もうすぐ例会~例会は10月15日です~
<もうすぐ例会~例会は10月15日です~>
■「すらすら解ける20手台」PartⅡ
本日は結果発表を休ませていただきます。
*8.23出題 → http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-126.html
*9.23(結果稿第一回) → http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-133.html
■創棋会の次回課題
創棋会の次回例会は10月15日です。
課題は「遠打や遠開き、3回以上」です。遠打のみ・遠開きのみ・両者の合計、いずれも可。29手以内。
例会で選題のうえ、12月号作品展に掲載されます。
投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp
さて課題作の例題紹介、今回は「遠打」「遠開き」のミックスされたものを三作、課題にマッチした長編を一作、合計四作品を紹介します。
橋本 樹作
(詰パラ1980年5月、『80年代ショート詰将棋ベスト200』第7番、『現代詰将棋名作選』第37番)

28飛と19角の配置から、開き王手の筋がたくさん見えています。
まず26飛と浮いてみましょう。44玉なら55角打から43銀生があり、19龍なら77角から66飛という手があります。しかし平凡に46歩合とされると続きません。
75桂を狙って78飛はどうでしょうか。19龍なら、33角、44合、75飛の要領です。でも19龍とせず に44玉でダメですね。
33角と打っておくのも有力そうです。44合なら今度こそ、78飛で詰みます。しかし64玉とされて打歩詰です。
77角もやってみたい手です。66には歩が打てませんから何を合しても24飛と開き王手し、46合でも19龍でも66角と合駒を奪えば詰みます。しかし64玉とされて打歩詰です。
どうやらこの打歩詰の打開がテーマのようです。
打開には絶好の手段がありました。
まず99角と打ちます。
<初手:99角>

66~88に中合するのは24飛から合駒を取って詰みますから64玉とするしかありません。
打歩詰の局面になりましたが、ここで88飛と回るのが99角に続く好手順です。
<3手目:88飛>

これで99角の利きが無くなったので65歩と打てることになりました。
46合なら65歩、55玉、83飛成まで。55合としても、84飛と捨て55角まででいずれも駒余り。83歩が好配置ですね。
やむなく19龍と取れば65歩、55玉に、一マス動く89飛が気の利いた詰め上がり。
わずか7手の超短編に99角から88飛というブルータス手筋を明快に表現した好作です。
【作意】99角、64玉、88飛、19龍、65歩、55玉、89飛まで7手詰
中野和夫作
(近代将棋1997年11月、塚田賞、『一番星』第40番、『現代詰将棋名作選』第226番)

49角という筋らしい手が見えるが、あっさり同龍と取られると37龍、16玉で詰まない。
39桂と捨てるのがうまい手で、これなら16玉は27角から詰むので同龍の一手。
39に龍を呼んで36角が好手。16玉には27角打、15玉、13桂成があり、同龍なら16角の好手が用意されている。16同玉は36龍以下。このあたりの変化や紛れの処理によく働いている25桂は好配置。
36角に38玉となったところで83角が遠角の巧打。
<5手目:83角>

83角の意味は49玉に94角と成り返るため。
38玉と戻ったところで69角の遠開き。
<9手目:69角>

69角と最遠移動したのは48玉に58馬を用意したもの。
27玉と逃げるしかないが、そこで49馬が決め手。
同龍と取らせて36龍までの詰みとなります。
83→94→49と角の動きはとてもダイナミックです。
69角の開き王手も鋭い切れ味。
コンパクトな初形から、盤面一杯に活用したスケールの大きな好作です。
【作意】39桂、同龍、36角、38玉、83角、49玉、94角成、38玉、69角、27玉、
49馬、同龍、36龍まで13手詰
山本民雄作(詰パラ1970年12月)

本作、以前にも紹介させていただきましたが、山本民雄氏の短編というと「99飛」よりも本作の方が印象に残っています。
まず15金と捨て、26角と拠点を築きます。
16玉となったところで、48角と龍を取りたくなりますが、27玉と潜り込まれると詰みません。
ここから攻め方の好手順が続きます。
まず49角と遠打。
<5手目:49角>

