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もうすぐ例会です~創棋会例会は12月20日~

<もうすぐ例会です~創棋会例会は12月20日~>

 少し暖かい時間帯の散歩途上で見かけました。
 1122→398

■創棋会例会は12月20日
 コロナの感染状況、大阪は赤信号モードですが、創棋会の12月例会は、今のところ開催予定です。
 会場となる区民センターのHPにも開催制限に関する新たな告知は出ていません。
 会場は広めの部屋を予約していますので、以下のような「感染拡大防止策」により、リスク低減に努めたいと思います。(下記により、例会そのものの感染リスクはかなり小さくなるという認識です)
  ・発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。
    (検温して発熱の無いことを確認してからご参加ください)
  ・マスクの着用をお願いします。
  ・場内では手指の消毒に努めてください。
  ・大声での会話は控えてください。
  ・ソーシャルディスタンスの確保に努めてください。
    (対人距離は、最低1m、出来れば2mをとってください)。
  ・会場は適時、換気を行います。
 感染状況の急激な変化で急遽開催中止になる可能性もゼロではありません。中止となる場合は、このブログで案内させていただきます。

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
 詰将棋の世界でも、先人の作品に刺激を受け、その構想やテーマなどをモチーフにして創作に取り組むことは結構あるのではないかと思います。
 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
 手数は29手以内。
 投稿先: blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
   ※投稿締切は例会前日12/19とさせていただきます。

◇例題紹介
 今回は遠打の構想作を2題紹介させていただきます。

上田吉一作 詰パラ1972年5月(看寿賞、『極光21』第44番)
上田_極光21№44

 上田さんの有名な看寿賞受賞作。あらためて鑑賞していきたいと思います。
 初手は角打ちしかなさそうです。
 44角と打ってみましょう。
 52玉なら、53角成、41玉、23角、32合、33桂で詰むので、73玉と逃げる一手。
 64角と打てば84玉と逃げるしかなく、そこで66角と引けば、95玉には86角、85玉、97桂まで。85玉も、97桂、95玉、86角まで。
 随分簡単に詰んでしまいますが、66角と引いたときに75桂の捨合が受けの妙手。

<失敗図 75桂合>
上田_極光21№44_失敗図

 75桂を同角引と取れば73玉と逃げられて捕まらないので、同角上と取るしかないのですが、95玉とかわします。
 86角なら、84玉、75角上、95玉で千日手。75桂の効果で二枚角の利きを重複させられたのでどうにもなりません。
 95玉には73角成が有力です。84合なら86角、85玉、97桂で詰むのですが、84金と移動合で受ける好手があり、同角、同歩、86金、94玉で持駒桂だけでは息切れ。75の捨合が桂以外なら95から打てるのですが…。
 ここで角の打ち場所を試行錯誤することになります。
 44角、73玉に、46角と離して打つ手も考えられます。
 84玉なら66角と引こうという狙いですが、46角には55歩の中合が好防。同角引には62玉、同角上なら95玉で詰みません。
 少しひねって35角、73王、55角とやってみましょう。
 84玉に57角と引くのが狙いなのですが、その瞬間に66桂合とされます。
 この二枚角の利きの焦点に桂を捨合されると詰みません。
 しかし玉方に桂の捨合をさせない妙手がありました。
 初手17角と打ち、73玉に37角と連続して遠打を放つのです。

<1図 3手目:37角>
上田_極光21№44_37角

 なぜこの位置から打たなければいけないのでしょうか。
 それは37角に84玉となったときにわかります。
 17に打った角を39角と引きます。
 95玉なら59角、85玉、97桂で詰むので、二枚角の焦点に捨合して逃れるようするのですが、39角への捨合は48地点なので桂が打てません。48には歩合するしかないのです。

<2図 6手目:48歩合>
上田_極光21№44_48歩

 48歩合には同角行と応じるしかありません。
 これで角の利きを重複させられてしまったのですが、歩を入手することが出来ました。
 95玉に73角成とすれば、59角の詰みを防いで84金と移動合で凌ぎます。
 これには同角と切って、同歩に86金と上部をおさえます。
 94玉となったところで48で手に入れた一歩を95歩と打ちます。
 93玉には85桂と捨て、同歩に94歩から95金と活用して84金までの詰み。

 構想を看破すれば一気に解けるのですが、簡単に謎は解けません。限定打の意味が分かったときには感動ものでした。
 何も置かれていない空間から17角、37角と連続して遠打が飛び出す、そのスケールの大きさも印象に残ります。
 八段目には桂が打てないという禁手ルールを利用したわけですが、発表当時はまったく新しい意味付けの遠打で、絶賛の嵐。素晴らしい構想作で、看寿賞に輝いた名作です。

【詰手順】17角、73玉、37角(1図)、84玉、39角、48歩(2図)、同角行、95玉、
  73角成、84金、同角、同歩、86金、94玉、95歩、93玉、85桂、同歩、
  94歩、同玉、95金、93玉、84金まで23手詰


桑原幹男作 詰パラ1980年5月(半期賞、『現代詰将棋中編名作選Ⅰ』第20番)
桑原_現中№20

 初手25飛と打つと34玉、34飛打、43玉と進んで、二枚の飛車が団子状態となって詰みません。
 少し離して26飛と打ってみましょう。
 34玉と逃げれば、35飛、43玉、46飛と調子よく二枚飛車で攻めることが出来ます。
 52玉と引けば55飛と回って、61玉に41飛成まで。
 しかしこの二枚飛の活用を妨害する受けの妙手がありました。
 46飛としたときに45桂合という中合がありました。

<失敗図 45桂合>
桑原_現中№20失敗図
 45桂合を同飛寄と取れば33玉とかわされますし、同飛上と取れば52玉、55飛、61玉で桂一枚では詰みません。
 それなら26飛、34玉のとき37飛と打つのはどうでしょうか。43玉なら46飛と回り、52玉には57飛と出来るので詰むというわけです。
 しかし37飛には二枚飛の焦点に36歩合と捨合する好手があり、同飛寄には23玉、また同飛上なら43玉となり、これは詰みません。
 ここから飛の打ち場所を探して試行錯誤が始まります。
 そして絶好の一打を発見します。
 初手29飛と打って34玉に38飛と打つのです。

