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コロナと詰将棋の会合

<コロナと詰将棋の会合>

 新型コロナの新規発生数に一喜一憂しても始まらないと思いつつ、「過去最高」などと言われると気になるものです。東京だけが突出した数値だったのが、いまや大阪も変わらぬ状況。
 今年の春先は猛烈な緊張感のなかで、さまざまな対応を余儀なくされたものです。解答選手権の中止もその一つ。4~5月の各地の会合は軒並み中止。その背景には会場となる公共施設の閉鎖などもありました。創棋会もオンライン開催となりました。
 その後緊急事態宣言の解除後、各地の会合は、感染対策を行うことを前提に、予約制の導入や、広めの部屋を確保するなどして開催。6月は2ヶ所、7月は4ヶ所、8月は6ヶ所と盛況でした。世間は雪解けのような雰囲気の中で7月からGo Toキャンペーンもスタート。しかしさまざまな緩和モードと並行して7月末から再び発生数が増加し、とうとう全国大会も中止となりました。
 9月後半には流行が落ち着いてきましたが、10月末あたりからまたもや増加モードに転じ現在に至っています。
 詰将棋の会合というのは、参加者はせいぜい数名から10数名。大声で歓声をあげるようなこともありません。指将棋のように長時間・近距離で対面するということもありません。自宅から会合場所までの移動にリスクがあるかもしれませんが、会場は至って安全です。発熱や体調不良などがあれば参加は自粛、参加される場合はマスク着用や手指の消毒を徹底し、会場内ではソーシャルでスタンスを意識することなどで、かなり安心して楽しめるのではないかと考えます。
 残念なのは懇親会。私は、どちらかというと会合後の懇親会が楽しみで会合参加しているので、懇親会が開催されないのは寂しいです。気の合った方と3~4人で短時間ならいいのかもしれませんが、人数が増えると好ましくありません。「会食」が感染の大きなリスク源の一つといわれていますので、いましばらく辛抱するしかないですね。
 「詰将棋の会合でクラスターが発生した」というような事態にならないように、自分たちに出来る感染防止対策を講じながら、会合を楽しんでいければと思います。

■朝日
 夕焼けの写真ではありません(笑)。特別早起きしなくても日の出が見られるようになりました。

1029→395

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
 詰将棋の世界でも、先人の作品に刺激を受け、その構想やテーマなどをモチーフにして創作に取り組むことは結構あるのではないかと思います。
 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
 手数は29手以内。
 投稿先: blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
  ※投稿締切は例会前日12/19とさせていただきます。

◇例題紹介
 前回は柏川さんの作品を取り上げましたが、今回は柏川さんの作品に想を得たという作品を紹介させていただきます。
 三連休なので、紹介作品をいつもより増やしました(笑)

北川邦男作 近代将棋1968年6月(塚田賞、『渓流』第70番)
北川渓流70

 入玉ですが駒数も少なく好形です。
 37桂と跳ねればすぐに詰みそうですが、18玉と引かれると、24香が利いているので26龍が動けないので打歩詰。
 18玉に38飛とすれば28歩と捨合され、19歩、29玉、28飛、19玉、29飛、17玉とされると詰みません。
 困ったようですがいい手がありました。
 37馬と捨てるのです。
 これは同馬の一手。
 そこで37桂と馬を取って開き王手。
 これは決まったと思います。
 18玉なら27角で詰みです。
 持駒に歩が余るのでおかしいと思ったら、玉方には絶妙の受けがありました。
 37桂と馬を取ったところで29角合の捨合が受けの妙手。

<失敗図 29角合>
北川渓流70失敗図

 同龍なら同香成、28角、18玉、19歩、27玉と逃げられます。
 同飛なら18玉で打歩詰。
 27角と打っても29玉と飛車を取られてしまいますし、45角と合駒請求するのも36に頭の丸い桂を合されて詰みません。
 37馬は好手なのですが、うまくいきませんでした。
 詰みに持って行くには少し飛躍した発想が必要なのです。
 まず28銀と活用し、18玉に19銀と捨てます。
 同玉と取らせて原形で17銀を消去。
 しかし17龍は同香成とされますし、17桂も18玉で打歩詰。
 17銀を消した意味は何でしょうか?
 まず37馬と捨てます。これは同馬の一手。
 同桂は29角合で詰みません。先ほど学習したばかりです。
 しかし17銀を消した効果が現われます。
 17桂と跳ねるのです。

<1図 7手目:17桂>
北川渓流70_17桂

 取れる馬を取らずに17桂と跳ねるのが素晴らしい一手。
 この手を指すために17銀を消したのです。
 これは18玉と逃げるしかないのですが、今度は37馬と捨てた効果で19歩が打てます。
 同馬と応じるしかなく、同飛、同玉に73角と打てば、18玉に28角成までの詰み。

 17桂のソッポ行きが強烈な印象を残す一局ですが、17銀の邪魔駒消去や37馬の好手もあり、また紛れにも29角合や28歩合といった受けの妙手が配されて、厚みの感じられる一局です。

 なお本作は以前にも当ブログで紹介しています。下記URLからご覧いただけます。
   http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-75.html

 北川さんは構想派の短編作家として塚田賞を4回受賞するなど活躍され、『古今短編詰将棋名作選』には作家としては最多の5作が収録されています。
 ノミネートされた作品数は23作に上ったことからも、その活躍ぶりがうかがわれます。
 北川さんは1981年に40歳の若さで急逝され、没後に遺作集としてまとめられたのが『渓流』です。

【詰手順】28銀、18玉、19銀、同玉、37馬、同馬、17桂(1図)、18玉、
  19歩、同馬、同飛、同玉、73角、18玉、28角成まで15手詰

さて本作、『渓流』によれば北川さんは柏川さんの作品にヒントを得て作図されたとのこと。
その作品を次に紹介させていただきます。

柏川悦夫作 詰棋界1953年1月(『詰将棋半世紀』「駒と人生」第39番)
柏川人生39

 94から逃げられると困るので初手は85飛が絶対。
 96玉で打歩詰です。
 87銀としても、97玉、85歩、75角、86銀、同角、73香成と手は続きますが、77歩合と受けられて詰みません。
 96玉には筋良く97銀と捨てます。
 これは同玉と取る一手。