27合は15金まで。38合なら今度こそ48角で詰みます。
なお49角ではなく38角と打つのは同龍、48角に36と(龍)とする好防があって詰みません。
49角は同龍と応じるしかありません。
続いて59角と最遠移動の開き王手が好手です。
<7手目:59角>

27玉なら26飛、38玉、37金までです。このために49を塞いで59まで最遠移動したのです。
56と と飛車を取れば26金まで。
よくある受けは36金ですが、26金と打ち、同金、同飛、15玉、23飛成、59龍、26金まで15手駒余り。
受けが無いようですが妙防がありました。
46龍の移動合です。
<8手目:46龍>

26金打では同龍、同飛以下、飛車一枚では詰みません。
強く同飛と取り、25玉に35飛と焦点に捨てるのが豪快な決め手。
同歩も同とも15金までですから同玉に26角と活用するのが気持ちよく、46玉に37金までの詰みとなります。
取れる龍を取らずに49角の遠打から59角の遠開き、46龍の移動合に35飛捨と、派手な攻防が展開される中身の濃い一局でした。
【作意】15金、同玉、26角、16玉、49角、同龍、59角、46龍、同飛、25玉、
35飛、同玉、26角、46玉、37金まで15手詰
山田修司作(「多重伏線」詰パラ1963年5月、『夢の華』第41番)

最後の作品は「多重伏線」と命名された山田修司さんの長編です。
導入は26金と打ち、37玉、27金、47玉、59桂、56玉に67金から玉方66馬を奪いに行きます。
65玉と逃げても、66金と馬を取って、同玉に67馬で大きな拠点が出来ます。
55玉と逃げたときに、47桂と捨てておくのが最初の伏線です。
同と と取らせて、99角と限定遠打。これが第二の伏線。
<15手目:99角>

88中合は歩と桂が打てないので早詰。77合は同馬で一歩余計に渡すだけですから黙って65玉とよります。
66馬、74玉、75歩、73玉と追って、83歩成と香を取り、同玉のときに、56馬と寄って同と、と取らせるのが第三の伏線。
そこで88香の遠打が第四の伏線。
<15手目:88香>

87~85に歩の中合は出来ません。それ以外の駒は早く詰みます。
おとなしく72玉と引き、62歩成、同金、同と、同玉と清算し、63金、71玉、61銀成、同玉、51桂成、同玉、54香、41玉、52香成と追い、31玉、となった局面が次図。
<40手目:31玉>

この局面になってようやく4つの伏線の意味が分かりました。
88香と打って99角の利きを止めておかないと32歩が打歩詰。
66馬を消しておかないとやはり32歩が打歩詰。
しかし47桂、同と としておかないと56馬と捨てたときに同と寄とされて、後の82香成の開き王手に55と とされてしまいます。
以下は、32歩と打ち、22玉、12歩成、33玉に待望の82香成と遠開きです。
<45手目:82香成>

55桂合の瞬間に、45桂と打ちます。同と と取らせてから、55角が手順です。
以下、同とに、25桂と打ち、43玉、53金までの詰みとなります。
山田さんらしい巧妙なトリックを壮大なスケールで描いた素晴らしい作品でした。
【作意】26金、37玉、27金、47玉、59桂、56玉、67金、65玉、66金、同玉、
67馬、55玉、47桂、同と、99角、65玉、66馬、74玉、75歩、73玉、
83歩成、同玉、56馬、同と、88香、72玉、62歩成、同金、同と、同玉、
63金、71玉、61銀成、同玉、51桂成、同玉、54香、41玉、52香成、31玉、
32歩、22玉、12歩成、33玉、82香成、55桂、25桂、同と、55角、同と、
25桂、43玉、53金まで53手詰
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年10月15日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費] 千円(学生無料)
[課題] 12月号掲載作品展「遠打や遠開き3回以上」。
遠打のみ・遠開きのみ・両者の合計、いずれも可。29手以内
投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。
***【次々回例会】**********************************************
[日時] 2017年12月17日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
[課題] 3月号掲載作品展「繰り返しを含む短編」
***************************************************************
※当ブログのコメントは管理者承認制になっていますが、下記アドレスに直接ご意見をいただければ、必要に応じて、返信させていただくとともに、内容をブログに反映するようにいたします。
blogsokikaitusin@gmail.com
以上
■「すらすら解ける20手台」PartⅡ
本日は結果発表を休ませていただきます。
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*9.23(結果稿第一回) → http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-133.html
■創棋会の次回課題
創棋会の次回例会は10月15日です。
課題は「遠打や遠開き、3回以上」です。遠打のみ・遠開きのみ・両者の合計、いずれも可。29手以内。
例会で選題のうえ、12月号作品展に掲載されます。
投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp
さて課題作の例題紹介、今回は「遠打」「遠開き」のミックスされたものを三作、課題にマッチした長編を一作、合計四作品を紹介します。
橋本 樹作
(詰パラ1980年5月、『80年代ショート詰将棋ベスト200』第7番、『現代詰将棋名作選』第37番)

