次回課題「成生の態度保留や態度打診」(続々)

まず創棋会の2016年度例会開催予定です。
4月17日
6月19日
8月21日
10月16日
12月18日
開催日はいずれも日曜日です。偶数月の第3日曜日になります。
会場は関西将棋会館です。

それでは次回課題「成生の態度保留や態度打診」について、今回も例題として過去の名作を紹介します。
今回は少し短手数のもの。これまで紹介してきたものとは、表現の方法に違いがあります。

青木裕一作(解答選手権2015年チャンピオン戦③)
青木裕一17手

初手53角と打ちます。15玉なら14金、同桂、16歩、25玉、35角成まで。
35桂の捨合はどうでしょうか。同角成なら15玉で打歩詰。
しかし同角不成とする手が好手で、以下15玉、14金、同桂、16歩、25玉、17桂、同と、26歩、同桂、14角、34玉、44飛できれいに詰みます。
そこで玉方は、さらに工夫して44歩合と打診の妙手を放ちます。
同角成なら35桂合で打歩詰です。
同角不成では15玉とされ、後の35角成が出来ず詰みません。
成っても成らなくても詰まないとなると困りましたが、打開の一手が35角と打つ手です。

図~35角~
青木裕一35角

ずいぶん重い手のようですが、15玉に14金から15金と金を消し、24角と捨てると、収束が見えてきます。フィニッシュは歩頭への飛捨て、同歩に35角成まで。
打診中合を取らずに動かすという高度な狙いを実現した意欲作でした。

作意:53角、44歩合、35角、15玉、14金、25玉、15金、同玉、24角、同歩、16歩、25玉、26歩、同と、45飛、同歩、35角成まで17手詰

森長宏明作(詰パラ1985.12)
短編競作展で優勝を飾った作品。
森長氏の作品集『詰物語』にも収載されている。(第7番)
森長宏明11手

初手33飛と打ってみる。
49玉は38飛成で簡単。
28玉と逃げれば38飛不成の好手があり、17玉に29桂、同と、18歩、27玉、37馬まできれいに詰む。
しかし33飛には34歩合という打診中合の妙手がある。

図~34歩合~
森長宏明34歩合

同飛成とすれば、今度は28玉とされ38龍、17玉、29桂、同とで、今度こそ打歩詰となってしまう。
もちろん同飛不成は49玉で続かない。

正解は初手38飛と近打し、29玉に33飛不成とする。
図~33飛不成~
森長宏明33飛生

今度は47馬による王手なので、玉方は先ほどのように中合で飛の成生を打診することはできない。
たとえば38歩合とすると、38同飛成として19玉、18金、同玉、19歩以下同手数駒余り。
仕方なく28玉とすれば、38飛不成と出来るので、17玉、29桂、同と、18歩、27玉、37馬までの詰みとなる。
攻め方は、38飛から33飛不成とすることで、巧妙に飛の成生の選択を残す、言い換えれば態度を保留することに成功したわけです。

なんと解答者107名中53名が打診中合を見落とし9手の誤解に陥ったとのことです。

作意には33飛不成という態度保留の妙手があり、変化には打診中合で逃れる筋を用意するという、簡潔な構図で明快に構想を表現した短編の好作でした。

作意:38飛、29玉、33飛不成、28玉、38飛不成、17玉、29桂、同と、18歩、27玉、37馬まで11手詰

余談になりますが『詰物語』の巻末には“詰将棋半生紀”という自叙伝風の読み物が載っている。ここには森長さんのさまざまな想いや考え方が盛り込まれていて読ませる内容です。たとえば、作品のオリジナリティに対する強烈な想いにはグッと来るものがありますし、双玉と単玉の関係や、作品のキズについての考え方など、非常に参考になります。作品集としての構成も面白く、もちろん収録作品のレベルが高いからなのですが、20年前に発行された書籍とは思えないような一冊です。

***【解答選手権のお知らせ】****************************************
◆解答選手権チャンピオン戦 3月27日(日)
受付は 10時30分から11時。競技開始が11時10分。
【東京会場】機械振興会館 地下3階 研修-1室
東京都港区芝公園3-5-8
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大阪市港区弁天2-1-5
※詳細は解答選手権速報ブログをご覧ください
http://blog.goo.ne.jp/shogi-problem
♪大阪会場の運営をお手伝いいただける方、募集中です。
連絡は次のアドレスまでお願いします。
⇒ tsume.31th.taikai@gmail.com

***【次回例会】*****************************************************
[日時]2016年4月17日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館
[課題] 「成生の態度保留や態度打診」(29手以内)
作品の投稿先 ⇒ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。
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以上
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次回課題「成生の態度保留や態度打診」(続)

創棋会の次回課題「成生の態度保留や態度打診」について、今回も例題として過去の名作を紹介します。

岡本眞一郎作31手(近代将棋1984年8月、修正図)
同氏の作品集「競馬式」に収載されています(第31番)。
ちなみに「競馬式」は打歩詰不成百番の副題があり、内容豊富な作品集です。
全詰連書籍部で販売されています。