<2図 4手目:97同玉>
柏川人生39_97玉

 76香としたいところですが、黙って96玉と引かれると打歩詰。
 ここはスマートに95飛と捨てます。
 同香に85歩と開き王手するのが好手順。
 同角と取るしかありません。
 これを同香と取ってしまうと96玉と引かれて打歩詰。
 75同角には好手がありました。
 76香と一マス上がるのです。

<3図 9手目:76香>
柏川人生39_76香

 取れる駒を取らずに短く使うのが絶妙の味の良さです。
 96玉と引けば、今度は97歩が打てます。
 97で清算して53角と打てば86角成までの詰み。

 湯村さんの打歩詰手筋の分類では「(取れる駒を取らず)取歩駒を残して打歩詰を打開する」手筋の1号局です。
 北川さんもこの手筋に刺激を受けたわけですね。

【作意】85飛、96玉、97銀、同玉(2図)、95飛、同香、85歩、75角、76香(3図)
  96玉、97歩、同角成、同飛、同玉、53角、96玉、86角成まで17手詰


北川邦男作 詰パラ1960年12月(『渓流』第21番、『古今短編詰将棋名作選』第79番)
北川渓流21

 もう少し北川さんの作品を紹介させていただきます。
 35玉から26玉の脱出がちょっと気になるので、35歩、同玉、25飛と決めてしまいたくなりますが、それは34玉で打歩詰です。
 まず54飛成と合駒を訊きます。
 香は品切れ。角桂なら45龍まで。
 44金は35歩、同玉として44龍と取るのが巧い手で、同歩に25金まで。
 最善の受けは44銀合です。

<4図 2手目:44銀合>
北川渓流21_44銀

 ここで35歩、同玉と取らせて44龍と切るのは、同歩、25飛、34玉となって43からの脱出が防げません。
 また35歩、同玉、25飛とするのは、34玉で打歩詰です。
 正解は、35歩、同玉に、65龍とソッポに捨てるのが豪快な一手。

<4図 5手目:65龍>
北川渓流21_65龍

 65龍に26玉なら、27飛から25龍で詰み。
 また45合と受けるのは、25飛、34玉に35歩が打てますから、同銀に45龍まで。
 65龍を同銀と取らせれば、今度は54龍が消えたので、25飛から35歩が打てるという仕組みです。
 35同銀には23飛成と捨てて25銀まで。飛車を捨てての仕上げも鮮やか。

 本作は北川さんが森田手筋1号局にヒントを得て作図されたとのことですが、主眼はソッポに捨てる65龍です。本作以外にも複数の龍のソッポ捨ての好作を発表されています。
 森田手筋の表現ということについては『春霞』でも本作が紹介され、1号局は打歩詰の局面になってからピン駒を消去するのに対して、本局は事前に54龍を捨てることで将来のピン発生を予防するという点が異なるとのことで、新しさがあります。

 本作も過去に当ブログで紹介しています。下記URLからご覧いただけます。
    http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-46.html

【作意】54飛成、44銀合(4図)、35歩、同玉、65龍(5図)、同銀、25飛、34玉、
  35歩、同銀、23飛成、同金、25銀まで13手詰


北川邦男作 近代将棋1966年7月(塚田賞、『渓流』第57番、『古今中編詰将棋名作選Ⅰ』第109番)
北川渓流57

 もう一作北川さんの構想作を紹介させていただきます。
 22飛と捨てて、同玉に24飛と打つ筋が見えています。
 11玉に12歩と打てば同玉に23馬から22馬の詰み。
 それでは簡単過ぎますね。
 実は24飛には23歩合という受けの妙手がありました。

<失敗図 23歩合>
北川渓流57_失敗図

 23歩合を同馬と取れば31玉と逃げられてダメです。
 同飛成と取ると、11玉と引かれて、これが打歩詰。
 同飛不成とやっても、11玉で、やはり続きません。
 ここで失敗図の24の飛車が香ならば、23にいるのが成香ですから、12歩は打歩詰にならないので詰むということに気がつくかどうか。

 そこで初手は52飛と打って合駒請求。
 42香合なら、同飛成、同角と香を入手し、22飛、同玉に24香と打てば、23歩合と受けられても、同香成、11玉、12歩、21玉、32馬まで。もちろん24香に11玉なら、12歩、同玉、23馬から詰みます。
 42桂合は同飛成、同角、24桂で簡単。金銀も容易に詰みます。
 どうやら22に合するしかないようです。
 香合は同飛成から24香で簡単。
 22桂合も同飛成、同玉、23飛、11玉、12歩、同玉、24桂、11玉、13飛成から詰みます。
 最善は22歩合です。
 これは同飛成とするしかありません。
 同玉となったところで24飛がダメなことは学習済み。
 そこでもう一度52飛と打って合駒請求したいのですが、すぐに52飛では42桂合と受けられます。同飛成、同角、23歩、21玉となると、持駒桂歩では詰みません。
 先ほどの変化では玉が12にいたので24桂と打てたのですが、22玉の形ではダメです。
 そこで23歩と打って応手を打診します。
 11玉と逃げれば31飛と打ちます。21歩合なら22歩成から32馬という手があるので、21銀合と頑張りますが、同飛成と切って、同玉に32銀と打てば、11玉、22歩成、同玉、31馬と進めて詰みます(32銀に代えて22歩成から23銀でも詰み)。
 よって23歩には12玉が最善の受け。
 そこで待望の52飛。
 今度は42桂には同飛成から24桂があります。
 また42香合なら同飛成、同角、22歩成、同玉、24香と打つことが出来ます。
 これで命運が尽きたようですが、玉方は奥の手を出してきます。
 52飛に42飛合とするのです。

<6図 8手目:42飛合>
北川渓流57_42飛

 42飛合は、香なら詰むが飛車なら詰まないという、玉方飛先飛香の妙手筋です。
 これには同飛成、同角とするしかありませんが、22歩成から24飛では詰まないので、32飛と打ちます。
 23玉と脱出を見せますが、42飛成と角を入手。
 34玉に23馬と捨てるのが鮮やかな決め手。
 44玉から脱出されそうですが33馬でピッタリ捕まっています。
 23馬には同玉と取るしかありません。
 そこで12角と打ち換えて、14玉、15歩、24玉、22龍までの詰み。