<3図 3手目:38飛>
桑原_現中№20_38飛

 二枚飛の遠打限定の意味は、3図から43玉、49飛と回ったところで明らかになる。
 失敗図では35飛・46飛型だったので焦点に45桂合と捨合されて逃れたが、38飛・49飛型ならば焦点は48なので桂合が出来ないという論理構成。
 その前に変化を確認しておきましょう。
 29飛に対して27桂と捨合して、同飛、34玉、35飛、43玉、47飛、45桂合で逃れようとする手があります。それには手順中43玉に55桂と打つ手があり、42玉、47飛、51玉、63桂不成と進めて詰みます。
 また38飛に37桂と捨合するのも後の49飛回りに47桂を用意した受けですが、37同飛、43玉のとき55桂と打てば、42玉、49飛、51玉、63桂不成と進めて詰みます。
 作意を進めます。29飛、38飛の2連発には34玉、43玉と逃げ、49飛と回ったとき、二枚飛の焦点に捨合が受けの妙手なのですが、8段目に桂は打てないので、48歩合と受けるしかありません。

<4図 6手目:48歩合>
桑原_現中№20_48歩
 48歩合は同飛上と取り、52玉に58飛と寄ります。
 61玉となおも逃げれば、62角成と捨てるのが好手。
 同玉と取らせて、32飛成と切って香を入手。
 同銀と取らせて63歩と打てるのが、捨合を48歩にさせた効果。
 (32飛成に42角合も作意同様に追って詰む。)
 71玉には72角成と、もう一枚の角も捌き、同玉に52飛成と成り込めば収束です。

 8段目に桂合が出来ないことを利用した二枚飛車の限定遠打。まさに上田さんの看寿賞作の飛車版です。
 舞台装置の大駒も捌いてのまとめも良く出来ており半期賞を受賞。

【作意】29飛、34玉、38飛(3図)、43玉、49飛、48歩合(4図)、同飛上、52玉、
  58飛、61玉、62角成、同玉、32飛成、同銀、63歩、71玉、72角成、同玉、
  52飛成、71玉、62龍、81玉、83香、91玉、82龍まで25手詰

 なお「八段目には桂合が出来ない」という禁手を利用した作品では山田修司氏の「禁じられた遊び」が有名で、「禁じられた遊び」手筋なる詰棋用語も散見されます。
 「禁じられた遊び」をテーマとした作品の系譜については、鈴川さんがブログmycubeで詳細にまとめられていますので、ぜひご一読ください。
 一回目 から5回目 まで

■創棋会の今後の予定
★感染者の発生が続いており、状況次第で例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
 なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控える(部屋入口は開放するので隣室への配慮もあります)など、当日の運営にご理解をお願いします。


***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
  〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
  アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
  <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神から 徒歩数分
[会費] 無料
[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台 partⅤ」を2月に開催予定。
  テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

****************************************************** 
※例年1月に「例会」と「新年会」を開催していますが、昨今の新型コロナ肺炎情勢を勘案して、2021年度は開催を見送らせていただきます。
 年に一度の催しを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、事情了解いただければ幸いです。
****************************************************** 

・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで 
⇒  blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
以上
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詰パラ12月号到着

<詰パラ12月号到着>

■詰パラ12月号が到着
・表紙は西村章さん。創棋会では会合参加、課題作投稿と熱心に活動され、ありがたい存在。
 コロナを乗り切るには免疫力アップ。それには体温上昇とストレス発散が大切。詰将棋はストレス発散に有効という明快な説明。現役医師によるわかりやすい話でした。冬の夜は暖かいコタツで熱燗片手に詰将棋に取り組みましょう。
・ヤン詰(6P~)。777号記念で、課題「7」の発表。出題数も増えました。
・短コン(10P~)。今年は777号記念で7手詰。ローテーションが狂ったのか(笑)、過去最多の投稿数の影響か、新顔が多いように感じました。並びはこれまでの50音順から、東から西へと変わりました。最後の3題はなぜここに、と思ったら、どうも郵便番号順のようですね。
 *裏短コンも忘れずに解答しましょう!
     https://note.com/kisy314/n/n13cd2000897b
     解答締切は12月13日とのことです。
・同人室(19P~)。課題は「打ち換え」。編集室の柴田さんによれば作り易い課題だったそうですが、同人作家の皆さんがどう料理されたか。16名の競演を楽しみましょう。
・内藤國雄の小ルーム(22P~)。最終回とのことですがエッセーだけでも連載していただけないでしょうか。
・やさしい大学院(24P)。趣向作が2題。
・D級順位戦(25P)。同人作家2名が参戦、いつまでも若々しいですね。
創棋会作品展(26P)。「ピン」。攻防の綾を楽しんでいただける作品が揃いました。一題でも解ければぜひ解答を!
・全詰連の頁(27P)。解答選手権 初級一般戦の開催地募集。来年こそはの思いで、大きな変更案が提示されています。何とか開催したいものですね。
・持駒のある風景(28P~)。777号にちなんで「7」にまつわる話。7種合が比較的新しい条件作というのは勉強になりました。昨今は合駒を導入する技術も向上し、7種合も煙や長手数、使用駒数などの条件を競うようになりました。
・おもちゃ箱だより(30P~)。「新春記録作特集」。色々な分野の記録があるのですね。そして更新目指して挑戦する猛者も。
・ちえのわ雑文集(32P~)。永安克志さんの「上下左右移動が可能な盤」。透明駒でさえ理解に苦しむのに可動盤まで登場するとは!
・詰将棋の眺め方(37P~)。有吉弘敏さんによる「4香連打の系譜」。多様な表現で創作されていることに驚きます。
・サロン(46P~)。創棋会ネット作品展「すらすら解ける20手台」の結果発表
  谷川氏の「課題競作」のお話もなかなか面白い。
・会合案内(48P~)。たま研は新年会開催の模様。
 創棋会の例会は12月20日(日)です。なお新年会は昨今の情勢を勘案して開催を見合わせます。残念ですがご了承ください。
 また次回課題「オマージュ」についても詳しい解説をさせていただきました。作家の皆さまの投稿をお待ちしています。
・結果稿(58P~)
 詰棋校:小14が2.83の高得点。飛び道具のダイナミックな動き。中14も2.8超。本作も飛角桂香が躍動。
  高14は派手な序に大駒の邪魔駒消去で首位。短12は3段中合、サロン谷川さんの原稿とあわせてどうぞ。
  大9が2.83で首位、角の最遠移動から9段目の金合趣向が現われ清涼詰という見事な作品。
  院は2題とも2.9超の好結果。伊藤正さんの復活は喜ばしい。
 藤井聡太タイトル獲得祝賀詰:「ソウタ17」。実力者の競演、並べてお楽しみください。
 創棋会作品展:「すらすら解ける20手台」は本誌初企画。すらすら解けないという声も聞かれたのですが(汗)、成績上位の2作(5・10)はなかなかの好作だったと思います。
デパート:新顔の上田、小形、本田の3氏の作品は力作揃いでした
・編集室(108P~)。今月は777号でした。ラッキーセブンということでヤン詰や短コンが「7」にちなんだ企画になりました。
 2011年9月号が666号でしたが、そのときもヤン詰では「6」が課題でした。555号は2002年6月でしたが特別なアナウンスはなかったようです。
 次は888号ですが、順調に行けば2030年3月。もちろんその前に800号があります。約2年半後の2023年4月号。
 コロナの影響で来年のことも分からない状況ですが、パラの発行は順調に続いて欲しいものです。
・デパート:長谷川さん今月で退任。急なご発表ですが3年間お疲れ様、ありがとうございました。
 今月は最後を飾ってなかなかのメンバーですね。