岡本作

序奏は軽く44との邪魔駒消去。73角を62から活用するためです。
43桂成と開き王手したところが1図。

1図~図面①43桂成
岡本①43桂成

普通に35玉と飛を取ると、46銀、36玉、38飛、37歩合、同飛、26玉、62角不成と追って2図となる。途中36玉で26玉は62角から18飛で早い。37歩合も18への飛の転回を防ぐ好防。

2図~図面②62角不成
岡本②62角不成

ここで16玉は36飛の好手があり、同角、17歩、25玉、35角成まで。
詰棋慣れした人なら、打歩詰に誘う中合の筋がひらめくところで、35に歩合する手がある。
同角成は打歩詰なので同角不成とする。以下、16玉、36飛、同角、17歩、25玉、14銀不成、同玉、13と、25玉、26歩、34玉、44成桂まで。
駒も余らずピッタリだが簡単すぎる?
44歩合の成生打診が利けば、成には35合、生には16玉で逃れることが出来るのだが、二歩で打てない。

そこでもう一度1図に戻って受けを考えてみよう。
55歩合はどうか?同角成なら、先の変化で46銀、36玉、38飛、37歩合、同飛、26玉に44馬、35歩合から打歩詰に誘うことができる。しかし55に馬が出来ると36玉に45馬という手が生じて早詰。
手段がないかと思われるが、64歩合という妙防がありました。(3図)

3図~図面③64歩合
岡本③64歩合

64歩合は73角の成生を打診する中合です。
今度、同角成とすると、35玉、46銀、36玉、38飛、37歩合、同飛、26玉に53馬とするしかなく35歩合から打歩詰になってしまうという仕掛けです。
そこで同角不成として、先ほどの変化で53角不成とする余地を残します。
それに対して玉方には奥の手がありました。さらに55歩合とするのです。(4図)

4図~図面④55歩合
岡本④55歩合

角は64にいるため、今度は生角で取るしかありません。
以下、35玉、46銀、36玉、38飛、37歩合、同飛、26玉に44角となった局面(5図)をご覧ください。

5図~図面⑤44角
岡本⑤44角

まるで44に打診中合を行って同角不成とさせたような状態になっているではありませんか。
玉方にとって都合が良いのは、53では成らせ、44では成らせないことなのですが、64歩と55歩で2手かけて、2段階で打診を行い、都合よく成生を選択させることに成功した局面と言えます。
55歩合は角を可成地点に移動させないための巧妙な延命策だったのですが、44に打診中合できなかったものが、結果的に64と55で2手かけて打診したことになったといえるのではないでしょうか。

2図以下の順では詰みませんが、今度は1歩余計に稼いだので35から歩が打つことが出来53角成までの詰みとなります。

64歩合で成生を打診し、55歩合で可成地点への角移動を防ぐという、2手ワンセットの妙防が光る好作でした。
詰パラ2月号で結果発表されている大学⑮相馬慎一作は本作を発展させたものということです。あわせて鑑賞されればと思います。

なお「競馬式」には他にも打診中合の好作が収録されているので、機会があれば紹介させていただきたいと思います。

作意:45と、56玉、46と、同玉、43桂成、64歩合、同角不成、55歩合、同角、35玉、46銀、36玉、38飛、37歩合、同飛、26玉、44角、16玉、36飛、同角、17歩、25玉、14銀不成、同玉、13と、25玉、26歩、34玉、35歩、43玉、53角成まで31手詰

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次回課題「成生の態度保留や態度打診」(2/14修正)

創棋会の次回課題は「成生の態度保留や態度打診」です。
4月17日の例会で選題し6月号に掲載されます。
皆さんからの好作の応募をお待ちしています。

今回も例題として過去の名作を紹介します。

森田正司(1957年4月詰パラ)
同氏の作品集「春霞」35番にも収録されています。
森田作43手195704

すごい初形です。森田さんの洗練された作品の数々からはちょっと想像できないような図ですが、作者コメントには「手順第一主義の初期の作品のため、形はかなりムリをしている」とあります。
どこから手をつけようかいうところですが、47金から25角とする筋が見えます。
しかし47金からすぐに25角では46玉とされて続かないので、48歩と突き出して応手を打診します。同成桂は25角から56とと捨てて68桂が打つ手があって簡単なので46玉と逃げますが、47歩と続けて突き出すと同玉と応じるしかありません。
ようやく25角が実現しますが、今度は49歩が消えたので、48桂から47歩で打歩詰を解消しながら成桂を奪います。序奏は二歩禁解消の手段であったことがわかります。
47同角を同玉と応じると48歩から容易に詰むので46玉とかわしますが、そこで73角不成と入るのが好手。(次図)

