合なら23歩と打つ手になるので23桂生がなくなるというわけです。
 22歩合も同角成と取り、待望の42飛成です。
 流石にここまでくると筋に入った感じです。
 ここからはよくある収束パターンですが、飛合が出て、12歩から飛交換、離し飛車の収束となります。
 前半16手目の22歩合のあたりまでは読みが必要ですが、後半はすらすら進んだのではないでしょうか。


有吉弘敏
 手がかりがつかめず何度も諦めかけました。
 すべての変化・合駒も割り切れており、一つの発見と思います。
 大学の川西作と感触が似ています。

★川西作は、詰パラ2016年3月号の大7(実戦型の37手詰。
 配置は、玉方:22玉・21桂・11香・14歩、攻方:44飛、持駒:角桂香香)。
 狭いところで手をつないで行くところは似た味わいです。

野曽原直之
 序の3手が見えなかった。そのあとも有力な王手が多く悩まされた。

nono_y
 この簡素形から、まず銀を打って香取りは予想外で実に指しにくい。
 二度の▲11角への合駒が違う構成も秀逸。
 全く「すらすら」ではないが好きな作。

★42銀から33銀成と香を取るのは、唯一の金気を使ってしまうことや、33玉となった局面が持駒角角香では詰み形が見えないことから、非常に指し難い。

河童生
 合駒が4度で難しい。特に6手目の桂合の決定には苦労。
 「スラスラ解ける」、私には、とてもムリ。

★この変化を読み切れば、後の合駒は学習効果で簡単なのですが…。

金少桂
 手広すぎる。変化も膨大だし、合駒読みもあって大変。
 これをすらすら解けないのは、さすがに自分の詰棋力不足のせいではないと信じたい。
 すらすら度10点。

★前半は手の広い局面が続き、筋に入ったと思えるのは後半になってから。
 数手ごとに出てくる合駒も読みが必要で、まったくすらすらではなかったようです。

中村雅哉
 不利感ある攻め方。特に11手目飛を成りたくなる。
 「すらすら」とは言えないが、好作。

★11手目飛成は、持駒に歩があれば変化㋩のように詰むのですが、持駒桂では詰みません(紛れⒸ参照)。
 このあたり、作意と紛れがうまく切り分けられていると思います。
 また「すらすらではないが好作」と言うご意見は多かったです。

則内誠一郎:
 好形・好手順。しかし難解なので減点。

★課題の主旨に合わないので減点と言う方も多く、評点は管理人の予想を下回りました。

三輪勝昭
 課題違反。 手順に妙味がなく、読みを楽しむだけの最も嫌いなタイプの作品。

★4度の合駒が地味で、攻め方に目の覚めるような手が出てこないのが本作の欠点と言えばその通り。
 変化が多く、読みを楽しむというより、手を読まされたと感じた方の方が多かったようです。

名無し名人
 11角から合駒ブチ切りが2回登場するのが良い。

鳥本敦史:
 11角を繰り返す軽趣向、合駒が変わるのが面白い。 

久保紀貴
 全然スラスラじゃない!けど、11角のリフレインと3度の限定合がいい味を出している。

★「11角・22合」が二度出てくるのを趣向的と受け止める声がありました。
 この評価は、作者も嬉しいのでは?

中出慶一
 1一角、2二合駒の形は比較的珍しい進行ではないでしょうか。
 合駒の違いを利用して29手と破綻なく手が良く続くものですね。

山下誠
 香打に対する合駒によって生ずる飛成の変化が面白い

奥鳥羽生
 支え駒を作るまでは飛に玉を近づけないという先入観にとらわれ、序盤詰め難かった。

山本勝士
 軽い形への仕上げお見事!