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
 詰将棋の世界でも、先人の作品に刺激を受け、その構想やテーマなどをモチーフにして創作に取り組むことは結構あるのではないかと思います。
 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
 手数は29手以内。
  投稿先: blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
    ※投稿締切は例会前日12/19とさせていただきます。

◇例題紹介
 前回に引き続き遠打の作品を紹介させていただきます。

浦壁和彦作 詰パラ1977年8月(『現代詰将棋短編名作選』第14番)
浦壁現短14

 玉方82銀と72金が意味ありげな配置。
 43から54に逃げ出されると困るので初手は飛車打ちしかないが、左から打つのは取られてしまう。
 23飛が良さそうだが34玉となって、どこに開き王手しても12香と馬を抜かれてしまいます。
 ここで前回取り上げた小林作や藤井作を思い出してください。
 本局でも開き王手で駒が取れるようにするという手段があります。
 例えば53飛と打てば、同馬と取られますが、23飛、34玉、53飛成と馬を取り返すことが出来ます。53飛、同馬という手順で質駒をつくり、それを23飛~53飛成で取るという仕組みです。
 ただし53飛では、馬が53に移動して35玉から上部に抜けられるので、ダメですが。
 それでは63飛と打ってみましょう。
 53合なら、23飛から53右飛成と53の合駒を取れますから、12香に23龍まで。
 63飛は同金と取るしかありません。
 これで63に金の質駒が出来ました。
 23飛と打ってこの質駒の金を取りに行きます。
 34玉に63飛成と金を取ります。
 玉方は12香と馬を取ります。

<失敗図 12香>
浦壁現短14_失敗

 金は手に入れましたが、この局面では金を打つ場所がありません。
 こうなっては失敗です。
 もう一度飛車を打つ場所を考えてみましょう。
 73飛や83飛は同金と取られて、手に入るのは金です。
 しかし一ヶ所だけ別の駒を奪える地点があります。
 そうです。93飛の最遠打です。

<1図 初手:93飛>
浦壁現短14_93飛

 93飛に83合は、23飛から83飛右成という手があって無効なことは学習済み。
 これは同銀と応じるしかありません。
 これで93に銀の質駒が出来ました。
 23飛と打って93飛成と開き王手すれば、銀の入手に成功。
 12香には23銀打まで。

 盤面を大きく使った93飛の遠打が印象的な一局。
 前回紹介した小林作を遡ること8年前の発表でした。

【詰手順】93飛(1図)、同銀、23飛、34玉、93飛成、12香、23銀まで7手詰

 余談ですが、この頃詰パラに危機が訪れます。
 浦壁作発表の翌9月号に突然「休刊宣言」が出されます。そして10月号は休刊、11月号は歴史に残る8ページの詰パラ…。12月号は「古今中編名作選」、1月号は岡田さんの曲詰論稿に「中編名作選」の補遺。ようやく2月号から少しずつ元の形に戻りました。
 今となっては懐かしい話です。

鈴川優希作 詰パラ2013年8月(『現代詰将棋中編名作選』第255番)
鈴川現中255
 持駒は飛び道具が一式。
 52角と打つしかない形です。
 52角、51玉となった局面は、「52角・59香」のバッテリーが出来たので、角を動かせば開き王手という形。さて角をどこに動かせばよいでしょうか。
 例えば63角成とすると、当然59と と香を抜かれます。
 そこで52飛と打てば、41玉の一手。今度は「63馬・52飛」のバッテリーが出来ました。飛を動かせば開き王手という形ですが、たとえば59飛成と と金を取り返しても、63と と馬を抜かれてしまうと、持駒香歩では続きません。
 52飛と打つ前にいい手があるのですが、その前に3手目の正解を申し上げておきます。
 3手目は96角成と最遠移動が正解。
 その意味は後でわかります。

<2図 3手目:96角成>
鈴川現中255_96角成
 96角成の開き王手には59と と香を取る一手です。
 58歩合のような受けでは52飛、41玉、58飛成、96金、52龍という筋があります。
 これは飛車(龍)にエンジンがついたと言われる形ですね。前回紹介した作品や浦壁作でもその手筋が応用されています。
 ただし85角成とすると、58歩と受けられ、52飛、41玉、58飛成のとき、85馬と取られて、馬が52に利いてくるので52龍と出来ません。96角成でないとダメなのです。
 59と と取られたとき単に52飛と打っては59のと金しか取り返せないので、工夫が必要です。
 57香と打つのが好手。

<3図 5手目:57香>
鈴川現中255_57香

 57香に合駒は利きません。52飛から飛で取り返さして52龍までという学習済みの手があります。
 馬で取るか金で取るかですが、金で取ると、52飛から57飛成で金が手に入るので52金まで。
 57香には同馬と取るのが最善です。
 それには52飛から57飛成と開き王手で馬を取ります。