 飛先飛香を巡る攻防の綾の中に、52飛が繰り返される趣向的な味があり、楽しめる一局となっています。

【作意】52飛、22歩合、同飛成、同玉、23歩、12玉、52飛、42飛合(6図)、
  同飛成、同角、32飛、23玉、42飛成、34玉、23馬、同玉、
  12角、14玉、15歩、24玉、22龍まで21手詰


■創棋会の今後の予定
★感染者の発生が続いており、状況次第で例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
 なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控える(部屋入口は開放するので隣室への配慮もあります)など、当日の運営にご理解をお願いします。


***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
  〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
  アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
  <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神から 徒歩数分
[会費] 無料
[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台 partⅤ」を2月に開催予定。
 テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

****************************************************** 
※例年1月に「例会」と「新年会」を開催していますが、昨今の新型コロナ肺炎情勢を勘案して、2021年度は開催を見送らせていただきます。
 年に一度の催しを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、事情了解いただければ幸いです。
****************************************************** 

・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで 
⇒  blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
以上
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続々・創棋会の次回課題は「オマージュ」

<続々・創棋会の次回課題は「オマージュ」>

 秋が深まってもきれいに花を咲かせています。
 丁寧に育てられているのでしょうね。
1030→392

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
 詰将棋の世界でも、先人の作品に刺激を受け、その構想やテーマなどをモチーフにして創作に取り組むことは結構あるのではないかと思います。
 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
 手数は29手以内。
 投稿先: blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
  ※投稿締切は例会前日12/19とさせていただきます。

◇例題紹介
 今回は古典から想を得たと思われる作品を紹介させていただきます。

伊藤看寿作 宝暦5年(1755年) 『将棋図巧』第20番
図巧20

 まず影響を受けたと考えられる古典から紹介させていただきます。
 「図巧」20番です。
 今年になってから谷川さんが解説された「無双」と「図巧」が出版され、門脇さんが解説された「詰むや詰まざるや」(1975年刊)がコンパクト版で平凡社ライブラリーに収められる(若島さんの解説付きです!)など、俄かに古典も脚光を浴びています。

 遠く離れた89馬。玉が馬筋に入ったときに55桂と跳ねる手を狙いたい形です。
 23歩成、43玉、44銀と進めれば、34玉に55桂と跳ねることが出来ます。

<1図 5手目:55桂>
図巧20_55桂

 56・67・78に何かを合駒すると、35歩と打たれて、同馬、33銀成、同龍、同と、同玉、23成香、34玉、33飛までで簡単に詰みます。
 そこで玉方は受けの妙手を放ちます。
 78馬の移動合です。

<2図 6手目:78馬>
図巧20_78馬

 68馬がいるから35歩と打たれてしまう。
 それなら68馬を捨ててしまおう、そうすれば35歩が打歩詰になるというわけです。
 それにしても強力な馬をタダ捨てで移動合するというのは絶妙の受けです。
 これを同馬と取るのは56歩合とされ、24と、同玉、68馬としても57桂合と受けられて打歩詰が打開できません。
 そこで24と と捨て、同玉に79馬とするのが凄い返し技。

<2図 9手目:79馬>
図巧20_79馬

 79馬に34玉と戻れば35馬の一手詰なので、同馬と取るしかありません。(68歩合は同馬、同馬で作意通り進んで歩が余るので無効な合。)
 79同馬で馬が35に利いてきました。
 23成香、34玉となって35歩が打てました。
 同馬で脱出路が塞がったので、33銀成から収束です。
 同龍、同成香、同玉と清算し、43桂成、同桂で質駒を作ってから23飛と打つのが好手順。
 42玉に43香成と桂を取ります。
 ここで51玉と逃げると、52歩成、同金、同成香、同玉に64桂と打って本手順より2手長くかかるのですが、31玉と逃げる方が妙手があるので、こちらが本手順とされています。
 31玉には33飛成とし、21玉となったところで、31龍と捨てるのが素晴らしい一手。
 31玉と逃げた局面で23飛が邪魔駒になっているのですが、これを33飛成から31龍と捨てるのは実に豪快です。
 31龍は同玉と取るしかありませんが、原形で23飛を消したので23桂と打てます。
 21玉に11桂成から龍を奪って12飛と打てば詰み。
 打歩詰を巡る攻め方と受け方の二枚の馬の駆引きが素晴らしい一局。
 78馬と79馬は迫力満点の応酬でした。

 本作は小泉さんのブログでも紹介されおり、参考にさせていただきました。
  http://kazemidori.fool.jp/?p=9946

【詰手順】23歩成、43玉、44銀、34玉、55桂(1図)、78馬(2図)、24と、同玉、79馬(3図)、同馬、
  23成香、34玉、35歩、同馬、33銀成、同龍、同成香、同玉、43桂成、同桂、
  23飛、42玉、43香成、31玉、33飛成、21玉、31龍、同玉、23桂、21玉、
  11桂成、同玉、12飛、21玉、22飛成まで35手詰


柏川悦夫作 近代将棋1964年8月
 (看寿賞、塚田賞、『詰将棋半世紀』「盤上流転」第20番、『古今中編詰将棋名作選』Ⅱ第62番「)
柏川_古中Ⅱ62

 玉方の守りが強いのでほぐしていきます。
 まず32飛成と行きます。
 24玉なら36桂と捨て同飛と取らせてから22龍とし、23合に25銀と打てば簡単に詰みます。
 12玉には、21銀と打ち、13玉、14歩、24玉と手順に追います。
 ここでも先ほどの変化に出てきた36桂が好手筋。
 同飛と取らせて34龍と切ります。
 同玉なら45角から25歩で詰むので、同飛と取ります。
 25歩で23玉と押し戻して32角と打てば、同飛、同銀不成と飛車を奪うことが出来ます。
 34玉となったところで、23銀不成と捨てるのが軽妙な一手。
 同玉なら33飛と打ち込んで、同桂、同銀成、12玉、13歩成、同馬、24桂という筋で詰みますから、23銀不成は同歩の一手です。
 そこで32飛と打てば、33歩合は、同飛、同桂、35歩、同馬、33銀成ときれいに詰むので、33角合が最善。
 これも同飛と取って同桂に78角と打ちます。