★本作はブログで作品募集を行ったとき、いの一番で投稿されたもの。
 盤に並べても詰み筋が見えず、投稿用紙を一読したところ、ちょっと難しいのではないかと思いました。
 投稿作は完全なら全部発表するつもりだったのですが、正直なところ、本作は発表をためらうものがありました。
 しかし「すらすら」は主観の問題でもあり、作者が「難しい手がない」と言っているのだから、当初方針通り発表しようという結論に至った次第。
 ふたを開けてみれば、「難しい」「課題に合わない」という意見が多々あり、懸念が現実のものになりました。
 しかし、「好作」という評価が多かったのも事実。
 この好形から続々と合駒が出てくる手順はお見事です。
 今回は課題の主旨に合わなかったようですが、引き続き好作を発表されることを期待しています。


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 また本ブログのコメントは管理者承認制になっていますが、上記アドレスに直接ご意見をいただければ、必要に応じて、返信させていただくとともに、内容をブログに反映するようにいたします。

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[日時]2016年10月16日(日)13時~
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【結果発表】ネット作品展「すらすら解ける20手台」<9回目>

【結果発表】ネット作品展「すらすら解ける20手台」<9回目>

結果発表の前に、10月1日にアップした「詰パラ10月号到着&創棋会の課題(『合の手筋』3通り以上)」についてコメントをいただきましたので紹介させていただきます。

三輪勝昭
 僕は冒頭に修正室より新作の発表出来るコーナーが欲しいと言ってますよ。
 易しい中編に限定してますが、難しい作品はスペースより、解答者の負担を考えると難しいと思います。
 新作発表のコーナーを増やす障害は、スペースがないためじゃないと僕は思ってます。
 解答者の負担だと思います。
 しっかりした選者が選べば、解答者の負担にならない中編作のコーナーは可能なはずなんです。
 これは皆がもっとうったえるべきだと思いますね。

★これは以下の文章に対するものですね。
・ちえのわ雑文集(38P~)。三輪さんによる「改作のすゝめ」。
 『作品はどんなに推敲したつもりでも視点を変えた改良の余地がある』という主張は肯けますが、それを詰パラの誌上に「修正室」というコーナーまで設けて発表することには少し抵抗があります。
 個人作品集をまとめるときに改良図を載せるというのはアリかと思いますが、本来解答募集方式出題がメインの誌上にそういうスペースを設ける余裕があるなら、新題に回してほしいと思いますが、いかがでしょうか?

 三輪さんも当方も、新題発表を増やしたいということでは見解が一致しています。
 今回の作品展がそういう主旨に適うものであれば幸いです。
 過去、近将だけではなく、マガジン、ジャーナル、枻、天国、めいと、等々発表の場が多かった時代もあるわけですから、詰パラと将棋世界だけの現状は寂しいものがあります。それは作家や解答者だけでなく、読むだけの人にとっても同様かと思います。

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さて、結果発表9回目。今日から後半戦です。
今回は2作まとめての発表です。

出題11番目は吉松智明さんの作品。
昨年は全国大会の司会、解答選手権では大阪会場の運営、この夏からは創棋会の事務担当と、詰キスト交流のお世話役としての顔が売れてきましたが、創作もボチボチ再開でしょうか。

⑪吉松智明作
⑪_2 吉松智明作

【作意】
32飛、㋑22桂合、同飛成、同玉、Ⓐ33角成、同玉、51角、㋺42桂合、同角成、
22玉、32馬、11玉、12歩、同玉、24桂、㋩同歩、22馬、同玉、42龍、11玉
23桂まで21手詰

<変化・紛れ>
㋑ 22香は同飛成、同玉、33角成、同玉、51角、42合、同角成、22玉、32馬、11玉、22馬、同玉、42龍、11玉、12香まで
㋺ 42香合は㋑の変化に準じる
  42角合は同角成、22玉、32馬、12玉、22馬、同玉、42龍、11玉、22角以下19手駒余り
  22玉は34桂、11玉、12歩、同玉、32龍以下
㋩ 11玉は22馬~42龍
Ⓐ 31角成は同玉、22角に同玉でも、41玉でも不詰
  32銀成は同玉、44桂、22玉、31角成、同玉、22角、同玉、42龍、11玉で不詰

【正解】
8手目→42桂合
手数→21手

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
平均点:2.56、A:9、B:7、C:0、誤解:0、無解:1、無評価:0