<4図 9手目:57飛成>
鈴川現中255_57飛成
 57飛成と進んだ局面は、まるで96に馬を遠打したような感じですね。
 ここまで進むと金が渡せなかったことがよくわかると思います。
 85歩合のような受けでは52角から85角成~52馬とういう筋があります。
 今度は52に打った角に96馬のエンジンがついた格好です。
 そこで57飛成には96馬を抜くしかないのですが、52角から96角成と取り返す手があります。
 金を渡すと早いので96飛と取ります。
 それでも52角と打ち51玉となると、「52角・57龍」のバッテリーが完成。
 96角成と開き王手で飛車を取ります。
 57金と龍を抜く一手ですが、これで57に金の質駒が出来ました。
 そこで52飛と打ち、41玉に57飛成と金を奪います。
 96金と馬を取りますが52金までの詰み。

 遠打で質駒を作って取り返す手筋を、バッテリーを入れ替えながら趣向的に繰り返すという素晴らしい一局。
 名作選の解説ではこの手筋に対して「質駒呼び出し」「呼び出し剥がし」という言葉が使われています。

 鈴川さんのblog「my cube」にも自作解説があるので、そちらも是非ご覧ください。

【作意】52角、51玉、96角成(2図)、59と、57香(3図)、同馬、52飛、41玉、
  57飛成(4図)、96飛、52角、51玉、96角成、57金、52飛、41玉、
  57飛成、96金、52金まで19手詰

 「遠打で質駒を作って取り返す」という原理を応用した作品の系譜については、小泉潔さんが『この詰将棋がすごい2010年』において執筆された「超短編における中合対策の研究」という論考がとても参考になりました。あらためて感謝申し上げます。
 小泉さんのブログ 詰将棋用語の最前線(5) でも詳しく取り上げられているので、興味のある方はご一読されることをお勧めします。
  
■創棋会の今後の予定
★感染者の発生が続いており、状況次第で例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
 なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控える(部屋入口は開放するので隣室への配慮もあります)など、当日の運営にご理解をお願いします。


***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
  〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
  アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
  <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神から 徒歩数分
[会費] 無料
[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台 partⅤ」を2月に開催予定。
  テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

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※例年1月に「例会」と「新年会」を開催していますが、昨今の新型コロナ肺炎情勢を勘案して、2021年度は開催を見送らせていただきます。
 年に一度の催しを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、事情了解いただければ幸いです。
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・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで 
⇒  blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
以上

「オマージュ」が創棋会の次回課題です

<「オマージュ」が創棋会の次回課題です>

■最近読んだ本
 今年は春先からコロナの影響でテレワークが増えました。
 そのため「通勤」時間が浮きました。
 影響が大きかったのは運動と読書。
 浮いた時間を使って、運動や読書に活用できて良かったという話かって?
 いや違います。
 通勤は貴重なウォーキングの時間であり、読書タイムだったのです。
 すっかり歩かなくなってしまい、読書量も減りました。
 在宅勤務の日は単に起床時間が遅くなっただけだったので、たちまち運動量は減少。そこから先はご想像にお任せします(笑)。
 これではいけないと気づいたのがゴールデンウイークの頃(遅い!)
 少し早く起きて(というか通勤時に戻しただけですが 汗)、自宅の周辺を散歩することにしました。これで1日の歩数を通勤時の6割程度に戻せました。
 読書は時間があるはずなのに、なかなか捗りません。少し早めに床にはいって本を読もうとするのですが、すぐに睡魔が襲ってきます(笑)。
 どうも電車の中が良い環境だったようです。
 今のところ電車に変わる読書場所が見つからず、空き時間に細切れで本を読む、という状況が続いています。
 読書については、今思えば図書館の閉館も影響大でした。作家の方には申し訳ないのですが、小説などはほぼ図書館で借りていたので…。

 前置きが長くなりましたが最近読んだ本で将棋がテーマのものは「死神の棋譜」。
 将棋世界の11月号にも紹介されていたのでご存知の方も多いと思います。
 プロ棋士に協力を得た棋譜があり、多くの棋士が実名で登場します。将棋世界の編集長にもお世話になったということも謝辞に記されています。熱心な取材をされたのはよくわかります。藤井聡太さんを思わせる記述もありました。
 冒頭には謎の図式が登場し、美人女流棋士が登場したり、三段リーグの情景が描かれたりと、読ませる内容で、謎解きに関するところも、まあ面白かったですね。
 ただ個人的にはファンタジーと現実が入り混じったストーリーはちょっとついていき難いところもありました。
 詰将棋ファンとしては「図式」が登場すれば、そこに絡む話を期待するのですが、さすがにそれは無理というものなんでしょうね。
 ちなみに黒川一郎氏の『将棋浪漫集』には「文芸編」として黒川氏の短編小説が数編収録され、「大橋宗英」や「伊藤看寿」は今読み返してもなかなか面白い。しかしこれが一般受けするかどうかはわかりません。

◆秋の花に入れ替わった近所の庭先。
1117→396

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
 詰将棋の世界でも、先人の作品に刺激を受け、その構想やテーマなどをモチーフにして創作に取り組むことは結構あるのではないかと思います。
 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
 手数は29手以内。
 投稿先: blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
  ※投稿締切は例会前日12/19とさせていただきます。

◇例題紹介
 今回は遠打の作品を紹介させていただきます。

小林敏樹作 詰パラ1985年7月(半期賞、『現代詰将棋短編名作選』第105番)
小林敏樹198507

 まず超短編で最遠打を実現した名作を紹介させていただきます。
 初手、飛車や香を離して打てば簡単そうですが、33から39まですべて守備駒が利いていて、どこに打っても取られてしまいます。
 32に飛車を打つことは出来ますが41玉と寄られると、飛車を動かす開き王手には14龍と角を抜かれて続きません。
手が無さそうに見えますが絶妙の一手がありました。
 39香の最遠打!