<紛れ図 78角>
柏川_古中Ⅱ62_紛れ

 78角に45歩合なら、同角、同桂、35歩、同馬、33銀成まで詰みます。
 解答者の5割がこの手順を答えてこられたそうです。
 ところが78角には56馬! と捨てる鬼手がありました。

<失敗図 56馬>
柏川_古中Ⅱ62_失敗図

 同角と取るしかありませんが、そこで45歩合と受けられると、同角、同桂の局面が打歩詰となり、持駒角と歩ではどうにもなりません。
 この56馬と捨てる絶妙の受けは、先に紹介した図巧20番の78馬と捨てる手と同じ原理の打歩詰誘致手筋です。

 こうなる前にどこかで打開する手があったはずです。
 実はさりげないところに好手順が用意されていました。
 32飛成から、12玉、21銀、13玉、14歩、24玉と追って、36桂、同飛に34龍と切るあたりまでは他に手もありません。
 同飛に25歩と突き23玉と押し戻したところで、13歩成とするのが伏線手。

<4図 13手目:13歩成>
柏川_古中Ⅱ62_13歩成

 同馬と取られてしまうので、その時点では効果が分かりませんが、32角、同飛、同銀不成、34玉、23銀不成、同歩、32飛、33角、同飛成、同桂と進むと、その意味が分かります。
 先ほどの紛れ図で57にいた馬が13にいるわけです。
 ここで56角と打てば、失敗図のように馬を捨てる手が出来ないので、45歩合の一手となり、同角、同桂に35歩が打てて、同馬に33銀成までの詰みとなります。

 本局では図巧20番にでてくる78馬という玉方の妙手を逃れ筋に取り入れ、さりげない伏線を入れることで打歩詰誘致を予防するという構想を実現された一局で塚田賞と看寿賞のダブル受賞に輝きました。

【作意】32飛成、12玉、21銀、13玉、14歩、24玉、36桂、同飛、
  34龍、同飛、25歩、23玉、13歩成(4図)、同馬、32角、同飛、
  同銀不成、34玉、23銀不成、同歩、32飛、33角合、同飛成、同桂、
  56角、45歩合、同角、同桂、35歩、同馬、33銀成まで31手詰


■創棋会の今後の予定
★感染者の発生が続いており、状況次第で例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
 なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控える(部屋入口は開放するので隣室への配慮もあります)など、当日の運営にご理解をお願いします。


***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神から 徒歩数分
[会費] 無料
[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台 partⅤ」を2月に開催予定。
 テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

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※例年1月に「例会」と「新年会」を開催していますが、昨今の新型コロナ肺炎情勢を勘案して、2021年度は開催を見送らせていただきます。
 年に一度の催しを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、事情了解いただければ幸いです。
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以上

続・創棋会の次回課題は「オマージュ」

<続・創棋会の次回課題は「オマージュ」>

 とても天気の良い日が続いていた数日前の写真。
 雲の形も夏とは随分違うと感じたものです。

1023→389

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
 詰将棋の世界でも、先人の作品に刺激を受け、その構想やテーマなどをモチーフにして創作に取り組むことは結構あるのではないかと思います。
 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
 手数は29手以内。
 投稿先: blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
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◇例題紹介
 今回は『現代詰将棋中編名作選Ⅱ』から紹介させていただきます。

北千里作 詰パラ1980年4月(『現代詰将棋中編名作選Ⅱ』第11番)
北千里_現中Ⅱ№11

 使用駒が角桂歩の3種類と美しい初形。
 いきなり12歩成と角を取るのは、同玉、23角、11玉で続きません。
 また34桂と跳ねて桂を取るのは、同角、同桂、同馬となって、これまた切れてしまいます。
 初手は14桂打と、こちらから攻めます。
 同馬は同桂で簡単ですから、21玉(11玉でも同じ)とかわしますが、そこで12歩成と角を取ります。
 同玉に23角と打ちたいのですが、11玉、22桂成、同玉、32角成、11玉で息切れ。
 そこで22桂成、同玉、34桂と桂を入手します。
 先ほどは12角と25馬が利いていたのですが、今度は25馬しか利いていないので、取る手はありません。
 21玉なら32角から22桂成、同玉、23とという順で詰むので、12玉とかわします。
 こうされると23角と打っても届きません。
 ここから巧妙な打ち換えで打開していきます。
 22桂成と捨て、同玉に14桂打と打ち換えます。

<1図 11手目:14桂打>
北千里_現中Ⅱ№11_14桂打

 12玉と寄る一手ですが、ここで45角と打てるのが打ち換えの効果。
 さっきまでは34桂があったのでこの手が利きませんでした。
 45角に11玉なら22桂成から23と で詰んでしまうので34合の一手。
 34歩合なら、同角、同馬に22桂成と捨て34桂と馬を取れば、12玉(21玉は32角以下)、23角、11玉に12歩と打てるので詰み。
 最善は34桂合です。

<2図 14手目:34桂合>
北千里_現中Ⅱ№11_34桂合

 34桂合も、同角と取り、同馬に22桂成から34桂と馬を取ります。
 21玉なら32角から早く詰むので12玉と寄りますが、もう一度22桂成、同玉、14桂と打ち換えます。この打ち換えが利くのは桂を入手したからです。
 12玉なら34角と打って11玉に22桂成~23との順で詰むので、21玉と引きますが、待望の32角です。
 11玉には22桂成と捨て、同玉に23と とし、11玉に21角成と捨てれば、同玉に32と寄から22と まで、見事にミニ煙となりました。
 桂の打ち換えが何度も繰り返される手順は実にリズミカルで、35手詰という長丁場を感じさせない軽快な一作です。