【作者のことば】
創作の出発は33玉、51角に42桂中合とするところ。
頭4手の逆算が入って、詰棋らしくなったと思います。

★本局も実戦型。
 強力な守備駒はないので、切れないように攻め方の勢力圏に玉を近づけたい。
 初手は飛車打しかないが、32飛には22合と、いきなり合駒が出てくる。
 何合かわからなくても同飛成と取るしかなく、22同玉となったところで継続手段を考えてみよう。
 31角成は同玉で続かない。32銀成~41角という良さそうな手はあるが22玉でダメ。
 ここは33角成と捨てて同玉に51角と打ちなおすのが好手段。
 22玉は42龍がある。11玉には先ほど22で奪った合駒を12に打って詰み。
 ということは、22合は桂合しかない。
 しかし持駒に桂があると、51角、22玉のとき34桂と打つ手があり、11玉に22歩~42龍とする手がある。
 そこで51角には42に捨合をして53龍の活用を阻止しようとする。
 以下は42同角成とし、32馬から桂捨てで24をこじあけてから22馬と捨てればやっと42龍と活用が図れ、空いた23の地点に桂を打って詰み上がり。
 謎解きは前半の8手で終わり、後半は馬捨・桂捨は入るが淡々と手が進む感じ。
 合駒は出てきますが、手が限られているので難しさは感じなかったのではないでしょうか。
 今回の作品展の平均的なポジション(B=2点)かと思ったのですが、主旨にマッチしたところが買われたのか、評点は2.5点を越えました。作者には予想外?


金少桂
 2回の合駒読みがメインだが、頭の丸い桂以外は12に打てるのに気づけば容易に2回とも桂に決まる。
 獲得した桂の使い道も桂捨てで桂吊るしの穴開けとわかりやすい。すらすら度60点。

有吉弘敏
 2回の限定合はうまいですね。

山下誠
 2度の桂合を中心にすっきりまとまっている。

★2手目は読み飛ばしても、手順を進めることが出来ます。
 もちろん手の見える人には桂合は一目だったと思います。

河童生
 53竜を世に出す物語。双方、桂の使い方がお上手。

中出慶一
 2回の合駒桂を有効使用できる場所作りが旨くできています

野曽原直之
 角の打ち換えからの42桂捨合が良い。2枚の桂を使用する方法に感心。

★もらった桂の使い道は案外限られていますが、一枚は捨駒にできたのでよかったですね。

名無し名人
 角の打換えに捨合が見所。収束も無難にまとまっている。

★収束に飛躍した手がないとも言えますが…。

鳥本敦史
 大駒3枚捨ては合格でしょう。 

★攻め方が強過ぎる構図なので、大駒が3枚消えて、やっと合格というところでしょうね。

nono_y
 桂中合をテーマにあっさり仕上げ。飛不成&32中合も入れると30手台?

★「飛不成&32中合」は打歩詰誘致の一つのパターンですが、まったく別の作品になってしまいそうですね。

三輪勝昭
 8手目22玉は52龍、42桂合、あれッ、詰まないぞと思ったら、34桂、11玉、33馬、同桂、22桂成か。これは巧い変化。

★巧い変化を考えていただきありがとうございます。
 そう凝らなくても22玉には34桂と打って簡単に詰むのですが(変化㋺参照)、そういう作りで一局出来そうですね。

濱田博
 42角は同手数駒余り?

★もしかして濱田さんも高級な手段で詰ましにいったのでしょうか?
 変化㋺のとおり19手駒余りで割り切れています。
 
山本勝士
 2度の桂合と型が良くまさにスラスラ。

★初形は、実戦型、盤面の駒数10枚、配置は5×5に収まり、成駒は53龍だけ、当たり駒も少ないということで、好形の条件は揃っていると思います。

久保紀貴
 桂合をアクセントにきっちりと纏まっていて好感が持てる。

則内誠一郎
 手順全体のまとまりの良さでは上位。

奥鳥羽生
 形・手順ともにキレイにまとまった一局。

★派手な捨駒や攻防の妙手は出てこないのですが、まとまりの良さは評価されました。

中村雅哉
 合駒読みもこのくらいなら「すらすら」の内か。易しく解後感も良い。

★合駒は二回出てきますが、攻め方の手段は限られています。33角成に気がつけば一気呵成に詰んだのではないでしょうか。


続いては、出題⑫番目 角建逸さんの作品。
角さんは看寿賞作家でもありますが、何と言っても角ブックスの刊行をはじめとする作品集の編集や発行が、素晴らしい業績ではないかと思います。
発行物では、単行本だと「詰将棋探検隊」(1995年発行)が有名ですね。また、確か角さんが将棋世界の編集長時代だったと思いますが、『ミクロコスモス』が将世の付録になったのは、とても印象に残っています。