<1図 初手:39香>
小林敏樹198507_39香

 39香は同馬と取れば33飛と打とうという狙いなのですが、38に合駒をされるとどうなるのでしょうか。
 それには32飛と打ち、41玉、38飛成、14龍、32龍まで7手駒余りの詰み。
 33から38までどこに合しても33飛からその合を取り返して詰むという、実にシンプルな仕組みです。
 蛇足ながら38香と打つのは、同と、32飛、41玉、38飛成、14龍となって、これは歩一枚では詰みません。
 36~34に香をうつのは同龍と取られて、飛車が打てません。
 ということで39香が唯一の打ち場所になるわけです。
 39香は同馬と取るしかありません。
 これで馬の利きが消えたので33飛と打てます。
 それには22玉とかわしますが、32や23に飛車を成るのは11玉で届きません。
 22玉には13飛成と捨てるのが決め手です。
 33に打ったばかりの飛車をサッと13に捨てるのは実に気持ちのよい駒捌きです。
 同玉に23角成まで。
 39香にはスケールの大きさを感じます。直後の飛車捨ても鮮やかです。
 「名作選」の解説では小泉さんが古今7手詰のベスト10に入ると絶賛されています。

【詰手順】39香(1図)、同馬、33飛、22玉、13飛成、同玉、23馬まで7手詰


藤井規之作 詰パラ2019年8月(半期賞)
藤井規之201908

 33飛と打てる形ですね。
 21玉と逃げれば、22歩、同玉、34桂、同銀、同飛成と調子よく手が進みますが、44馬と取られると切れてしまいます。21玉に54馬と銀を取るのも32歩と受けられて続きません。
 広く盤上を見渡すと好点の香打が見えてきました。
 39香と最遠打!
 42玉とかわせば33香成、31玉、53馬、42合、同馬という筋で詰みます。
 同馬と取れば33飛、21玉、22歩、同玉、39飛成と馬を取って詰みます。
 38合なら33飛、21玉、22歩、同玉、38飛成と合駒を取り、44馬とされても31龍で詰みます。途中、22歩に11玉なら31飛成があります。
 38以外のどこに合しても33飛から取り返す手があって詰むのです。
 このあたりの仕組みは先に紹介した小林さんの作品と同じです。
 ただし、一つだけ受けが残っていました。
 34飛と受けるのです。

<2図 2手目:34飛合>
藤井規之201908_34飛

 他の合と同じように見えますが、33飛、21玉、22歩のとき11玉と逃げ、31飛成を同飛と取ってしまおうという受けです。
 34以外に飛車を打つのは、同香、同Xとなったとき、33飛と打つ手があります。以下、22玉、14桂、同銀、23飛成として詰みます。
 34飛合なら、34同金と取った形が33飛を防いでいます。
 それでも34飛合は同香と取るしかありません。
 同銀は、33飛、42玉、43歩、同銀左、同飛、同銀、54桂、同銀、33銀、31玉、53馬、から詰み。
 34同金と取るしかありませんが、24桂が好手。
 同歩なら、22飛、31玉、11飛、21香合(銀は品切れ。桂は取って23桂。)、同飛から清算して23香で詰みます。
 24桂には同金と応じるのが最善です。
 これで初形に戻りました。ただ持駒の飛香が飛2枚に変わっています。
 ここで狙いの一手が飛び出します。
 39飛の最遠打!

<3図 7手目:39飛>
藤井規之201908_39飛

 初手39香には、34飛合の受けがありましたが、飛車は品切れです。
 39飛には同馬と取るしかありません。
 それには33飛と打ち、21玉、22歩、同玉、39飛成と馬を取ります。
 21玉と逃げれば11馬と捨てるのが気持ちの良い一手。
 同玉に31龍と突っ込みます。
 21銀と移動合で一手詰を防ぎますが、44角の限定打が好手。
 12玉には21龍と切り、同玉に22銀から33角成までの詰み。

 39地点の遠打を二回繰り返すのはインパクトがあります。
 作者も「有名な遠打機構を同一の構造で2回やるというのが狙い」と語っています。
 看寿賞は惜しくも次点でしたが、春霞賞の佳作に選ばれ、そこでも「現代の古典となった小林敏樹作を想起させる筋」と書かれています。
 看寿賞の選考のなかで會場健太さんが本作への評言で「本歌取り」というフレーズを使われていますが、「本歌取り」はまさに「オマージュ」の世界ですね。

 さてこの「遠打で質駒を作って取り返す」という原理を応用した作品の系譜については、もう少し取り上げさせていただく予定です。

【作意】39香、34飛合(2図)、同香、同金、24桂、同金、39飛(3図)、同馬、
  33飛、21玉、22歩、同玉、39飛成、21玉、11馬、同玉、31龍、21銀
  44角、12玉、21龍、同玉、22銀、32玉、33角成まで25手詰

■創棋会の今後の予定
★感染者の発生が続いており、状況次第で例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
 なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控える(部屋入口は開放するので隣室への配慮もあります)など、当日の運営にご理解をお願いします。


***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神から 徒歩数分
[会費] 無料
[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台 partⅤ」を2月に開催予定。
 テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

****************************************************** 
※例年1月に「例会」と「新年会」を開催していますが、昨今の新型コロナ肺炎情勢を勘案して、2021年度は開催を見送らせていただきます。
 年に一度の催しを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、事情了解いただければ幸いです。
****************************************************** 

・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで 
  ⇒  blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
以上

コロナと詰将棋の会合

<コロナと詰将棋の会合>

 新型コロナの新規発生数に一喜一憂しても始まらないと思いつつ、「過去最高」などと言われると気になるものです。東京だけが突出した数値だったのが、いまや大阪も変わらぬ状況。
 今年の春先は猛烈な緊張感のなかで、さまざまな対応を余儀なくされたものです。解答選手権の中止もその一つ。4~5月の各地の会合は軒並み中止。その背景には会場となる公共施設の閉鎖などもありました。創棋会もオンライン開催となりました。
 その後緊急事態宣言の解除後、各地の会合は、感染対策を行うことを前提に、予約制の導入や、広めの部屋を確保するなどして開催。6月は2ヶ所、7月は4ヶ所、8月は6ヶ所と盛況でした。世間は雪解けのような雰囲気の中で7月からGo Toキャンペーンもスタート。しかしさまざまな緩和モードと並行して7月末から再び発生数が増加し、とうとう全国大会も中止となりました。
 9月後半には流行が落ち着いてきましたが、10月末あたりからまたもや増加モードに転じ現在に至っています。
 詰将棋の会合というのは、参加者はせいぜい数名から10数名。大声で歓声をあげるようなこともありません。指将棋のように長時間・近距離で対面するということもありません。自宅から会合場所までの移動にリスクがあるかもしれませんが、会場は至って安全です。発熱や体調不良などがあれば参加は自粛、参加される場合はマスク着用や手指の消毒を徹底し、会場内ではソーシャルでスタンスを意識することなどで、かなり安心して楽しめるのではないかと考えます。
 残念なのは懇親会。私は、どちらかというと会合後の懇親会が楽しみで会合参加しているので、懇親会が開催されないのは寂しいです。気の合った方と3~4人で短時間ならいいのかもしれませんが、人数が増えると好ましくありません。「会食」が感染の大きなリスク源の一つといわれていますので、いましばらく辛抱するしかないですね。
 「詰将棋の会合でクラスターが発生した」というような事態にならないように、自分たちに出来る感染防止対策を講じながら、会合を楽しんでいければと思います。