28飛と19角の配置から、開き王手の筋がたくさん見えています。
まず26飛と浮いてみましょう。44玉なら55角打から43銀生があり、19龍なら77角から66飛という手があります。しかし平凡に46歩合とされると続きません。
75桂を狙って78飛はどうでしょうか。19龍なら、33角、44合、75飛の要領です。でも19龍とせず に44玉でダメですね。
33角と打っておくのも有力そうです。44合なら今度こそ、78飛で詰みます。しかし64玉とされて打歩詰です。
77角もやってみたい手です。66には歩が打てませんから何を合しても24飛と開き王手し、46合でも19龍でも66角と合駒を奪えば詰みます。しかし64玉とされて打歩詰です。
どうやらこの打歩詰の打開がテーマのようです。
打開には絶好の手段がありました。
まず99角と打ちます。
<初手:99角>

66~88に中合するのは24飛から合駒を取って詰みますから64玉とするしかありません。
打歩詰の局面になりましたが、ここで88飛と回るのが99角に続く好手順です。
<3手目:88飛>

これで99角の利きが無くなったので65歩と打てることになりました。
46合なら65歩、55玉、83飛成まで。55合としても、84飛と捨て55角まででいずれも駒余り。83歩が好配置ですね。
やむなく19龍と取れば65歩、55玉に、一マス動く89飛が気の利いた詰め上がり。
わずか7手の超短編に99角から88飛というブルータス手筋を明快に表現した好作です。
【作意】99角、64玉、88飛、19龍、65歩、55玉、89飛まで7手詰
中野和夫作
(近代将棋1997年11月、塚田賞、『一番星』第40番、『現代詰将棋名作選』第226番)

49角という筋らしい手が見えるが、あっさり同龍と取られると37龍、16玉で詰まない。
39桂と捨てるのがうまい手で、これなら16玉は27角から詰むので同龍の一手。
39に龍を呼んで36角が好手。16玉には27角打、15玉、13桂成があり、同龍なら16角の好手が用意されている。16同玉は36龍以下。このあたりの変化や紛れの処理によく働いている25桂は好配置。
36角に38玉となったところで83角が遠角の巧打。
<5手目:83角>

83角の意味は49玉に94角と成り返るため。
38玉と戻ったところで69角の遠開き。
<9手目:69角>

69角と最遠移動したのは48玉に58馬を用意したもの。
27玉と逃げるしかないが、そこで49馬が決め手。
同龍と取らせて36龍までの詰みとなります。
83→94→49と角の動きはとてもダイナミックです。
69角の開き王手も鋭い切れ味。
コンパクトな初形から、盤面一杯に活用したスケールの大きな好作です。
【作意】39桂、同龍、36角、38玉、83角、49玉、94角成、38玉、69角、27玉、
49馬、同龍、36龍まで13手詰
山本民雄作(詰パラ1970年12月)

本作、以前にも紹介させていただきましたが、山本民雄氏の短編というと「99飛」よりも本作の方が印象に残っています。
まず15金と捨て、26角と拠点を築きます。
16玉となったところで、48角と龍を取りたくなりますが、27玉と潜り込まれると詰みません。
ここから攻め方の好手順が続きます。
まず49角と遠打。
<5手目:49角>

27合は15金まで。38合なら今度こそ48角で詰みます。
なお49角ではなく38角と打つのは同龍、48角に36と(龍)とする好防があって詰みません。
49角は同龍と応じるしかありません。
続いて59角と最遠移動の開き王手が好手です。
<7手目:59角>