⑫角建逸作
⑫_2 角健逸作

【作意】
24香、㋑23桂合、同香生、㋺11玉、Ⓐ12歩、同玉、14龍、㋩13角合、24桂、11玉、
Ⓑ21香成、同玉、23龍、㋥22飛合、Ⓒ12桂成、31玉、22成桂、㋭同角右、32飛、21玉、
33桂、11玉、31飛成、同角、21龍まで25手詰

<変 化>
㋑11玉は、12歩、同玉、23龍、11玉、21龍まで。
  23角合は、同龍、31玉、53角、42歩、21龍まで。
㋺13玉は、14歩、12玉、24桂、11玉、21香成、同玉、32龍、11玉、12龍まで。
㋩13歩合は、24桂、11玉、21香成、同玉、23龍、22飛合、32桂成、11玉、22成桂以下。
㋥22香合は、32龍、11玉、23桂、同香、12龍まで。
㋭42玉は、*32飛、51玉、53龍以下。(*54桂以下でも詰む。)
  同角左は、32飛、11玉、13桂、11玉、31飛成、同角、21龍まで変化同手数。

<紛 れ>
Ⓐ21香成は、同玉で続かず。
Ⓑ13龍は、同桂で続かず。
Ⓒ32桂成は、11玉、13龍、12金合で不詰。

【正解】
15手目→12桂成
手数→25手

【評点】(Aは3点、Bは2点、Cは1点とし、誤無解を除いて集計)
平均点:2.38、A:9、B:4、C:3、誤解:0、無解:1、無評価:0

<作者のことば>
 24香からの手順は一本道ですが、合駒がどんどん出て来て、手が続きそうな素材で当時は紛れⒸの順で何とかならないかと思っていた矢先、橋本孝治氏が「めいと」に下図を発表(43手詰・1989年7月)したため、お蔵入りしたものです。
 最近になって、44角を55にすれば、15手目12桂成できれいに収束することがわかったのですが、発表する機会もなく、放置していた図。お披露目する機会を与えてくれて感謝です。ようやく供養できるような気がします(笑)。

★変化紛れも含め詳細な投稿をいただきましたので、あまり追加することはありませんが、簡単に手順の解説をしておきます。
 24香から23桂合の捨合を同香不成と行くのは、習いある手筋ですが、そこから11玉を12に呼んで14龍と回り合駒を問うあたりまでは一気に手が進みます。滑り出しは大変すらすらです。
 13合は、24桂、11玉となったところで13同龍とされても詰まない、角か桂か歩ということになる。
 継続手段は、21香成、同玉、23龍と迫るしかないが、そこでも作意同様22飛合が最善なのだが、32桂成~22成桂~12飛という手があるので、13合は角であることがわかる。
 作意は22飛合に32桂成とすると紛れⒸのように詰まないので、左に追う不利感はあるが12桂成とするのが正解。
 22成桂に42玉と逃げるのは32飛から二枚飛車で攻めれば詰む。
 22成桂に同角の変化が、13・55いずれの角で取っても同手数の変化になるのが痛いが、最後取った飛車を捨てて収束するのは気持ちの良い所。
 簡素な形から合駒が3回と粘りのある手順が続き、大駒捨てで清涼詰になるところなど、解いて楽しい一局でした。

<参考図>橋本孝治作(めいと1989年7月)
⑫_5角参考図
【作意】
24香、23桂合、同香不成、11玉、12歩、同玉、14龍、13角合、24桂、11玉、
21香成、同玉、23龍、22飛合32桂成、11玉、13龍、12金合、22成桂、同角、
23桂、21玉、31桂成、同角、23飛、22銀合、32角、同玉、43飛成、21玉、
32銀、11玉、12龍、同玉、23金、11玉、21銀成、同玉、32龍、11玉、
22龍、同角、12銀まで43手詰