■朝日
 夕焼けの写真ではありません(笑)。特別早起きしなくても日の出が見られるようになりました。

1029→395

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
 詰将棋の世界でも、先人の作品に刺激を受け、その構想やテーマなどをモチーフにして創作に取り組むことは結構あるのではないかと思います。
 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
 手数は29手以内。
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◇例題紹介
 前回は柏川さんの作品を取り上げましたが、今回は柏川さんの作品に想を得たという作品を紹介させていただきます。
 三連休なので、紹介作品をいつもより増やしました(笑)

北川邦男作 近代将棋1968年6月(塚田賞、『渓流』第70番)
北川渓流70

 入玉ですが駒数も少なく好形です。
 37桂と跳ねればすぐに詰みそうですが、18玉と引かれると、24香が利いているので26龍が動けないので打歩詰。
 18玉に38飛とすれば28歩と捨合され、19歩、29玉、28飛、19玉、29飛、17玉とされると詰みません。
 困ったようですがいい手がありました。
 37馬と捨てるのです。
 これは同馬の一手。
 そこで37桂と馬を取って開き王手。
 これは決まったと思います。
 18玉なら27角で詰みです。
 持駒に歩が余るのでおかしいと思ったら、玉方には絶妙の受けがありました。
 37桂と馬を取ったところで29角合の捨合が受けの妙手。

<失敗図 29角合>
北川渓流70失敗図

 同龍なら同香成、28角、18玉、19歩、27玉と逃げられます。
 同飛なら18玉で打歩詰。
 27角と打っても29玉と飛車を取られてしまいますし、45角と合駒請求するのも36に頭の丸い桂を合されて詰みません。
 37馬は好手なのですが、うまくいきませんでした。
 詰みに持って行くには少し飛躍した発想が必要なのです。
 まず28銀と活用し、18玉に19銀と捨てます。
 同玉と取らせて原形で17銀を消去。
 しかし17龍は同香成とされますし、17桂も18玉で打歩詰。
 17銀を消した意味は何でしょうか?
 まず37馬と捨てます。これは同馬の一手。
 同桂は29角合で詰みません。先ほど学習したばかりです。
 しかし17銀を消した効果が現われます。
 17桂と跳ねるのです。

<1図 7手目:17桂>
北川渓流70_17桂

 取れる馬を取らずに17桂と跳ねるのが素晴らしい一手。
 この手を指すために17銀を消したのです。
 これは18玉と逃げるしかないのですが、今度は37馬と捨てた効果で19歩が打てます。
 同馬と応じるしかなく、同飛、同玉に73角と打てば、18玉に28角成までの詰み。

 17桂のソッポ行きが強烈な印象を残す一局ですが、17銀の邪魔駒消去や37馬の好手もあり、また紛れにも29角合や28歩合といった受けの妙手が配されて、厚みの感じられる一局です。

 なお本作は以前にも当ブログで紹介しています。下記URLからご覧いただけます。
   http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-75.html

 北川さんは構想派の短編作家として塚田賞を4回受賞するなど活躍され、『古今短編詰将棋名作選』には作家としては最多の5作が収録されています。
 ノミネートされた作品数は23作に上ったことからも、その活躍ぶりがうかがわれます。
 北川さんは1981年に40歳の若さで急逝され、没後に遺作集としてまとめられたのが『渓流』です。

【詰手順】28銀、18玉、19銀、同玉、37馬、同馬、17桂(1図)、18玉、
  19歩、同馬、同飛、同玉、73角、18玉、28角成まで15手詰

さて本作、『渓流』によれば北川さんは柏川さんの作品にヒントを得て作図されたとのこと。
その作品を次に紹介させていただきます。

柏川悦夫作 詰棋界1953年1月(『詰将棋半世紀』「駒と人生」第39番)
柏川人生39

 94から逃げられると困るので初手は85飛が絶対。
 96玉で打歩詰です。
 87銀としても、97玉、85歩、75角、86銀、同角、73香成と手は続きますが、77歩合と受けられて詰みません。
 96玉には筋良く97銀と捨てます。
 これは同玉と取る一手。

<2図 4手目:97同玉>
柏川人生39_97玉

 76香としたいところですが、黙って96玉と引かれると打歩詰。
 ここはスマートに95飛と捨てます。
 同香に85歩と開き王手するのが好手順。
 同角と取るしかありません。
 これを同香と取ってしまうと96玉と引かれて打歩詰。
 75同角には好手がありました。
 76香と一マス上がるのです。

<3図 9手目:76香>
柏川人生39_76香

 取れる駒を取らずに短く使うのが絶妙の味の良さです。
 96玉と引けば、今度は97歩が打てます。
 97で清算して53角と打てば86角成までの詰み。

 湯村さんの打歩詰手筋の分類では「(取れる駒を取らず)取歩駒を残して打歩詰を打開する」手筋の1号局です。
 北川さんもこの手筋に刺激を受けたわけですね。

【作意】85飛、96玉、97銀、同玉(2図)、95飛、同香、85歩、75角、76香(3図)
  96玉、97歩、同角成、同飛、同玉、53角、96玉、86角成まで17手詰


北川邦男作 詰パラ1960年12月(『渓流』第21番、『古今短編詰将棋名作選』第79番)
北川渓流21

 もう少し北川さんの作品を紹介させていただきます。
 35玉から26玉の脱出がちょっと気になるので、35歩、同玉、25飛と決めてしまいたくなりますが、それは34玉で打歩詰です。
 まず54飛成と合駒を訊きます。
 香は品切れ。角桂なら45龍まで。
 44金は35歩、同玉として44龍と取るのが巧い手で、同歩に25金まで。
 最善の受けは44銀合です。