27玉なら26飛、38玉、37金までです。このために49を塞いで59まで最遠移動したのです。
56と と飛車を取れば26金まで。
よくある受けは36金ですが、26金と打ち、同金、同飛、15玉、23飛成、59龍、26金まで15手駒余り。
受けが無いようですが妙防がありました。
46龍の移動合です。
<8手目:46龍>

26金打では同龍、同飛以下、飛車一枚では詰みません。
強く同飛と取り、25玉に35飛と焦点に捨てるのが豪快な決め手。
同歩も同とも15金までですから同玉に26角と活用するのが気持ちよく、46玉に37金までの詰みとなります。
取れる龍を取らずに49角の遠打から59角の遠開き、46龍の移動合に35飛捨と、派手な攻防が展開される中身の濃い一局でした。
【作意】15金、同玉、26角、16玉、49角、同龍、59角、46龍、同飛、25玉、
35飛、同玉、26角、46玉、37金まで15手詰
山田修司作(「多重伏線」詰パラ1963年5月、『夢の華』第41番)

最後の作品は「多重伏線」と命名された山田修司さんの長編です。
導入は26金と打ち、37玉、27金、47玉、59桂、56玉に67金から玉方66馬を奪いに行きます。
65玉と逃げても、66金と馬を取って、同玉に67馬で大きな拠点が出来ます。
55玉と逃げたときに、47桂と捨てておくのが最初の伏線です。
同と と取らせて、99角と限定遠打。これが第二の伏線。
<15手目:99角>

88中合は歩と桂が打てないので早詰。77合は同馬で一歩余計に渡すだけですから黙って65玉とよります。
66馬、74玉、75歩、73玉と追って、83歩成と香を取り、同玉のときに、56馬と寄って同と、と取らせるのが第三の伏線。
そこで88香の遠打が第四の伏線。
<15手目:88香>

87~85に歩の中合は出来ません。それ以外の駒は早く詰みます。
おとなしく72玉と引き、62歩成、同金、同と、同玉と清算し、63金、71玉、61銀成、同玉、51桂成、同玉、54香、41玉、52香成と追い、31玉、となった局面が次図。
<40手目:31玉>

この局面になってようやく4つの伏線の意味が分かりました。
88香と打って99角の利きを止めておかないと32歩が打歩詰。
66馬を消しておかないとやはり32歩が打歩詰。
しかし47桂、同と としておかないと56馬と捨てたときに同と寄とされて、後の82香成の開き王手に55と とされてしまいます。
以下は、32歩と打ち、22玉、12歩成、33玉に待望の82香成と遠開きです。
<45手目:82香成>

55桂合の瞬間に、45桂と打ちます。同と と取らせてから、55角が手順です。
以下、同とに、25桂と打ち、43玉、53金までの詰みとなります。
山田さんらしい巧妙なトリックを壮大なスケールで描いた素晴らしい作品でした。
【作意】26金、37玉、27金、47玉、59桂、56玉、67金、65玉、66金、同玉、
67馬、55玉、47桂、同と、99角、65玉、66馬、74玉、75歩、73玉、
83歩成、同玉、56馬、同と、88香、72玉、62歩成、同金、同と、同玉、
63金、71玉、61銀成、同玉、51桂成、同玉、54香、41玉、52香成、31玉、
32歩、22玉、12歩成、33玉、82香成、55桂、25桂、同と、55角、同と、
25桂、43玉、53金まで53手詰
***【次回例会】*************************************************
[日時] 2017年10月15日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
https://www.shogi.or.jp/about/base/kansai/
[会費] 千円(学生無料)
[課題] 12月号掲載作品展「遠打や遠開き3回以上」。
遠打のみ・遠開きのみ・両者の合計、いずれも可。29手以内
投稿は→ sokipara@yahoo.co.jp
編集部に郵送いただいても結構です。
***【次々回例会】**********************************************
[日時] 2017年12月17日(日)13時~
[場所] 関西将棋会館 4F多目的ルーム
[課題] 3月号掲載作品展「繰り返しを含む短編」
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