★橋本作は15手目が32桂成。以下、金銀合が出ます。
43成銀は少々苦しい配置ですが香歩以外の5種合が出てくるのは素晴らしいです。


則内誠一郎
 易しく錯覚させる初形の好感度が高い。

★言いえて妙。
 香打には中合が見えていて、14に龍が回るあたりまでは一気に読める。
 まさに手をつけてみようと思わせる初形です。
 しかし決して一本道ではないのが「錯覚」と言わせる所以でしょうか。

三輪勝昭
 易しいとは言え、手を読む系統の作品でスラスラ解ける快感がなく、今回の課題には合わないと思う。
 それと18手目非限定でスッキリしない。

★筋は見えるが確かめないといけない、読み飛ばしてしまえないと感じた方には、すらすら度が落ちたようですね。

中村雅哉
 悩み所があり「すらすら」とは言えないが、シンプルな形なのでポイントアップ。
 18手目非限定は減点材料。

★形の良さが好感度をアップさせたというのはありますね。前問以上の好形です。

鳥本敦史
 筋に入ったと思ってから意外に粘りがあった。

★22飛合とされたところで、2枚角の受けが強くて手が止まる。
 手がつけやすいだけに、大道棋なら何本か取れそうな…。

金少桂
 短評:パッと見駒不足感があり不詰感もあったが、手も限られているので意外と手はつけやすかった。
 18手目変同が少し気になる。すらすら度55点。

山下誠
 適度に合駒の変化があって楽しめる。テンポのよい好みの1局。

★手のつけやすさという意味では作品展でも上位。
 3度の合駒も難解ではなく、14手目まではすらすらと手が進むと思います。

名無し名人
 少ない駒数から捨合、不成、大駒合2回、逆モーションの12桂成と見所連発。
 18手目非限定は残念だが最後飛捨てで引き締まった。

山本勝士
 高級過ぎて投稿先が違う。

★「見所満載」ですが、一方で「高級過ぎて」という意見も。受け止め方は多様ですね。

野曽原直之
 飛合と一見逃がすような12桂成に驚いた。

★32桂成と狭い方に追い込むのが第一感ですから、不利感のある手でした。

nono_y
 限定合3回の清貧図式清涼詰。合駒も清貧に収まっている。
 指定手は確かに桂をどちらに成るか迷う。
 ただし、この手が鍵なら18手目の変同は残念。

★15手目を鍵にしたのは管理人の判断です。

河童生
 見た目は易しそうだが、合駒が3度もあって結構難儀。最後は清涼詰で涼風ですね。

★初形は清貧。詰め上がりは清涼。

濱田博
 18手目は限定されているのだろうか

★残念ながら皆さんがご指摘されているように変同です。
 どちらの角でとっても32飛から桂を打って(作意は同角右から33桂ですが、同角左なら13桂)11玉に31飛成と捨てて詰むので、それほど気にはなりませんでした。

有吉弘敏
 序の7手は既視感があります。
 18手目はどちらの角で取っても同手数?間違ってたらすみません。

久保紀貴
 13角合以下の手順に前例がなければちょっとした発見だと思う。

奥鳥羽生
 一見してよくあったパターンかと思ったら、角合・飛合ときて12桂成!となりビックリ。よくぞ発掘せり(過去作不知)。

★頭4手は一つのパターンですね。
 本作の場合14手目までに前例があるのが痛いところです。経緯は作者の言葉を参照ください。
 管理人は新作として十分価値があると思いますが、いかがでしょうか。

中出慶一
 簡潔図、3回の合駒選択、清涼詰、等作品としては短大でも十分通用する申し分ない好作です。
 しかし「すらすら解ける20手台」の趣旨からは遠い存在です。

★今回の課題の主旨に合わないというコメントをいくつか頂戴し、管理人の予想よりも低い評点にとどまりました。
 一方で手順については18手目の変同を指摘される方が多かったのですが、他には難点がないということの裏返しとも言えます。
 3度の易しい合駒、不利感のある12桂成、大駒捨ての収束、清貧図式と清涼詰と、内容は豊富で好作だと思います。