【詰手順】14桂打、21玉、12歩成、同玉、22桂成、同玉、34桂左、12玉、
  22桂成、同玉、14桂打(1図)、12玉、45角、34桂合(2図)、同角、同馬、
  22桂成、同玉、34桂、12玉、22桂成、同玉、14桂、21玉、32角、11玉、
  22桂成、同玉、23と、11玉、21角成、同玉、32と寄、11玉、22と まで35手詰


新ヶ江幸弘作 近代将棋1982年9月(『現代詰将棋中編名作選Ⅱ』第32番)
新ヶ江幸弘_現中Ⅱ№32

 何やら北千里作と似た構図ですね。
 『現代詰将棋中編名作選Ⅱ』の小泉さんの解説によれば、作者は北千里作に刺激を受けて作ったそうです。
 いきなり12馬と龍を取ってしまうのは、同玉、13飛、21玉でダメです。
 36龍の利きを遮断して34桂打とします。
 同龍なら、同桂、11玉に55馬とすれば飛車をもう一枚入手できるので、簡単に詰みます。
 34桂打には21玉としますが、65馬とします。
 32歩合は清算して42飛で詰むので11玉と逃げますが、55馬と寄ります。
 22歩合は清算して23飛で詰むので21玉と逃げますが、54馬と行きます。
 (桂合は作意に還元)
 11玉と逃げる一手に44馬。21玉には43馬。
 そして11玉に33馬と、突然現れた馬ノコに思わずニッコリの手順です。
 33馬に22歩合は清算して23飛があるので、22桂合が最善です。

<3図 14手目:22桂合>
新ヶ江幸弘_現中Ⅱ№32_22桂

 22桂合に同桂成、同龍、23桂は12玉、22馬、同玉となると36龍が強力で詰みませんから、22で清算するしかありません。
 22同玉となったところで14桂が大事な一手。34に打ってしまうと後の34角が打てません。
 11玉には、13飛と打って合駒を訊きます。
 12歩合のような手は22桂成から23と がありますから23に利かす必要があります。
 しかし金銀の合では同飛成から13に打って簡単。
 ということで12角合が最善の受け。

<4図 22手目:12角合>
新ヶ江幸弘_現中Ⅱ№32_12角

 同飛成と取って同玉に34角が狙いの一手。
 11玉なら22桂成から23とがありますので、同龍と取る一手。
 これで34に龍の質駒が出来たので、22桂成と捨て、同玉に34桂と飛車を入手。
 11玉となったところで13飛と打ちたくなりますが、それには12角合とされると34角が打てない形なので詰みません。
 今度は31飛と横から打つのが正解。
 31飛に21歩合のような受けでは22桂成から32と という筋で駒余りの詰み。
 しかし32に利かす銀合は同飛から22銀があって早い。
 したがって、今度も21角合が最善の受けとなります。
21手目の13飛には12角合、31手目の31飛には21角合という対比も好印象を残します。

<5図 32手目:21角合>
新ヶ江幸弘_現中Ⅱ№32_21角

 角合には同飛成と取って、同玉に32角と打てば定番の煙の収束が見えてきました。
 11玉に22桂成と捨て、同玉には23とから11玉に21角成が決め手。
 同玉に32と寄から22と まで、見事に煙りました。
 本作も45手詰という長さを感じさせない滑らかな手順を楽しめます。

 最後に『現代詰将棋中編名作選Ⅱ』の小泉さんの解説から少し引用させていただきます。
 「初形で実に4枚の配置が一致している。14桂がポイントという点も同じ。詰上り図もまったく同じ。北千里作の守備が二枚角であることに対応し、本作は二枚の龍。作者の異なる異母兄弟作といえよう。」

【作意】34桂打、21玉、65馬、11玉、55馬、21玉、54馬、11玉、
  44馬、21玉、43馬、11玉、33馬22桂合(3図)、同桂成、同龍、
  同馬、同玉、14桂、11玉、13飛、12角合(4図)、同飛成、同玉、
  34角、同龍、22桂成、同玉、34桂、11玉、31飛、21角合(5図)、
  同飛成、同玉、32角、11玉、22桂成、同玉、23と、11玉、
  21角成、同玉、32と寄、11玉、22と まで45手詰


■創棋会の今後の予定
★感染者の発生が続いており、状況次第で例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
 なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控える(部屋入口は開放するので隣室への配慮もあります)など、当日の運営にご理解をお願いします。


***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神から 徒歩数分
[会費] 無料
[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台 partⅤ」を2月に開催予定。
 テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

****************************************************** 
※例年1月に「例会」と「新年会」を開催していますが、昨今の新型コロナ肺炎情勢を勘案して、2021年度は開催を見送らせていただきます。
 年に一度の催しを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、事情了解いただければ幸いです。
****************************************************** 

・当ブログへのご意見や課題作の投稿はこちらまで 
⇒  blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
以上