<4図 2手目:44銀合>
北川渓流21_44銀

 ここで35歩、同玉と取らせて44龍と切るのは、同歩、25飛、34玉となって43からの脱出が防げません。
 また35歩、同玉、25飛とするのは、34玉で打歩詰です。
 正解は、35歩、同玉に、65龍とソッポに捨てるのが豪快な一手。

<4図 5手目:65龍>
北川渓流21_65龍

 65龍に26玉なら、27飛から25龍で詰み。
 また45合と受けるのは、25飛、34玉に35歩が打てますから、同銀に45龍まで。
 65龍を同銀と取らせれば、今度は54龍が消えたので、25飛から35歩が打てるという仕組みです。
 35同銀には23飛成と捨てて25銀まで。飛車を捨てての仕上げも鮮やか。

 本作は北川さんが森田手筋1号局にヒントを得て作図されたとのことですが、主眼はソッポに捨てる65龍です。本作以外にも複数の龍のソッポ捨ての好作を発表されています。
 森田手筋の表現ということについては『春霞』でも本作が紹介され、1号局は打歩詰の局面になってからピン駒を消去するのに対して、本局は事前に54龍を捨てることで将来のピン発生を予防するという点が異なるとのことで、新しさがあります。

 本作も過去に当ブログで紹介しています。下記URLからご覧いただけます。
    http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-46.html

【作意】54飛成、44銀合(4図)、35歩、同玉、65龍(5図)、同銀、25飛、34玉、
  35歩、同銀、23飛成、同金、25銀まで13手詰


北川邦男作 近代将棋1966年7月(塚田賞、『渓流』第57番、『古今中編詰将棋名作選Ⅰ』第109番)
北川渓流57

 もう一作北川さんの構想作を紹介させていただきます。
 22飛と捨てて、同玉に24飛と打つ筋が見えています。
 11玉に12歩と打てば同玉に23馬から22馬の詰み。
 それでは簡単過ぎますね。
 実は24飛には23歩合という受けの妙手がありました。

<失敗図 23歩合>
北川渓流57_失敗図

 23歩合を同馬と取れば31玉と逃げられてダメです。
 同飛成と取ると、11玉と引かれて、これが打歩詰。
 同飛不成とやっても、11玉で、やはり続きません。
 ここで失敗図の24の飛車が香ならば、23にいるのが成香ですから、12歩は打歩詰にならないので詰むということに気がつくかどうか。

 そこで初手は52飛と打って合駒請求。
 42香合なら、同飛成、同角と香を入手し、22飛、同玉に24香と打てば、23歩合と受けられても、同香成、11玉、12歩、21玉、32馬まで。もちろん24香に11玉なら、12歩、同玉、23馬から詰みます。
 42桂合は同飛成、同角、24桂で簡単。金銀も容易に詰みます。
 どうやら22に合するしかないようです。
 香合は同飛成から24香で簡単。
 22桂合も同飛成、同玉、23飛、11玉、12歩、同玉、24桂、11玉、13飛成から詰みます。
 最善は22歩合です。
 これは同飛成とするしかありません。
 同玉となったところで24飛がダメなことは学習済み。
 そこでもう一度52飛と打って合駒請求したいのですが、すぐに52飛では42桂合と受けられます。同飛成、同角、23歩、21玉となると、持駒桂歩では詰みません。
 先ほどの変化では玉が12にいたので24桂と打てたのですが、22玉の形ではダメです。
 そこで23歩と打って応手を打診します。
 11玉と逃げれば31飛と打ちます。21歩合なら22歩成から32馬という手があるので、21銀合と頑張りますが、同飛成と切って、同玉に32銀と打てば、11玉、22歩成、同玉、31馬と進めて詰みます(32銀に代えて22歩成から23銀でも詰み)。
 よって23歩には12玉が最善の受け。
 そこで待望の52飛。
 今度は42桂には同飛成から24桂があります。
 また42香合なら同飛成、同角、22歩成、同玉、24香と打つことが出来ます。
 これで命運が尽きたようですが、玉方は奥の手を出してきます。
 52飛に42飛合とするのです。

<6図 8手目:42飛合>
北川渓流57_42飛

 42飛合は、香なら詰むが飛車なら詰まないという、玉方飛先飛香の妙手筋です。
 これには同飛成、同角とするしかありませんが、22歩成から24飛では詰まないので、32飛と打ちます。
 23玉と脱出を見せますが、42飛成と角を入手。
 34玉に23馬と捨てるのが鮮やかな決め手。
 44玉から脱出されそうですが33馬でピッタリ捕まっています。
 23馬には同玉と取るしかありません。
 そこで12角と打ち換えて、14玉、15歩、24玉、22龍までの詰み。

 飛先飛香を巡る攻防の綾の中に、52飛が繰り返される趣向的な味があり、楽しめる一局となっています。

【作意】52飛、22歩合、同飛成、同玉、23歩、12玉、52飛、42飛合(6図)、
  同飛成、同角、32飛、23玉、42飛成、34玉、23馬、同玉、
  12角、14玉、15歩、24玉、22龍まで21手詰


■創棋会の今後の予定
★感染者の発生が続いており、状況次第で例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
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***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
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[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
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 テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

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続々・創棋会の次回課題は「オマージュ」

<続々・創棋会の次回課題は「オマージュ」>

 秋が深まってもきれいに花を咲かせています。
 丁寧に育てられているのでしょうね。
1030→392

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
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 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
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◇例題紹介
 今回は古典から想を得たと思われる作品を紹介させていただきます。

伊藤看寿作 宝暦5年(1755年) 『将棋図巧』第20番
図巧20

 まず影響を受けたと考えられる古典から紹介させていただきます。
 「図巧」20番です。
 今年になってから谷川さんが解説された「無双」と「図巧」が出版され、門脇さんが解説された「詰むや詰まざるや」(1975年刊)がコンパクト版で平凡社ライブラリーに収められる(若島さんの解説付きです!)など、俄かに古典も脚光を浴びています。

 遠く離れた89馬。玉が馬筋に入ったときに55桂と跳ねる手を狙いたい形です。
 23歩成、43玉、44銀と進めれば、34玉に55桂と跳ねることが出来ます。

<1図 5手目:55桂>
図巧20_55桂

 56・67・78に何かを合駒すると、35歩と打たれて、同馬、33銀成、同龍、同と、同玉、23成香、34玉、33飛までで簡単に詰みます。
 そこで玉方は受けの妙手を放ちます。
 78馬の移動合です。