☆結果発表へのご意見や感想などがあれば、下記宛にご一報ください。
 随時紹介させていただきますので、よろしくお願いします。
   blogsokikaitusin@gmail.com

***【次回例会】*****************************************************
[日時]2016年10月16日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F和室
[課題] 「合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。)(29手以内)
作品の投稿先 ⇒ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。
*********************************************************************
以上

詰パラ10月号到着&創棋会の課題(「合の手筋」3通り以上)

<<詰パラ10月号到着&創棋会の課題(「合の手筋」3通り以上)>>

「すらすら解ける20手台」の結果発表、今回は中休みとさせていただきます。
詰パラ10月号の紹介と、創棋会の次回課題についての例題紹介です。

■詰パラ10月号が到着
・会合作品展(18P~)。香龍会、詰四会、九州Gと一挙に三つの作品展です。
 しかも香龍会は例会300回、詰四会は10周年&20回の記念です。
 会合を長く続けるのは、色々な要素が揃わないとうまくいかないように思いますので、皆さんご立派!
 (ちなみに創棋会は来年で45周年です。)
・半期賞発表(21P~)。素晴らしい作品ぞろいで、あらためて鑑賞したいと思います。
 小学校と高校がダブル受賞。武島氏が小学校・中学校の2校で受賞。また、小学校の上谷氏・高校の小林氏・短大の安田氏・大学の石川氏と4名が初受賞されました。若島さんは14回、これもすごい数字ですね。
 皆さん、おめでとうございました。
・全詰連の頁(29P~)。藤井聡太さんの四段昇段、おめでとうございます。これで来年の解答選手権も大入り満員か?
 また4年後の地方開催を心配されていますが、どこかよいところはないでしょうか?
・短コン作品募集(28P~)。今年は9手詰!
・持駒のある風景(30P~)。こちらでも藤井さんの記事が。
・ちえのわ雑文集(38P~)。三輪さんによる「改作のすゝめ」。
 『作品はどんなに推敲したつもりでも視点を変えた改良の余地がある』という主張は肯けますが、それを詰パラの誌上に「修正室」というコーナーまで設けて発表することには少し抵抗があります。
 個人作品集をまとめるときに改良図を載せるというのはアリかと思いますが、本来解答募集方式出題がメインの誌上にそういうスペースを設ける余裕があるなら、新題に回してほしいと思いますが、いかがでしょうか?
・酒井桂史『琇玉篇』解題(40P~)。今月はイントロ。来月以降に作品が紹介されるのが楽しみです。
・会合案合(54P~)。創棋会は8月の例会報告と10月の案内。10月の会場が多目的ルームとなっていますが連盟行事のため和室に変更します。同じフロアーです。

■次回課題作
12月号掲載予定の作品展の課題です。
合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。)(29手以内)

それでは今回も「合のつく手筋」を含む過去の名作を紹介していきます。
看寿賞受賞作から選びました。

まず最初は創棋会の大ベテラン柴田さんの作品。得意の打歩詰回避がテーマです。

柴田昭彦作(詰パラ1967年11月、看寿賞、『詰将棋三十年』第100番、『古今中編詰将棋名作選Ⅰ』第114番)
柴田昭彦_パラ196711

初手は45龍を使いたい局面。55角も活用したいので、玉方73飛の利きを止めて43に桂を跳ぶのが有力そう。
玉方も25合では16歩から33角成なので、35に中合して打歩詰に誘いたい。
となると頭の丸い35角合しかない(桂は27から打てる)。

<図:35角合>
柴田昭彦_2手目35角合

同龍に対する25合が難しい。
25香合は、26角、同桂、同銀、16玉に25銀と香を取る手があり、17玉、19香、18合、29桂、27玉、36龍で詰む。
25桂合は、26角、同桂に同龍と出来るので、14玉、15歩、24玉、33角成まで。
25金合は、26角、同桂、同銀、16玉に25龍と金を取り、27玉、28金まで。
最善は銀合となります。