詰パラ11月号到着

<詰パラ11月号到着!>

 もう11月です。夏が終わったと思ったら、10月もあっという間でした。
 路上のプランターに咲いていた花です。

0927→386

■詰パラ11月号が到着
・表紙は年鈴川さん。大学生活があっという間に過ぎてしまうというのはわかる気がします。
 それでもこの期間に同人入りを果たされ看寿賞も受賞され、大変充実されていたのではないでしょうか。
・キッズルーム(2~3P)。酒井さんの言葉は重みを感じます。
 震災のように突然やってくるものもあればコロナのように身近に潜むものもあります。
 過度に委縮することなく、正しく恐れることが大切かと。
・詰棋校(12P~)。
 早くも期末。各校それぞれの想いを込めての選題でしょうか。
 小学校:2度目の期末。
 中学校:表裏の短コンにチェスプロブレム、遊ぶ時間が無限に欲しいという切実な思い。そして選題は採りたい作を全部とのこと。
 高校:期末で豪華な顔ぶれ。
 短大:石黒さんのエア全国大会レポート(笑)。来年こその想いは同じです!
 大学:軽い作品でまとめたとのことで、1校くらいこういうのがあるとほっとしますね。
 大学院:「史上初」にはあちらこちらで反響が。
・内藤國雄の小ルーム(18P):「背筋を伸ばす」、「背中は丸く」。詰将棋ではどうなのかと考えてしまいました。
・彩棋会作品展(20P)。昨年11月号でもこのページは易しい作品との紹介。期末のバランスをとったもの?
・たま研作品展(21P)。課題「ダブル」。①はダブルどころか4解を求めます(笑)。
・詰四会作品展(22P)。コロナの影響でなかなか顔を出せず残念。
・新人コンクール(23P)。73回目になるんですね。1994年(平成6年)7月が第一回とのことで、縫田光司さんのお名前があります。
 今回登場の作家には関西の方が2名いらっしゃいますが、創棋会への参加をお待ちしています。
・詰将棋の眺め方(24P~)。小林敏樹さんの古典名作の短編化のお話。
 無双2番が出てきます。二歩禁を利用して取れる歩を取らない手筋として有名な作品。
 図巧55番の銀の回転も有名ですね。
 こういう一文を読みながら谷川さん解説の「無双」「図巧」を紐解くのは至福の一時です。(こんなときしか開かないくせに…カゲの声)
・持駒のある風景(28P~)。「無双」という名称が登場したのが1965年(昭和40年)というのは驚きです。
・おもちゃ箱だより(30P~)。「連続不成回数の記録」。「連続」というのが創作難度を上げているのでしょうね。
・ちえのわ雑文集(32P~)。宮田敦史さんの「改作図あれこれ」。
 改作から思わぬ作品が生まれればそれは「オマージュ」となるでしょう。(創棋会のPRでした。失礼)
・名局ライブラリー(34P~)。平成28年度(2016年)下半期半期賞の紹介がスタート。
・全詰連の頁(36P)。幹事会の報告。全国大会中止により幹事会はリモート開催。といっても今回はメーリングリストによるもの。
 八尋さんと三宅さんが退任。お疲れ様でした。
・将棋パズル雑談(38P~)。56番がツインです。
・サロン(48P)。山田渉太さんの「岳麓」。一冊500円。ぜひお手元に。
・会合案内(48P)。記事が少ないと思ったら香龍会がありませんでした。
 詳細はこちらから→ https://blog.goo.ne.jp/tumesyougikaigou-kouryuukai/e/a1e5b96aa61066bc49ebc8003c519079
・結果発表(49P~)。
 保育園と幼稚園で誤解多数発生ですが「罠」ではないので、普通に注意が必要。
 小10藤原作が2.8超。少ない駒数で中合動かしを実現。
 中9有吉作も2.8超。詰め上がりも良いがと金を37から47に動かす手が好印象。
 短10宮原作も2.8超。桂の跳躍は空中のアクロバットを見るよう。
 大学は好作揃いだったが石本作が2.8超。不利合の応酬に見応えあり。
 大院も力作が並んだ。齋藤光寿氏は、短・大・デパと4コーナーに中長編発表の活躍。
 デパートは全作ユニークな表現で楽しめる。
・編集室(96P)。今後詰棋校ではツインなどの2通りいじょうの解を求める作品は選題しないとのこと。
 理由は解答者に不必要な労力を強要できないからということです。
 「出題された詰将棋は解ければよい」というように受け取れますが、解答というのは、作品を理解する行為だと考えるので、いささか違和感を覚えます。
 またツインなどは表現方法の一つなので、作家の創造や表現の多様性とはずれるようにも思います。
 もっとも七條賞の対象である詰棋校における方針ということなので、他のコーナーは自由ということですね。
 とはいうものの前記の理由で七條賞の権威にも影響するのではないかと、小さな懸念を感じます。
・デパート。通勤中に山羊と遭遇? どこにお勤めなんでしょうか。
 ちなみに「人間をお休みしてヤギになってみた結果」(トーマス トウェイツ,新潮文庫」という本があるようです。

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
 詰将棋の世界でも、先人の作品に刺激を受け、その構想やテーマなどをモチーフにして創作に取り組むことは結構あるのではないかと思います。
 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
 手数は29手以内。
 投稿先: blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
  ※投稿締切は例会前日12/19とさせていただきます。

◇例題紹介
 今回も森田正司さんの『春霞』から紹介させていただきます。

森田正司作(将棋世界1957年10月、『春霞』第31番、『古今短編詰将棋名作選』第68番)
森田正司195710

 35馬、16玉に36飛や18飛と、飛車の活用を図りたいところですが、27玉で上部脱出が阻止できないので、まずは29香として玉方の応手を訊きます。
 16玉なら17歩から35馬の筋があります。
 26合も35馬で簡単です。
 ちょっとひねって27銀と中合する手が考えられます。同香なら16玉で脱出模様ですが、35馬、16玉、18飛があります。同銀に26馬まで。
 そこで29香には、38の飛車を18に転回させないように28に中合するのが受けの妙手。
 頭に利く駒は同香、27合のとき、35馬、16玉に17から打てるので、頭の丸い駒になるのですが、桂は打てないので28角合が最善です。

<1図 2手目:28角合>
森田正司195710_28角

 28角合を同飛と取るのは34玉。また35馬も16玉から27玉の脱出路がありますので、同香と取ります。
 これに対して26合と受ければ35馬で簡単。
 16玉と潜り込むのも27角、17玉、18歩という手順で詰みます。
 そこで27角を防いで27に連続中合するのが妙防です。
 27合には35馬、16玉、36飛という筋があるので、これを防ぐのは27銀合しかありません。

<2図 4手目:27銀合>
森田正司195710_27銀

 今度こそ同香では16玉で続かないので、35馬とするしかありませんが、16玉に36飛と捨てるのが好手。
 以下同銀成に、27角で成銀を呼んでから17歩とすれば、同成銀、26馬まできれいな詰みです。
 連続中合に加えて、昨今流行の(?)中合を動かす手も入り、収束は大駒の連続捨てで締めくくるなど、実に素晴らしい作品。今から60年以上前の作品とは思えませんね。

 さて本作を「オマージュ」の例題に紹介した理由ですが、『春霞』の次の一文でした。
  「本作は湯村光造氏が簡潔な配置の金飛二段中合を実現されたのに刺激されて角銀二段中合に挑戦したもの。」
   (『春霞』35より引用)
 他者の作品に刺激を受けて創作する、そのテーマが“簡潔な配置の二段中合”だったという話です。