<21手目73角不成>
森田_73角生

47玉は48歩、56玉、55角成、67玉、77金まで。
55桂合は同角不成、47玉、48歩、56玉、66と68桂、67玉、77金まで。
※当初55桂合の変化に誤記があり修正しました。ご指摘感謝申し上げます。
どうやっても詰みそうですが、ここで64歩合という絶妙の中合があります。
対して、同角不成は、47玉、48歩、56玉で55に角が成れません。
また同角成なら、55桂合、同馬、47玉として48歩が打歩詰で逃れという寸法です。
73角不成は、相手の応手によって55に角を成ったり不成としたりできるように態度を保留した好手でしたが、64歩合は成るか成らぬか態度をはっきりさせようという打診の妙手だったのです。角が73なら成生の変化が生まれますが、64からだと成ったり成らなかったりということが出来なくなるわけです。
作意は同角成として、55桂合、同馬から、57香を成らせて打歩詰を打開してきれいに詰み上がります。

本作が発表されたのは、前に紹介した酒井克彦氏の作品より8年前です。
作例の少ない時代によくこの構想を実現されたものです。
森田手筋第1号が発表されたのがこの2年後ですから、当時の森田氏が構想作を精力的に創作していたことがうかがわれます。

作意:47金、同玉、48歩、46玉、47歩、同玉、25角、46玉、56と、同玉、48桂、同成桂、55と、46玉、47歩、同成桂、56と、同玉、47角、46玉、73角生64歩、同角成、55桂、同馬、47玉、65馬、46玉、58桂、同香成、47歩、57玉、69桂、同成香、58歩、67玉、76馬、56玉、48桂、47玉、65馬、46玉、56馬まで43手詰

ところで「成生の態度保留や態度打診」について、定義はどうなっているの、というご意見もあると思います。
厳密な定義についての論考は識者の手に委ねることとしますが、今回紹介した森田作を例にして課題の意味を説明しておきます。
まず21手目の73角不成が「成生の態度保留」に当たります。玉方の応手によって、後の成生を選択できるようにした手です。
次に22手目の64歩合が「成生の態度打診」に当たります。打診によって攻め方の態度(成か生か)を決めさせ、それに応じて玉方は逃げ方を変えようというものです。

先に紹介した谷向作や酒井作には、本作の73角生のような「成生の態度保留」に相当する手は直接出てきませんが、可成地点から打つ43飛や73角に対する変化の中に成生による詰筋の違いがあり、そうはさせませんよと応じた中合が「成生の態度打診」となる構成でした。

これからも課題の内容を表現したと思われる好作の数々を紹介していきたいと思います。

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例会報告(2016年1月31日)

◆例会報告
1月31日(日)13:00より関西将棋会館3階ミーティングルームで第259回創棋会例会が開催されました。
参加者は次の皆さんです(順不同)。
猪股昭逸、梶下雄貴、久保紀貴、小林徹、則内誠一郎、谷本治男、鳥本淳史、中出慶一、中村雅哉、中村宜幹、野曽原直之、濱田博、廣瀬崇幹、広瀬稔、吉田彰、吉松智明、以上16名。
初参加は京都市の野曽原さんと東広島市の梶下さん。
お二人ともWEBや詰パラ誌上に作品を発表している若手作家です。
また鳥本さんも久方ぶりに静岡から参加されました。
若手が多数参加され、熱気あふれる例会になりました(会場が狭かったからではありませんよ)。
<写真>
例会20160131
左から、則内・小林・濱田・広瀬・久保・梶下・野曽原・中出・中村(宜)・中村(雅)・鳥本・猪股の各氏

例会では今回の課題作である「持駒 ホケキョ(歩桂香)」の検討が行われました。
追加投稿が2作あり、参加者の皆さんの評判なども参考にしながら、3月号に掲載される作品の選題について意見を交換しました。

また則内さんから次回課題(4月例会で選題し6月号掲載)である「成生の態度保留や態度打診」の研究ということで、過去の有名作品などをピックアップしたコピーが配付されました。
課題に関する定義などについても議論がありましたので、あらためて紹介させていただこうと思います。

さらに新年会には、次の方々も参加され、こちらも大盛況。大変楽しい新年会になりました。
伊藤正、上田吉一、小島正司、柴田昭彦、冨永晴彦、西輝人、若島正

<写真>柴田さんが懐かしい写真を持参されました。
新年会201601①
奥の左から、伊藤・柴田・谷本・中出・小島。手前左から、上田・中村(雅)・廣瀬・鳥本。

<写真>久保さんの締め。
新年会201601②
画面左から、濱田・若島・冨永・中村(雅)・則内・西・廣瀬・小林・中村(宜)・久保・広瀬。

◆解答選手権のお知らせです
・チャンピオン戦 3月27日(日)
受付は 10時30分から11時。競技開始が11時10分。
※今年から受付を30分早めましたのでご注意ください。
また会場は昨年から変更となっています。
申込締切は3月15日ですが、満員になり次第終了
【東京会場】機械振興会館 地下3階 研修-1室
東京都港区芝公園3-5-8
http://www.jspmi.or.jp/kaigishitsu/
【大阪会場】大阪市立港区民センター
大阪市港区弁天2-1-5
http://www.osakacommunity.jp/minato/access.html
※詳細は解答選手権速報ブログをご覧ください
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連絡は次のアドレスまでお願いします。
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[日時]2016年4月17日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館
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