そこで追撃の一手が48角と離して打つ手。
26角では、同桂、同銀、16玉で詰まないので、合駒を稼ごうというわけです。
37桂合の変化、少し骨があります。
同角引、26桂跳、同銀、16玉、25銀、27玉、36龍、38玉、73角成、48玉、38飛、59玉、95馬で詰みます。
この変化があるので、48角と33角生の手順前後は成立しません。
そうなると26合の一手ですが、頭に利く駒は取って16から打てます。
軽く26桂跳では同銀、16玉、25銀とすれば、17玉には26龍、27玉には36龍と、大駒3枚の包囲網があり簡単です。
そこで26桂打とします。

<図:26桂打>
柴田昭彦_6手目26桂

ここで同角では同桂とされ、27桂は14玉で打歩詰、同銀としても16玉、25銀に17玉とされ逃げられてしまいます。
決め手の好手が33角不成とする手です。
24合は頭に利く駒では取って16から打てます。
玉方は最後の抵抗で24歩と移動合します。

<図:24歩>
柴田昭彦_8手目24歩

ここまでくれば簡単です。
26角、同桂、27桂、14玉となったとき33角生の効果で15歩が打てます。
15歩、23玉に22角成~33歩成~22と と捌いて31龍と入ります。
ここまで来て初手が不成だった効果が現れました。
43桂不成は非常に潜伏期間の長い伏線手でした。
最期、打った桂を35に跳ねて詰むのも気持ちがよいですね。

43桂不成の好手から始まり、中合や移動合を含む4連続合に、角不成を織り込んだ好手満載の前半の攻防は圧巻。打歩詰回避を得意とする柴田さんの代表作です。

作意:43桂不成35角合、同龍、25銀合、48角、26桂打33角不成24歩、26角、同桂
   27桂、14玉、15歩、23玉、22角成、同玉、33歩成、11玉、22と、同玉
   31龍、23玉、35桂まで23手詰


続いては、やはり打歩詰打開の応酬です。

齋藤吉雄作「くもの糸」(詰パラ1997年11月、看寿賞)
斎藤

初手は44龍と活用したいところですが、応手が悩ましい。
36玉は、35とがうまい手で、同となら25銀、同と、34龍があります。また35同角成なら同龍、同と、25角と重く迫れば45玉に46歩と叩いて詰みます。
46歩合は、48歩と打てるので、36玉に35と、同と、25銀、同と、34龍があります。
46銀合としても35とを同銀とは出来ない(47龍まで)ので同じことです。
となると45中合しかありません。同龍とさせて48歩を打歩詰にしようという手です。
中合は歩か桂しかありませんが、まず45歩合には48歩と打ちます。
36玉なら35とから25銀~34龍の筋があるので、いったん46玉とします。
55龍とさせてから36玉とします。
そうなると35との筋は利かないので56龍と応手を訊きます。
46香などでは25銀、同と、同馬、45龍があります。
46金(銀)も、同龍として同角成に、27馬から28飛があります。
46角成の移動合が粘りのある受けですが、同龍、同玉、73角、36玉に、27馬から37角成という手があります。
この37角成を防ぐため、45の中合は桂合が最善となります。

<図:45桂合>
斎藤45桂

45歩合のときと同じように進めてみましょう。
48歩、46玉(36玉は35とです)、55龍、36玉、56龍と進めます。
歩・香・桂・銀・金は45歩合の変化と同様に詰みます。
46角成の移動合が最善の応手です。

<図:46角成>
斎藤46角成

ただちに同龍では、同玉、73角としても、36玉とされて45桂の守備が強くうまくいきません。
ここで良い手がありました。25銀、同と としておくのです。
すると46龍、同玉に13角と、右から角が打てます。
36玉には25馬で気持ちよく詰みます。
35歩合なら、47歩、同玉、25馬です。そこで36歩と打歩詰に誘おうとしても、46角成から48飛があります。
24歩合にも47歩が利きます。取っても36玉とかわしても25馬で決まります。
どうやっても詰みそうですが、24桂合という受けの好手がありました。