【作意】29香、28角合(1図)、同香、27銀合(2図)、35馬、16玉、36飛、同銀成、
   27角、同成銀、17歩、同成銀、26馬まで13手詰


 それでは続いて森田さんが刺激を受けたという湯村さんの二段中合の作品です。

湯村光造作(詰パラ1957年10月、『古今短編詰将棋名作選』第67番)
湯村光造195707

 使用駒は5枚と実に簡素な初形。
 入玉は許せないので、初手は59香の最遠打。
 合駒を読んでいきます。
 56合は46金、66玉、77金まで。
 57合も同じ手段があるので、77に利かす57飛合が有力な受け。それには46金、66玉、56金打と強引に攻め、67玉(同飛成は同金、67玉、69飛以下)、57金、68玉、58金と進めて詰みます。
 この変化で香が58にいれば詰まないので、58に中合するのが最強の応手。
 それでは58の合駒は何が正解でしょうか?
 桂と歩は打てません。
 香(飛)は、同香、57合、46金、66玉、69香以下。
 銀(角)は同香、57飛合(56合は46金以下)、同香、56合(66玉は68飛以下)、46銀、66玉、77金まで。
 最善は58金合です。

<3図 2手目:58金合>
湯村光造195707_58金

 58金合は取るしかありません。
 58同香に、66玉は57金以下簡単。56合も46金から77金で詰み。
 ここは57に連続中合して延命を図ります。
 すでに学習済みですが、77に利かす57飛合が最善の受け。

<4図 4手目:57飛合>
湯村光造195707_57飛

 57飛合を同香と取っては56桂合で詰まなくなるので、俗なようですが46金から56金打とします。
 同飛成なら77金まで。
 67玉と逃げるしかありませんが57金と飛車を入手。
 68玉に69金と捨てるのが決め手。
 同玉に79飛打から78飛引と生飛車2枚の詰め上がりもいい感じです。
 2手目の変化を読み切れば一気に手が進むのですが、何よりこの簡素形から二段中合が出てくるのは意外性があります。

【作意】59香、58金合(3図)、同香、57飛合(4図)、46金、66玉、56金打、67玉、
   57金、68玉、69金、同玉、79飛打、68玉、78飛引まで15手詰

 『春霞』では森田手筋のプロットを応用した作品についての論考もあり、こちらも「オマージュ」のネタになりそうな話です。そのあたりは時間が許せば紹介させていただきます。

 なお今回紹介した2作品は、以前にもブログで紹介させていただきましたので、下記URLを参照下さい。
  → http://sokikaitusin.blog.fc2.com/blog-entry-37.html

■創棋会の今後の予定
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 なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控える(部屋入口は開放するので隣室への配慮もあります)など、当日の運営にご理解をお願いします。


***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
 〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
 アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
 <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神から 徒歩数分
[会費] 無料
[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台 partⅤ」を2月に開催予定。
テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

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※例年1月に「例会」と「新年会」を開催していますが、昨今の新型コロナ肺炎情勢を勘案して、2021年度は開催を見送らせていただきます。
 年に一度の催しを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、事情了解いただければ幸いです。
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以上

創棋会の次回課題は 「オマージュ」

<創棋会の次回課題は 「オマージュ」>

 随分過ごしやすくなりました。
 一気に秋らしくなったと感じます

0926→382

■創棋会の次回課題は 「オマージュ」
 創棋会の次回課題は「オマージュ」です。
 「オマージュ」は、ウィキペディア(Wikipedia)では、『芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。』と説明されています。
 詰将棋の世界でも、先人の作品に刺激を受け、その構想やテーマなどをモチーフにして創作に取り組むことは結構あるのではないかと思います。
 古典から想を得た、看寿賞受賞作からインスピレーションが生まれた、作品集を鑑賞していたらある作品のテーマに挑戦したくなった、等々、皆さんの思いのこもった作品をお待ちします。
 3月号作品展に出題しますので、12月例会(12月20日開催予定)で選考します。
 手数は29手以内。
 投稿先: blogsokikaitusin■gmail.com (■を@に変えて下さい)
  ※投稿締切は例会前日12/19とさせていただきます。

◇例題紹介
 今回は森田正司さんの『春霞』から紹介させていただきます。

堀半七作 1911年(明治44)年将棋雑誌第1巻7号(『古今中編詰将棋名作選』第17番)
堀半七

 本作は有名な作品。「エレベーター詰」という名称がつけられています。
 今回『古今中編詰将棋名作選』で明治時代の作だったことを再認識。なんとなく江戸時代の古図式かと思っていました。
 『名作選』によると発表時作者は故人で、命名も昭和になってからということです。
 なお『春霞』では玉方11桂が22歩、持駒の飛車は28に置かれています。
 他にも11桂が攻方23歩になった図もあるようで、このあたりは小泉さんのブログもご覧になると面白いと思います。
   http://kazemidori.fool.jp/?p=6400
 飛車の動きを楽しむ一局なので飛車は28に置いた方がフィットしているように感じますが、いかがでしょうか。

 さて本作、初手は24飛しかないようですが、15歩などと打つ手も考えられるところ。
 もちろんそれでは持歩が足りなくなってしまいます。
 24飛、15玉となったところで、25飛上としたくなります。
 16玉、17歩、同玉、27飛、18玉、28飛、19玉、29飛、18玉、28飛引、17玉、18歩、16玉、26飛、15玉、25飛、14玉、24飛、15玉、26飛上、16玉と手は続きますが詰みません。
 17歩に代えて26飛と引くのは15玉でダメです。
 3手目は16歩と打つのが急所。

<1図 3手目:16歩>
堀半七_16歩

 16同玉には26飛と引きます。
 26飛上では15玉と引かれてだめですが、26飛引なら15玉には16歩から24飛で詰みます。
 26飛引には17玉が最善。
 調子に乗って27飛と引くと、18玉とされ28飛上なら19玉、29飛、18玉で千日手になるので、28飛と引くしかなく、17玉に18歩と打たされ(27飛は18玉)、3手目25飛上のときと同じ手順で逃れます。
 17玉には27飛上とするのが二つ目の急所。