<2図 6手目:78馬>
図巧20_78馬

 68馬がいるから35歩と打たれてしまう。
 それなら68馬を捨ててしまおう、そうすれば35歩が打歩詰になるというわけです。
 それにしても強力な馬をタダ捨てで移動合するというのは絶妙の受けです。
 これを同馬と取るのは56歩合とされ、24と、同玉、68馬としても57桂合と受けられて打歩詰が打開できません。
 そこで24と と捨て、同玉に79馬とするのが凄い返し技。

<2図 9手目:79馬>
図巧20_79馬

 79馬に34玉と戻れば35馬の一手詰なので、同馬と取るしかありません。(68歩合は同馬、同馬で作意通り進んで歩が余るので無効な合。)
 79同馬で馬が35に利いてきました。
 23成香、34玉となって35歩が打てました。
 同馬で脱出路が塞がったので、33銀成から収束です。
 同龍、同成香、同玉と清算し、43桂成、同桂で質駒を作ってから23飛と打つのが好手順。
 42玉に43香成と桂を取ります。
 ここで51玉と逃げると、52歩成、同金、同成香、同玉に64桂と打って本手順より2手長くかかるのですが、31玉と逃げる方が妙手があるので、こちらが本手順とされています。
 31玉には33飛成とし、21玉となったところで、31龍と捨てるのが素晴らしい一手。
 31玉と逃げた局面で23飛が邪魔駒になっているのですが、これを33飛成から31龍と捨てるのは実に豪快です。
 31龍は同玉と取るしかありませんが、原形で23飛を消したので23桂と打てます。
 21玉に11桂成から龍を奪って12飛と打てば詰み。
 打歩詰を巡る攻め方と受け方の二枚の馬の駆引きが素晴らしい一局。
 78馬と79馬は迫力満点の応酬でした。

 本作は小泉さんのブログでも紹介されおり、参考にさせていただきました。
  http://kazemidori.fool.jp/?p=9946

【詰手順】23歩成、43玉、44銀、34玉、55桂(1図)、78馬(2図)、24と、同玉、79馬(3図)、同馬、
  23成香、34玉、35歩、同馬、33銀成、同龍、同成香、同玉、43桂成、同桂、
  23飛、42玉、43香成、31玉、33飛成、21玉、31龍、同玉、23桂、21玉、
  11桂成、同玉、12飛、21玉、22飛成まで35手詰


柏川悦夫作 近代将棋1964年8月
 (看寿賞、塚田賞、『詰将棋半世紀』「盤上流転」第20番、『古今中編詰将棋名作選』Ⅱ第62番「)
柏川_古中Ⅱ62

 玉方の守りが強いのでほぐしていきます。
 まず32飛成と行きます。
 24玉なら36桂と捨て同飛と取らせてから22龍とし、23合に25銀と打てば簡単に詰みます。
 12玉には、21銀と打ち、13玉、14歩、24玉と手順に追います。
 ここでも先ほどの変化に出てきた36桂が好手筋。
 同飛と取らせて34龍と切ります。
 同玉なら45角から25歩で詰むので、同飛と取ります。
 25歩で23玉と押し戻して32角と打てば、同飛、同銀不成と飛車を奪うことが出来ます。
 34玉となったところで、23銀不成と捨てるのが軽妙な一手。
 同玉なら33飛と打ち込んで、同桂、同銀成、12玉、13歩成、同馬、24桂という筋で詰みますから、23銀不成は同歩の一手です。
 そこで32飛と打てば、33歩合は、同飛、同桂、35歩、同馬、33銀成ときれいに詰むので、33角合が最善。
 これも同飛と取って同桂に78角と打ちます。

<紛れ図 78角>
柏川_古中Ⅱ62_紛れ

 78角に45歩合なら、同角、同桂、35歩、同馬、33銀成まで詰みます。
 解答者の5割がこの手順を答えてこられたそうです。
 ところが78角には56馬! と捨てる鬼手がありました。

<失敗図 56馬>
柏川_古中Ⅱ62_失敗図

 同角と取るしかありませんが、そこで45歩合と受けられると、同角、同桂の局面が打歩詰となり、持駒角と歩ではどうにもなりません。
 この56馬と捨てる絶妙の受けは、先に紹介した図巧20番の78馬と捨てる手と同じ原理の打歩詰誘致手筋です。

 こうなる前にどこかで打開する手があったはずです。
 実はさりげないところに好手順が用意されていました。
 32飛成から、12玉、21銀、13玉、14歩、24玉と追って、36桂、同飛に34龍と切るあたりまでは他に手もありません。
 同飛に25歩と突き23玉と押し戻したところで、13歩成とするのが伏線手。

<4図 13手目:13歩成>
柏川_古中Ⅱ62_13歩成

 同馬と取られてしまうので、その時点では効果が分かりませんが、32角、同飛、同銀不成、34玉、23銀不成、同歩、32飛、33角、同飛成、同桂と進むと、その意味が分かります。
 先ほどの紛れ図で57にいた馬が13にいるわけです。
 ここで56角と打てば、失敗図のように馬を捨てる手が出来ないので、45歩合の一手となり、同角、同桂に35歩が打てて、同馬に33銀成までの詰みとなります。

 本局では図巧20番にでてくる78馬という玉方の妙手を逃れ筋に取り入れ、さりげない伏線を入れることで打歩詰誘致を予防するという構想を実現された一局で塚田賞と看寿賞のダブル受賞に輝きました。

【作意】32飛成、12玉、21銀、13玉、14歩、24玉、36桂、同飛、
  34龍、同飛、25歩、23玉、13歩成(4図)、同馬、32角、同飛、
  同銀不成、34玉、23銀不成、同歩、32飛、33角合、同飛成、同桂、
  56角、45歩合、同角、同桂、35歩、同馬、33銀成まで31手詰


■創棋会の今後の予定
★感染者の発生が続いており、状況次第で例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
 なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控える(部屋入口は開放するので隣室への配慮もあります)など、当日の運営にご理解をお願いします。


***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神から 徒歩数分
[会費] 無料
[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台 partⅤ」を2月に開催予定。
 テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

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※例年1月に「例会」と「新年会」を開催していますが、昨今の新型コロナ肺炎情勢を勘案して、2021年度は開催を見送らせていただきます。
 年に一度の催しを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、事情了解いただければ幸いです。
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以上