<図:24桂合>
斎藤24桂

歩合と同じように見えますが、47歩、同玉、25馬となったときに36桂跳の移動合があるのです。

<図:36桂>
斎藤36桂

これでなんと打歩詰の局面。しかも48にも利いているというアクロバットのような受けでした。
ここから46角成、48飛と大駒を連続して捨て、47歩となって見事な収束。
24の桂が36、48と二段活用されるところも味が良いですね。


作意:44龍、45桂合、48歩、46玉、55龍、36玉、56龍、46角成、25銀、同と
   46龍、同玉、13角、24桂合、47歩、同玉、25馬、36桂、46角成、同玉
   48飛、同桂成、47歩、同成桂、35馬まで25手詰


最後の作品はちょっと珍しい移動合です。(回収手筋)
原亜津夫作(詰パラ1998年5月、看寿賞)
原亜津夫199805

初手はとにかく32角と打つしかありません。
15玉なら23歩成、26玉、46龍、36合、44角成と金を取る手があります。
以下、15玉と逃げても、33馬、26玉に27金まで。36合の種類に関係なく詰みます。
44金を取らさないという意味で、23歩成に26玉とせず、24に捨合をする手はあります。
それには同角成、26玉に36龍と捨てる手が好手で、同玉、46馬、26玉に、取った合駒を27(桂なら38)から打って詰みます。
それではもう少しひねって32角に23合と捨合するのはどうでしょうか?
23歩合だと、同角成、同飛、15歩、同玉、23歩成と出来ます。また23同角成に15玉も14馬と捨てて15歩と打てば同様の局面となり、いずれも44角成の筋があって詰みます。
23桂合が少し手強い変化ですが、同角成、同飛に26桂として、同香に15龍と捨てる好手があり、23歩成から飛車を取って詰みます。
玉方は手段に窮したかに見えますが、なんと23飛と只捨てする移動合の妙手がありました。

<図:23飛>
原亜津夫_23飛

これは取る一手です。
23歩や23桂でも詰むのに、さらに強力な飛をもらいました。
簡単に詰みそうですが、意外に使い道がありません。
23同角成、15玉、14馬、同玉までは先ほどの変化と同じ。
今度はもらった飛車を15飛と打って、同玉、23歩成となります。
歩合のときと変わらない流れですが、26玉に46龍と引いたとき、36飛合の受けがありました。

<図:36飛合>
原亜津夫_36飛

23歩合なら15に打てるのは歩、玉方にも歩しか渡りません。
しかし23飛合とされれば、15には飛を打つしかなく、玉方は飛車を手にすることが出来るのです。
36飛合とすれば、44角成、15玉と進んだとき、33馬を同飛ととることが出来ます。
以下は龍も切って見事な収束。

玉方は、23飛という移動捨合の妙手により21飛を攻め方に渡し、15飛と捨てさせて持駒にし、それを36に合するという、マジックのような構想作でした。

本作の手筋については『この詰将棋がすごい!2010年度版』の135Pで次のように紹介されています。
「移動合の中に『回収のための移動合』とでもいうべき珍手筋がある。(中略)。つまり『移動合を取って、いったん持駒となった駒が、ふたたび受方に渡ることによって、今度は合駒として打つことが可能になる』という手筋のことである」
不思議な手筋があったものです。

作意:32角、23飛、同角成、15玉、14馬、同玉、15飛、同玉、23歩成、26玉
46龍、36飛合、44角成、15玉、33馬、同飛、16龍、同玉、17金、15玉、16香まで21手詰


課題作「合のつく手筋、3通り以上」投稿をお待ちしています。
造語も可としていますので、手順の妙味はもちろんですが、ユニークなネーミングの手筋が登場することも期待しています。

***【次回例会】*****************************************************
[日時]2016年10月16日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F和室
(55Pの会合案内では『多目的ルーム』となっていますが、連盟の行事の関係で和室に変更になりました)
[課題] 「合のつく手筋、3通り以上」(移動合・打診合など。造語も可。)(29手以内)
作品の投稿先 ⇒ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。
*********************************************************************
以上