<2図 7手目:27飛上>
堀半七_27飛上

 18玉と逃げられて先ほどの逃れ手順と変わらないように見えますが、28飛とすれば19玉には、29飛、18玉、19歩、17玉、27飛上までピッタリ詰みます。
 先ほどの紛れでは一方の飛車が27にいたので19歩が打歩詰の禁手でしたが、26飛の型なら19歩が打てるというわけです。
 28飛には17玉と逃げるしかありません。
 それには27飛引とし、16玉に17歩と拠点を築きます。
 前述の紛れでは18歩と打たされましたが、今度は17歩と打てるのが大きい一手です。
 15玉には、25飛、14玉、24飛、15玉、25飛上までの詰み。

【詰手順】24飛打、15玉、16歩(1図)、同玉、26飛引、17玉、27飛上(2図)、18玉、
  28飛、17玉、27飛引、16玉、17歩、15玉、25飛、14玉、
   24飛、15玉、25飛行まで19手詰

森田正司作 詰パラ1955年10月(『春霞』第40番)
森田_春霞40

 本作は森田さんが堀半七作にヒントを得て創作されたもの。
 でも持駒に歩が一枚足りませんから24飛と打っては詰みません。
 35香に狙いを付けて34飛からスタート。
 15玉と逃げれば、35飛と香を取り、16玉、18香、17合、36飛で簡単。
 そこで24に捨合して延命を図ります。
 24歩合なら、同飛寄で、これは堀半七作と同じ手順で詰みます。
 桂合は、同飛寄、15玉、25飛上、16玉、28桂、17玉、15飛まで。
 最善は24角合です。
 同飛寄、15玉と進みます。
 ここで堀半七作と同じように16歩と行ってみましょう。
 同玉、26飛引に17玉なら、27飛上、18玉、29角で詰みますから、15玉とします。
 いったん42角と打ち、33角合、同角成、同歩としてから、24角、14玉、19飛、23玉、13角成と両王手。
 34玉なら14飛、45玉、12馬から47香の詰みがあるので、32玉ですが、22飛成、41玉、51桂成と手が続くものの、同玉、53香、61玉となると歩一枚では続きません。

<失敗図 61玉>
森田_春霞40_失敗図

 5手目16歩では詰まないので25飛上とします。
 16玉のとき17歩と打ち、同玉に27飛と引くのが好手順。
 27飛の形にしておくのが大切なところ。
 27飛に18玉は29角から17飛で詰みます。角を持っているのが堀半七作との違いです。
 16玉には26飛引、15玉のとき、42角と打ちます。
 頭に利く駒は取って簡単。33桂合も取って25飛から二枚飛で追って28桂と打つ筋がありますから角が最善。
 33角合、同角成、同歩としてから、24角、14玉、17飛とします。
 23玉と逃げれば13角成、32玉、22飛成、41玉、51桂成、同玉、53香、61玉に67飛と回れます。これが飛車を7段目に置いていた効果です。19飛だと失敗図のように68歩が邪魔でこの筋がなかったのです。
 そこで玉方も、16桂と捨合の妙防で抵抗します。

<3図 20手目:16桂合>
森田_春霞40_16桂

 16の捨合は後の手順でわかるように頭に利く駒は無効だし、角や香は離し打ちの筋があるので、桂が最善です。
 16桂合は同飛上と取ります。
 23玉には13角成、32玉、22飛成、41玉、51桂成と香を取ります。
 同玉に53香では続かないので、もらった桂を63に打ち、61玉、71桂成、同玉として、73香が正しい手順。
 81玉、72香成、92玉、73成香、93玉、82飛成、94玉、83龍、95玉と追います。
 そこで96歩と突捨て、同玉に55歩と16飛を働かせます。
 それには36桂合と受けますが、同飛と切って同香に最後の一歩を使って97歩。
 同玉に31馬と桂を取り、もう一度75桂合と受けますが、これも同馬と切って、同歩に89桂、96玉、88桂、95玉、87桂と入手した桂を連打して詰めます。

【作意】34飛、24角合、同飛寄、15玉、25飛行、16玉、17歩、同玉、
  27飛、16玉、26飛引、15玉、42角、33角合、同角成、同歩、
  24角、14玉、17飛、16桂合(3図)、同飛上、23玉、13角成、32玉、
  22飛成、41玉、51桂成、同玉、63桂、61玉、71桂成、同玉、
  73香、81玉、72香成、92玉、73成香、93玉、82飛成、94玉、
  83龍、95玉、96歩、同玉、55歩、36桂合、同飛、同香、
  97歩、同玉、31馬、75桂合、同馬、同歩、89桂、96玉、
  88桂、95玉、87桂まで59手詰

 次回も『春霞』から作品を紹介させていただく予定です。


■創棋会の今後の予定
★感染者の発生が続いており、状況次第で例会が急遽開催中止になる可能性もあります。中止となった場合は、当ブログで告知させていただきます。
 なお当日は、感染拡大防止のため、発熱その他健康に懸念のある方は参加を控えてください。参加される方も、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声での会話を控える(部屋入口は開放するので隣室への配慮もあります)など、当日の運営にご理解をお願いします。


***【次回例会】************************************************* 
[日時] 2020年12月20日(日)13時~
[場所]  大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
  〒553-0006 大阪市福島区吉野3-17-23
  アクセス → https://www.osakacommunity.jp/fukusima/access.html
  <最寄駅>阪神本線 野田駅・JR東西線 海老江駅・地下鉄千日前線 野田阪神から 徒歩数分
[会費] 無料
[課題] 詰パラ3月号作品展「オマージュ」。本文参照ください。

***【次々回例会】***********************************************
[日時] 2021年2月23日(火/祝日)13時~
[場所] 大阪市福島区民センター 302号(広い部屋です)
[課題] ネット作品展「教材に使える10手台 partⅤ」を2月に開催予定。
 テーマは近々案内させていただきます。
[会費]  無料

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※例年1月に「例会」と「新年会」を開催していますが、昨今の新型コロナ肺炎情勢を勘案して、2021年度は開催を見送らせていただきます。
 年に一度の催しを楽しみにされていた方には大変申し訳ございませんが、事情了解いただければ幸いです。
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以上